帯ちゃんシリーズ、第三弾!
今回は、帯ちゃんことさっちゃん自身が想い出語りをしています。
楽しみな住宅見学、そして、父の検査結果は・・・
引き続き、『 さっちゃんと父 』、
どうか宜しく、お見知り置き下さい。。。
≪其の27≫ 契約&宣告
「やっぱり、家買うとなれば小さくても庭付き一戸建てがいいよね~。」
確かに言ったよね~~。新婚時代にさあ!
「少々田舎の方でもしゃーないな。市内で一戸建ては小さすぎるよね。」
そんなこともいってたのに~もう忘れてしもてんなあ・・・
「市内から出たくないのん違うのん?」
「一戸建て買うなら少々遠かってもいいなあって思うでー。」
この話も忘れたんかいなあ!!確かに聞いたのにー!
な~あんて新婚時代には夢を語ったものだったが、
いざ実際にマイホーム購入となれば話がまるで違っていた。
会社から遠いところは嫌だという。地元付近から出たくないとのこと。
最近の一戸建ては基礎がなってないと騒がれていた時代。
世間では、欠陥住宅が酷いと話題になっていた真っ最中だった。
子供と一戸建てがいいねと2~3軒見廻った。しかし、一戸建ては、
やはり付き合いが煩わしいところがある。今までが、ちょっと家から
出る時もいろいろ言われたり、見られたりするのがかなり嫌だった
という家族の意見も聞いて、結局マンションに決めた。
新築では、予算内ではほしい間取りがなく、中古でも仕方ないねと探した。
なかなか気に入ったところがなかったが、ある日、義母と見に行った時、
新婚時代に見たというマンションを見に行ったら、一目で気に入った。
そこの住人も急いでいると、いうので決めてしまった。
父が入院してる間に引っ越してしまおうと思っていたからであった。
契約から鍵渡しまでたった、二週間しかなかった。
いろいろ慣れない手続きに、忙しい毎日を過ごしていた。
しかし・・・・・ 鍵渡しの4日前、
父のいろいろな検査結果が済んで、担当医師から結果報告があった。
「あと、良く持って、三か月ぐらいでしょう!」
「えっ!・・・・・・・」
「片方の肺が収縮して上にあがっているので、圧力をかけて元に戻る
か、引っ張ってみますが、かたくなっていたら戻らないでしょう。もう
一つの肺は昔にすでに使い物にならないようになっていますね。」
覚悟はしていたものの、まさかこんなに 早く宣告を受けるとは・・・
せっかく一緒に住めると思ったのに・・・
あんなに楽しみにしていたのに・・・
だからもっと早くお医者さんへ行こうって言ってたのに・・・
様々なことを頭に浮かべながら、私は自転車をひたすら漕いでいた。
湧いては流れる雫をぬぐおうともせず、冬の風に晒しながら
すでに闇になった道を走り続けた。