おおーっ! また来たんだねえ。
やっぱり、ここはいいところだろ。
流れるままに下流に移動する二羽を追いかけ追い越し、橋の上で待った。
ボクに気づいてるはずだと思うけど、不用心なほど橋のすぐ下まで寄ってきた。
バサッ!バサッ!バサッ!バサッ!
ものすごいド迫力!! 衝撃波のような音と振動に、ただただ感動した。
突然のテイク・オフは、ほんの少しだけボクが身を乗り出したタイミングと符合する。
ボクのせいかなあ・・・、白鳥は低い高度のまま、上流の方向に飛び去って行った。
悪いことをしたなあ・・・と思いつつ、白い道をゆっくりゆっくり走る。
なんだかんだ言って、冬期間を通して継続できたことがない。
何故か、今季は出来そうな気が・・・しないでもない。今のところは。
羽黒橋のすぐ上流にある小さな中州。この中津の四季折々の風情が好きだ。
ひょっこりひょうたん島のような、何か物語をイメージしたジオラマに見えてくる。
おいおい、とうとうここにも手を掛けちゃうのかよう。
ここをねぐらにしているもんもいるんだぜ。
時季が来れば、ニセアカシヤだって季節を知らせるいい香りがしてくるし。
穏やかだった天候が、ここで急変。
いきなりの突風、そして、地吹雪。
帰路は走りなれた道の方が・・・と思い、赤川堤を選んだのは失敗だったかな。
先を行くおばあさんは、いつも携帯ラジオを鳴らしながら散歩する、ここの常連さんだ。
こんな日も、ここを歩くってかあ。平然と歩を進める後ろ姿・・・・凄すぎるぜ。
川向うの白煙のような低い雲は、ゲリラ豪雨ならぬゲリラ豪雪か、それとも地吹雪か。
上空に覗く青い空とのコントラストの妙を目の当たりにして、気持ちが高揚した。
内川の堤に戻ってみると、あの二羽の白鳥の姿があった。
さっきは悪かったなあ。今度は長居をせず、そーっと退いた。
西風に向かって大きく翼を広げているのは、どこか滑稽な感じがする河鵜だ。
結構、長い時間、広げたまんま微動だにしない。なにやってんだろう。
人間の世界では、寒波だ、大雪だって、大騒ぎだよ。コロナもあるし、年末だし。
ここのみんなにとっては、なんのことやらの話だね。
ボクも寒い寒いと言って、閉じこもっていちゃあ、ダメですね。
冬は嫌!春が恋しいけれど、重い腰あげて外に出れば、鉛色の冬景色も満更じゃあないね。