OKESAN 公的年金保険情報

公的年金および健康保険の社会保険関係の最新情報をお届けします。

国民年金の強制徴収の欺瞞

2005-05-10 10:30:58 | Weblog
 社会保険庁は9日、2004年度の国民年金保険料納付について、3月末現在の累積納付状況(2004年4月分~2005年2月分)をまとめたとの事。

 それによると納付率は59・58%で、前年同期を0・03ポイント上回った。2004年度全体での目標は65・7%としているが、目標の達成は厳しい状況。

 同庁は、2007年度の納付率を80%とする目標を掲げ、今年度から、十分な所得があるのに保険料を支払わない悪質な未納者に対する強制徴収を強化する方針とのこと。で、その強制徴収ですが、約120万人と推計される世帯所得500万円以上の未納者を対象に、2年に1度は強制徴収できる体制の整備も始めるという報道が以前にありました。

 サラ金から金を借りる場合には、利息制限法と出資法という2つの法律の縛りがあります。で、利息制限法のほうが出資法よりも縛りが厳しいけど、出資法のほうには罰則規定がある。
 俗に言うグレーゾーンというやつで、大抵は罰則が怖いので、貸金業者は出資法に併せて金利を設定する。
 この、出資法と利息制限法の話は、わしが大学生の頃の民法の講義で聞いて(その当時の出資法は100%を超える異常な高金利を設定可能だったのですが)いましたから、もう20年以上も放置されていることになります。

 貸金の場合は、法律が違うのですが、年金保険料の場合は、法律の狭間ではなく条文にはない運用で滞納者に差をつけてしまう。こりゃよくないや。法律に乗っ取っての行政ではありません。
 年金保険料は、なんで免除基準があるのに、強制徴収は高額所得者だけ行うのでしょうか。確かに高額所得者は社会的責任は一般の人より高いのかもしれません。しかし所得が低い人には全額免除または半額免除という制度を設けている。その免除基準以上なら「全員保険料を払う資力がある」と自動的に断定されるべきものです。

 もし免除基準が厳しすぎるなら基準を引上げていい。
 免除に該当する人、免除に該当しないけど強制徴収をしない人、免除に該当しないでかつ強制徴収をする人。
 行政が法律を勝手に解釈して、国民を3段階に分ける恣意運用をしてもいいわけがありません。
 500万円以下の年収だけど免除には該当しない(具体的な免除額は扶養家族の多寡で変わってくるのでなんともいえませんが、子供ありの家庭だと300-500万円?)人が実は、「老後最も年金に頼る割合の多い人」でかつ、「生活保護を受けられないレベルの蓄えをする可能性が高い」人たちなのです。
 いわば、最も「老後に年金が最も必要とされる収入帯の人」

 だからこういうレベルの人たちにも「強制徴収をしてあげるのが、見かけは冷酷でも実は親切」なんですけどね。

 あれだけ、役所のマッサージチェアーやライオンキングのチケットなどの不祥事を叩き続けていたマスコミですから1社くらいは噛み付いてほしいと希望しているのですが、ムリなんでしょうか。

 アメリカの税理士さんに聞いたところ、アメリカは公租公課の滞納には容赦がなく、日本のように催告をしたりせず強制徴収の条件に合致したらすぐ財産を差し押さえるのだそうです。かなり手荒なやり方ですが、税金や社会保険料はそこまでしないと国が成り立たないのかもしれません。