私の知り合いの息子さん(17歳)、ちょっとした冗談も入っている投稿をSNSにしたことから、警察が来るという事態が起きた。
いきなり家に警察官が3人やってきて、息子はいるかという、いると答えると、ちょっと会っていいかなといって、続々と家に入ってきた。しかも土足。こういうとき彼らは靴なんか脱いでくれないのである。
え!なにやらかしたの?!とお母さんはパニック。
そのうちに警察官がもう1人やってきて、もちろん土足でどかどか入って来た。
警察4人もやってきて何事か・・・!?と思ったら、息子くんがSNSに「死にたい」と投稿したのを見た人が警察に相談したということらしい。その相談した人は誰なのかは結局分らなかったらしいのだが、警察官の話によると、どうも息子くんの学校の人らしい。うちの16歳の息子も落ちこぼれで特殊学校に通っていたが、この息子くんもそういった学校に行った。クラスの人数も少なく、いわゆる問題児が入っているような学校なので、先生たちはその動向を結構細かくチェックしているのかもしれない。自殺されたりしたら大変、というのもあるだろうし、なにかしらの犯罪に関わるということもあるかもしれず、未然に防ぎたいとの思いだろう。
警察官のうち2人くらいが息子くんといろいろと話し、あとの2人は様子を見ているか、お母さんと話したりしていたらしい。その後、警察官が「彼は病院に行って精神科の医者に診てもらった方がいいと思う。うつ病かもしれないので」と言われたそうな。今から我々が病院のER(救急病棟)へ連れていく、という。「明日、私が連れていくっていうのではだめですか?」とお母さんが聞いたら、「すぐの方がいいと思う」と。言い方は丁寧だけど有無を言わさずといった感じで、結局息子くんはパトカーに乗せられて病院に連れていかれてしまった。連れていく病院の名前を告げられ、「終わったら迎えに行ってもらわないといけないと思うんで」と言われ、警察官(と息子くん)たちは去っていった。
その時、お母さんが使える車が家に無く、どうやって迎えに行くか思案したりしていたが(バスに乗って行くしかないかなぁ・・とか)、連れて行かれてから2時間ほど後に、病院の医者から電話がかかってきたそうだ。いわく、うつっぽい感じだけど、うつ病というわけではないようだ、でもカウンセリングを受けたほうがいいと思う、必要ならカウンセリングの紹介をするといったことを言われた。それで迎えなんですけど・・・と切り出すと、医者が「警察の人に連絡して、息子くんを送り届けるように言っておきますよ」とのこと。え!!親切!
結局、息子くんは警察官(今度は1人)につれられて帰ってきたそうだ。
あとから考えてみると、もし自分で息子くんを病院に連れて行ったらこんなに早く診てもらうことはなかっただろう。救急の場合、自力でERに行く方法と救急車を呼ぶ方法があり、前者だとお金はかからないが救急車を要請するとお金を取られる。が、救急車で運ばれる方が早く診てもらえる可能性が高い。救急車に乗っている救命士たちは、患者を運ぶとその患者が医者に診てもらうまでその場に残る必要があるらしい。その間、ほかの出動命令に応じることが出来なくなる。そんなことから優先される傾向があるみたいだ。だから、救急車を呼んでもすごく緊急性が高くない場合は、救命士の方から「自分で病院に行った方がいいんじゃないかな」と言われたりすることもあるらしい。
この息子くんの場合も似たようなもんで、警察に連れてこられたから緊急性が高いとみなされて、早く診てもらえたとお母さんは考えている。しかも、帰りも送ってくれたのは助かったようだし(そうじゃなきゃ、バスだもんね)。
息子くんは確かにその時、気分がくさくさしていたらしい。思う通りに行かなくてイライラとか、思うようなことができずに落ち込んだりとか、いわゆる思春期にはよくありそうな感情だ。しかし、死にたい・・とか投稿したりすると、かなり大事になるのだということが分かった。警察官も「我々はこういうことは軽視してはいけないと思っている」と言っていたそうだし。本人もそんな気持ちが全くなかったわけではないだろうけど、本気で死を考えているほどではなかっただろうと思われる。ちょっと軽い気持ちでそんなことをしたのだろうけど、そういうことはしてはいけないということを息子くんも学んだと思いたい。
