カカポの庭

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「森の娘 マリア・シャプドレーヌ」

2005年10月05日 | 
「森の娘 マリア・シャプドレーヌ」
原作:ルイ・エモン
画:ライカ・クペイジック
訳:小池昌代
岩波書店

~マリアとその家族は、その昔、カナダへ移民としてやってきたフランス人の子孫です。ケベック州の深い森のなかに住んでいます。
ダイナミックに季節が移りゆくなかで、マリアをめぐる恋の物語が進んでいきます。
暗く神秘的な絵本~

少し前に図書館の新館コーナーで見かけて、絵のインパクトがすごいなぁと。
絵を担当したライカ・クベイジックは、バレリーナということで、絵にバレエ特有の流れるようなラインがある、と解説にありますが、なるほど再度絵を観てみると人物の立ち方や動きがバレエの象徴的な形で決まっている、という印象を受けます。

お話にはマリアの恋愛や人生における苦悩が色濃く描かれ、大人の彼女の決断が子供たちにはとっては、どうかな。
ファンタジックでも、夢の世界でもなく、どかんと目の前にある現実。
何やら重い一冊です。

それにしても絵はすばらしい。
流麗なライン、特に風景の奥行きの深さは絵画のよう。
特に描かれた月の静かな光が印象的でした。