三つ目の道楽「扉叩き人」は、向こうからやってくるものを楽しむ道楽である。
自分から進んで校長室を訪れる生徒は少ない。そこで、ハガキ表彰式を校長室で行い、生徒に校長室を体験させることにしていた。校長室に入ることは社会体験でもある。
少数ではあるが、自ら進んで校長室の扉を叩く生徒たちがいた。勇気ある若者たちである。私は密かに彼らを「扉叩き人」と呼んで、彼らの出現を心待ちにしていたものである。
担任とうまくいかず進路相談に来た生徒がいた。学校の課題を直視し、提案を持ってきた生徒もいた。様々な生徒がそれぞれの思いを抱いて校長室の扉を叩いた。そんな生徒たちのなかから思い出に残る「扉叩き人」を紹介しよう。