後日談として、警察来訪から1週間くらいして、息子くんは直接そのときの警察官の1人から連絡を受け、アイスキャップ飲みに行こう!と誘われたそうな。アイスキャップとはカナダのドーナツチェーン、ティムホートンズの飲み物。コーヒー牛乳のようで私も好き。で、警察の人が迎えに来てくれて一緒に出掛けて行ったそうな。制服着た警察官とパトカーでティムに行って・・・なんかすごいなぁ・・・。これはその後息子くんが元気にしているか様子を見に来たということらしい。
この話を聞くと、カナダではそういうことに素早く対応してくれるんだ、すごいな、と思う半面、おそらくこれは未成年までかなとも思う。未成年者に対する保護はかなりしっかりやってくれるという印象は昔からあった。だけど、19歳(BC州では19歳が成人)または義務教育である高校を卒業する18歳となると、その篤い保護はいきなりなくなる。
例えば、ネグレクトや虐待などで実の親と暮らせなくなった子どもは養親のところに保護されたりする(その養親と暮らすことが幸せにつながるかどうかはまた別問題だけど)。18歳になるとそれが終了して、子どもはいきなり社会に放り出されるという。18歳でいきなり放り出されても仕事もすぐに見つからなかったり、住むところが見つからなかったりなどで、ホームレスになったり、精神に問題をきたすといったことが起きることも。
また少し前に、精神的に不安定になっている女性(多分大学生)について彼氏が警察に「心配だから健康面のチェックをしてほしい」とお願いしたところ、やってきた女性警官がその女性に殴る蹴るの暴行を働いたという。どうしてそうなったんだかわからないんだけど。大人になると、精神的不安とか、うつとかは「甘えてんじゃないよ」的反応になってしまうんだろうか。恐ろしい・・・
この息子くんのケースは、深刻な事態にはならずに済んだのでまだ良かったといえる。
日本の知り合いの娘さんは中学生のとき、自死した。夏休み明けの学校初日、家を出たその足で、自宅マンションから飛び降りたという。
みずから死を選ぶことを選択するまで思いつめられた気持ち、その気持ちの底知れぬような深さを思う時、胸がつぶれそうな気がする。「死ぬしかない」、そんな思いに駆られるというのは、どんなにか絶望した気持ちだったろうかと思うと、涙が出る。
いきなり家に警察官が3人やってきて、息子はいるかという、いると答えると、ちょっと会っていいかなといって、続々と家に入ってきた。しかも土足。こういうとき彼らは靴なんか脱いでくれないのである。
え!なにやらかしたの?!とお母さんはパニック。
そのうちに警察官がもう1人やってきて、もちろん土足でどかどか入って来た。
警察4人もやってきて何事か・・・!?と思ったら、息子くんがSNSに「死にたい」と投稿したのを見た人が警察に相談したということらしい。その相談した人は誰なのかは結局分らなかったらしいのだが、警察官の話によると、どうも息子くんの学校の人らしい。うちの16歳の息子も落ちこぼれで特殊学校に通っていたが、この息子くんもそういった学校に行った。クラスの人数も少なく、いわゆる問題児が入っているような学校なので、先生たちはその動向を結構細かくチェックしているのかもしれない。自殺されたりしたら大変、というのもあるだろうし、なにかしらの犯罪に関わるということもあるかもしれず、未然に防ぎたいとの思いだろう。
警察官のうち2人くらいが息子くんといろいろと話し、あとの2人は様子を見ているか、お母さんと話したりしていたらしい。その後、警察官が「彼は病院に行って精神科の医者に診てもらった方がいいと思う。うつ病かもしれないので」と言われたそうな。今から我々が病院のER(救急病棟)へ連れていく、という。「明日、私が連れていくっていうのではだめですか?」とお母さんが聞いたら、「すぐの方がいいと思う」と。言い方は丁寧だけど有無を言わさずといった感じで、結局息子くんはパトカーに乗せられて病院に連れていかれてしまった。連れていく病院の名前を告げられ、「終わったら迎えに行ってもらわないといけないと思うんで」と言われ、警察官(と息子くん)たちは去っていった。
その時、お母さんが使える車が家に無く、どうやって迎えに行くか思案したりしていたが(バスに乗って行くしかないかなぁ・・とか)、連れて行かれてから2時間ほど後に、病院の医者から電話がかかってきたそうだ。いわく、うつっぽい感じだけど、うつ病というわけではないようだ、でもカウンセリングを受けたほうがいいと思う、必要ならカウンセリングの紹介をするといったことを言われた。それで迎えなんですけど・・・と切り出すと、医者が「警察の人に連絡して、息子くんを送り届けるように言っておきますよ」とのこと。え!!親切!
