さあ~てと 帯しめましょか。

人生、山あり谷あり
向かうはわが身の置き場所よ。
帯締め、気を染め、往きましょか・・・  ~part 2~   

さっちゃんと父 ★ 28 ★

2008年11月06日 17時32分32秒 | 実家の想い出

帯ちゃんシリーズ、第三弾!

今回は、帯ちゃんことさっちゃん自身が想い出語りをしています。

父の病と母の病、なんという皮肉・・・

と、どうしても比べてしまうさっちゃんなのでした。

引き続き、『 さっちゃんと父 』、どうか宜しく、お見知り置き下さい。。。

 

 

≪其の28≫ 肺繊維症

 

「今日は調子どーや?熱ないの?しんどないか?」

「昨日な、ゆうちゃんが剣道の試合負けなしやってんで、

ホンマにおまえは本番に強いなーって先生に言われてんてー。」

「マーくんは相変わらずゲームばっかりしてるわ。」


言葉をかけることが、一番の薬ですよという医者のアドバイスを聞き、

一人おしゃべりをしては、父の頷いたり、にこにこする顔を見て、

返事をしている父の口元をみては声にならない言葉を聞く日が続いた。 


 



 
肺の疾患が進行して、肺が硬く縮み、繊維化して、ガス交換機能が

大きく低下するのが肺繊維症レントゲンで見た写真は、左の肺が

3分の1も上の方に上がっていた。全く肺の病気など知らぬ私だったが、

見ただけであり得ない状態だと感じた。この肺を圧力を加えて、引っ

張って下ろすというのも不思議だったが、降りれば空気を吸える状態

になる可能性があるという説明だった。しかし手おくれ状態を感じていた。


父は若い頃、結核を患ったことがあるという。完璧に治ったと言っていた

がその時にすでに一つの肺が使い物にならなくなっていたようだった。

主治医は、


「ふたつ肺があるからひとつがほとんど機能しなくても大丈夫なん

ですけどね。かなり昔、戦争中に結核になったことがあると言われ

てたので、おそらくその時ひとつだめになったんでしょう。」


といった。もう片方が、硬くなって収縮して空気が吸えないとなれば息が

できない、痰も詰まりやすくなるから吸いださないと窒息してしまうという

ことで、喉に直接穴をあけてばい菌が入らぬようにと蓋をしてガーゼで

押さえていた。私は、少しでも方法があるならと、医者に任せたものの、

咽喉に穴を開けたらしゃべることも食べることもできなくなった父をみて、

なんという皮肉な病なんだろう、と母とを比べてしまった。


血を作れなくてどんどん血を作る物を食べさせなければならなかった

贅沢病の母。その母の行動に苦労させられた父の顛末がこの姿か・・・。 

なんという悲哀な人生・・・なんという皮肉な人生・・・

・・・父は前世で母に何をしたのだろう・・・


輪廻など、根っから信じているわけではないが、

そんなことさえ考えてしまうような毎日だった。

 

 

 

マンションは・・・というと契約破棄をしないという前提で購入したので、

予定通り引っ越しをした。一人暮らしをしていた父の住宅も整理して

必要なものだけ持ち込んだ。

 

父には、一縷の望みを託して、


「いつでも一緒に住めるようにちゃんとしてあるからな。

今度、退院したら新しい家やからな。みんな待ってるしー。

頑張らんとあかんねんで!」


と元気づけるのが、精一杯だった。

 

 

 

 

 images

 

つづく。。。

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