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議員年金改革進まず

2005-05-09 14:38:08 | Weblog
 本日の某新聞社説からですが、

 衆参両院議長の諮問機関が1月に答申した国会議員年金の改善策が、今国会で実現するかどうか危ぶまれているそうです。

 議員年金は年約126万円を10年以上納付すると、退職後の65歳から約412万円~約741万円が給付されるという破格の内容をもつ制度なんですが、自分たちの利害がモロに絡んでくるだけに、話し合いはなかなかつきそうにありません。

 現行の7割の国庫負担率をどうするか、年金を廃止するとなると、支給中の議員OBらの給付金をどうするかなど問題は山積みです。だからできるところからどんどん行かないとダメ。小手先での修正で今回は収まっても、改革はできるところからどんどん行うべきです。

 それで、国会議員さんは知ってか知らずか、どうも国民の目をそらすための、納得しがたい改正案をいろいろ考えていらっしゃるようです。

 まず、国民年金の国庫補助が5割に近い将来上がるからそれに合わせて国庫負担率5割という案を出されたりしていますが、これは全くのまやかし。

 確かに、国民年金保険料は5割を国庫負担に将来すると法律に明言されていますが、これは「国民年金」は「基礎年金」といわれる通り、年金の中の基礎の基礎部分であまねく国民全員が入るという性質であるから認められたわけで、その上に乗る形の職域の年金である「厚生年金、共済年金」にはこういう手厚い補助はありません。
 いくら国民年金の5割を基準に議員年金は同額の負担率と言うことを力説しても、制度が違うのだから話にならない。議員年金が国民年金と厚生年金のどちらに性質が似ているかを考えれば答は明白。
 ただ単に、適当に5割という数字だけを持ってきたというだけならその5割には明確な根拠はありません。
 議員年金と国民年金と厚生年金の制度の違いがわからないなら、たとえ議員でも年金を語る資格はナシ です。
 
 5割国庫負担(予定)の国民年金は満額で80万円、厚生年金に加入している人でも超長期に高額で加入していても300万円の前半がせいぜい(国民年金と併せて)です。それと最低が412万円の議員年金とを同一に語られてもねえ。

 しかも、公的年金と議員年金を統合させようという話も議員の一部にあるそうですが、これもまた議員にとても有利になる。
 歳費額からして議員さんはほとんどが納税については最高税率のランクに該当する人のようですが最高税率ランクは50%(所得税と住民税で)。もし議員年金の保険料全額が公的年金として扱われると保険料は全額社会保険料控除となりますから、保険料を払った分の半分は税金が安くなるという形で本人に戻ってくるのです。実質負担は半分ですむ。今の議員年金が社会保険料控除ではない(確認していません、間違っていたらゴメンナサイ)のと思いますが、公的年金となった時点で、「保険料負担はものすごくお得」になります。
 そんなお得丸出しの制度になるのを防ぐためには、「給付の大幅な切り下げ」が不可欠。でもこの実施はムリです。

 なぜ税制で公的年金がこれだけ厚遇されているかといえば、「公的年金は老後の生活のための基礎となり必要なものだから」 そういう税制の恩典を高額の議員年金に安易に与えたらダメではないですか?

 いろいろ話をしても、ある人は小手先の手直し、ある人は抜本的改正とかいろいろいわれていますが、そういう抜本的改正を主張している人ですら「お粗末な年金知識が前提」になっていますから、目も当てられません。

 厚生労働省をはじめ、国会のブレーンにはたくさん年金がわかる人がいらっしゃると思うのですが、議員の先生にきちんとレクチャーはされていないのでしょうか。