結局、息子くんは警察官(今度は1人)につれられて帰ってきたそうだ。
あとから考えてみると、もし自分で息子くんを病院に連れて行ったらこんなに早く診てもらうことはなかっただろう。救急の場合、自力でERに行く方法と救急車を呼ぶ方法があり、前者だとお金はかからないが救急車を要請するとお金を取られる。が、救急車で運ばれる方が早く診てもらえる可能性が高い。救急車に乗っている救命士たちは、患者を運ぶとその患者が医者に診てもらうまでその場に残る必要があるらしい。その間、ほかの出動命令に応じることが出来なくなる。そんなことから優先される傾向があるみたいだ。だから、救急車を呼んでもすごく緊急性が高くない場合は、救命士の方から「自分で病院に行った方がいいんじゃないかな」と言われたりすることもあるらしい。
この息子くんの場合も似たようなもんで、警察に連れてこられたから緊急性が高いとみなされて、早く診てもらえたとお母さんは考えている。しかも、帰りも送ってくれたのは助かったようだし(そうじゃなきゃ、バスだもんね)。
息子くんは確かにその時、気分がくさくさしていたらしい。思う通りに行かなくてイライラとか、思うようなことができずに落ち込んだりとか、いわゆる思春期にはよくありそうな感情だ。しかし、死にたい・・とか投稿したりすると、かなり大事になるのだということが分かった。警察官も「我々はこういうことは軽視してはいけないと思っている」と言っていたそうだし。本人もそんな気持ちが全くなかったわけではないだろうけど、本気で死を考えているほどではなかっただろうと思われる。ちょっと軽い気持ちでそんなことをしたのだろうけど、そういうことはしてはいけないということを息子くんも学んだと思いたい。
後日談として、警察来訪から1週間くらいして、息子くんは直接そのときの警察官の1人から連絡を受け、アイスキャップ飲みに行こう!と誘われたそうな。アイスキャップとはカナダのドーナツチェーン、ティムホートンズの飲み物。コーヒー牛乳のようで私も好き。で、警察の人が迎えに来てくれて一緒に出掛けて行ったそうな。制服着た警察官とパトカーでティムに行って・・・なんかすごいなぁ・・・。これはその後息子くんが元気にしているか様子を見に来たということらしい。
この話を聞くと、カナダではそういうことに素早く対応してくれるんだ、すごいな、と思う半面、おそらくこれは未成年までかなとも思う。未成年者に対する保護はかなりしっかりやってくれるという印象は昔からあった。だけど、19歳(BC州では19歳が成人)または義務教育である高校を卒業する18歳となると、その篤い保護はいきなりなくなる。
例えば、ネグレクトや虐待などで実の親と暮らせなくなった子どもは養親のところに保護されたりする(その養親と暮らすことが幸せにつながるかどうかはまた別問題だけど)。18歳になるとそれが終了して、子どもはいきなり社会に放り出されるという。18歳でいきなり放り出されても仕事もすぐに見つからなかったり、住むところが見つからなかったりなどで、ホームレスになったり、精神に問題をきたすといったことが起きることも。
また少し前に、精神的に不安定になっている女性(多分大学生)について彼氏が警察に「心配だから健康面のチェックをしてほしい」とお願いしたところ、やってきた女性警官がその女性に殴る蹴るの暴行を働いたという。どうしてそうなったんだかわからないんだけど。大人になると、精神的不安とか、うつとかは「甘えてんじゃないよ」的反応になってしまうんだろうか。恐ろしい・・・
この息子くんのケースは、深刻な事態にはならずに済んだのでまだ良かったといえる。
日本の知り合いの娘さんは中学生のとき、自死した。夏休み明けの学校初日、家を出たその足で、自宅マンションから飛び降りたという。
みずから死を選ぶことを選択するまで思いつめられた気持ち、その気持ちの底知れぬような深さを思う時、胸がつぶれそうな気がする。「死ぬしかない」、そんな思いに駆られるというのは、どんなにか絶望した気持ちだったろうかと思うと、涙が出る。