OKESAN 公的年金保険情報

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ますます、年金の未納は厳しくなるかもしれない。

2005-05-16 11:43:51 | Weblog
◎ 社会保険庁改革について、政府・与党は、年金の運営業務はいままで通り厚生労働省の外局に残す方針ですが、外局維持の流れに対し批判的な意見に対する党内調整が難航する対策のため、国民年金の空洞化を数年内に改善できなければ独立行政法人化する方向で調整に入ったとのこと。

 具体的には社保庁は現在6割強の国民年金の収納率を07年度に8割まで上げる目標を掲げているが、この期限までに収納率を計画通りに改善する見通しが立たなければ独法化するという条件をつけるという案だそうです。

 そういう案であっても、竹中経済財政相は外局維持に異論があるなど意見は様々で、今のところ予断を許さない状況とのこと。


<解説>
 独立行政法人という形態と厚生労働省の外局という形態のどちらが有益かがわしには判断がついていません。
 国立大学はほぼ全部「独立行政法人」となりましたが、国立大学は全国にたくさんあります。だから競争がある。私立大学とも競争だし隣県の国立大学同士の競争もあります、競争に負けたら整理統合なり、財政運営をちゃんとしなければ運営統合なりできる。
 だから、国立大学は自分で努力するでしょう。そういう意味で国立大学を独立行政法人にした意味はわかります。

 でも、年金行政はライバルがいない。しかも、国民から「保険料を強制徴収をする」という極めて「公権力的側面」が大きい所です。
 それを独立行政法人とする意味が何処にあるのか。「独立行政法人」というものの本質がわからない今はコメントできません。

 しかし、与党議員の中に、「もっと改革を派手にやらないと次の選挙に勝てない」という理由で、独立行政法人化を推進している人もいるということを聞くとちょっとねえ(疑問)。

 厚生労働省の外局と独立行政法人とでどちらが、より効率的運営を行い、どちらがより保険料集能率を上げられるかというような、大局的な観点は一部の議員さんの中には欠落しているようです。何でも民営化がいいわけではない、どちらが効率的に保険料を集められるかの検討は必須なのに、大衆的には「何でもかんでも民営化」のほうが受けがいいのでしょうか。

 さて、今回の新聞に取り上げられたように、もし厚生労働省の外局となって、独立行政法人化は免れた、だけど「収納率が上昇しない場合は独立行政法人化するよ。」という条件を突きつけられたとき、年金の収納はどうなると思いますか?

 全く個人的な見解ですが、担当外局は徴収の効率を上げるということを必死に取り組むでしょう。厚生労働省にとっては自分の権限の及ぶ役所が減らされれうのは死活問題。我々の老後の心配より、組織維持の心配で動くのはなんとも腹立たしいですが、そうなってもおかしくない。
 あるいは収納目標が高すぎて最初からあきらめの境地で何もしないか。2つに1つ。

 ここの所見1-4にもありますが、民事とちがって、公的な債権(保険料などは該当する)は、時効中断が容易にできます。
 今後、未納の保険料の時効中断をされ続けると、年14.6%のサラ金なみの利息をつけた保険料を徴収される危険性はとても高い。
 保険料収納は、「行政が本気になったら」とても怖いのです。
 
 今までは、督促による時効中断なんてしてませんでしたから、強制徴収でも最長2年分。利息をつけても大したことはなかったかもしれませんが、時効の中断をし続けていると延滞金は雪ダルマ式に膨らみます。たとえば5年前の保険料も毎年督促で時効を中断され続けたら。、(おお、怖っ)
 まさかそこまでと思う人もいるでしょうが、組織の存亡がかかればそこまでしてもちっともおかしくない。これは今後でないとわからないです。

 いろいろな観点から、この組織改革はどうなるのか注意を持って見守っています。

 本来組織の維持と保険料の収納率は別問題なのですが、それが絡んできているので先が全く見えません。