はがきのおくりもの

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新種の扉叩き人

2013年07月14日 | 私家版卯高物語

 平成二十三年十一月三十日、三年生四人が真剣な面持ちで扉を叩いた。盗難対策についての校長見解を聞きたいという。

 この頃、盗難が増えていた。この二年前に盗難が多発した状況に似ている。彼らは当時の被害者であった。卯高が大好きだから何とかしたい、と扉を叩いた。

 二年前の事件とは、外部の者が合宿所をねぐらに盗難を繰り返した事件である。犯人は捕まったが、再び彼が活動を開始したのではと彼らは疑った。可能性があるので、すでに生徒指導主任から全校生徒に貴重品管理や施錠の徹底、不要な持ち物の持ち込み禁止等の非常事態対応を促していた。

 私の見解を話した。今回は被害届提出の前段階である。警察に見回り強化を依頼した。夜九時以降も生徒が校内に残っている状況等を解消すれば、次の対策が可能となる。生徒指導主任の促しを主体的に受け止め行動してほしい。卯高には校則がないのは、自由と対になる責任を果たせる生徒たちだと信頼しているからだ。非常事態と認識してくれ。

 彼らは当初、年次主任に警備員を置いてほしいと要望していたらしい。次に、自分たちで犯人をつかまえると提案した。教員から予算や危険性の問題があると言われ、どちらも断念し、最終的に校長に盗難情報の全生徒への周知徹底を要望してきた。

 生徒指導は愉快である。彼らが真剣なので、生徒全体の総意として要望する方法を伝授した。

 「評議会で議題とし、各クラスでの議論を持ち寄り、協議して議決する。議決した提案を校長に提出する。そうなれば教員全体で協議して返答せねばならない。それが民主主義の手法である。やれるかな。難しそうなら、君たちの総意を生徒指導主任に相談してみたらどうか。しかし、私からは働きかけないよ。君たちの主体性が大事だからね。」

 二日後、年次主任から報告があった。彼らは署名を集めて生徒指導主任に渡すつもりだという。署名集めは一方通行の見せかけの総意づくりである。生徒同士で意見交換し、練り上げる過程が大事なのだが…と思ったが、一歩前進である。年次主任同士で連絡を取り、彼らを受け止めてくれと依頼した。


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