バロックリュートでバッハ

バロックリュート、ギター合奏、旅行などの趣味の記録

「(続)音と演奏の良いCD」 ピアノ協奏曲編(5)

2024年01月31日 | CD


ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番

反田恭平(ピアノ) アンドレア・バッティストーニ指揮 RAI国立交響楽団
録音:2016年  セッション録音(トリノ) 1SACD

 反田恭平という名前を知ったのは彼が2021年のショパン・コンクールで第2位になったニュース。
その時のライブ録音は音が悪く、ディスコグラフィを探していたらラフマニノフの2番が見つかった。
 これを聴いて驚いた。今までこの曲を色々聴いてみたが良い録音は見つかっていなかった。
本CDは素晴らしいピアノソロとオーケストラ、そしてその演奏を優れた録音がとらえている。
ピアノは明確で爽やかな音、オーケストラは豊かな重低音に支えられ重厚で聴きやすい。
早くショパンの協奏曲を録音してほしいものだ。

「(続)音と演奏の良いCD」 ヴァイオリン協奏曲編(8)

2023年12月16日 | CD


ブラームス ヴァイオリン協奏曲

エマニュエル・チェクナヴォリアン(ヴァイオリン) クリスティアン・マチェラル(指揮) ケルンWDR交響楽団
録音:2020年   1CD

 チェクナヴォリアンはウィーン生まれでアルメニアで育つ。指揮、作曲も行う新進のヴァイオリニスト。
使用楽器はストラディバリウス。

 この録音を聴いてまず感じたのが、ヴァイオリンの音が信じられないほど美しいことと、オーケストラの音の分解能が高いこと。ヴァイオリンが鮮明な音でしかも聴きやすい。オーケストラは総奏でも音が団子にならずに各楽器が明確に聴こえる。ブラームスの協奏曲の録音でこのような音はほとんど聴いたことがない。

 演奏も素晴らしくソロは重厚なオーケストラのサポートを受けて堂々としたブラームスを聴かせてくれる。指揮者のマチェラルも新進の精鋭だがチェクナヴォリアンとともに今後が大いに期待できる。

 ブラームスのヴァイオリン協奏曲は、Batiashvili (ティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデン)の録音がベストと紹介していたが録音が2013年とさすがに音がかすんで聴こえてしまう。近年の録音技術の進歩は凄いと感じる1枚だ。

クラシック以外のBEST10

2023年10月10日 | CD


思い出に残る曲、感動させられた曲を選んでみた。(順不同)

*恋人たちのペイヴメント Alfee
 アルフィーはコンサートにも行ったことがある程好きなグループ。その中でもNo.1の曲。高見沢のハイトーンは美しく感動的。

*Suddenly オリビア・ニュートン・ジョン
 映画ザナドゥの中で歌われるデュエット曲。不思議な雰囲気のミュージカルラブストーリーだが今は無くなったレーザーディスクで見ていた。

*Belle(美女と野獣から) ブロードウェイミュージカル
 ブロードウェイで初めて見たミュージカルで、当時留学中の娘とNYCで落ち合って3人で見た。記憶に残っているのはヒロインの美しく伸びやかなソプラノ、想像以上にコンパクトな劇場内部。その後見たミュージカルは、同時多発テロ直後にまだ異臭の残るマンハッタンで再開されたばかりのマンマミーアでいろんな意味で感動的だった。

*負けないで ZARD
 聴いているとやはり頑張ろうという気にさせてくれる。謎に包まれたところの多かった歌手だがもう少し長く生きて欲しかった。。。

*津軽海峡冬景色 石川さゆり
 コンサートでは舞台装置も迫力があって、圧倒的な歌唱を盛り上げていた。去年、青森港で旧青函連絡船を見学し青函トンネルのない時代に乗船した昔を思い出した。津軽海峡冬景色の歌碑前で写真を撮ったのもいい思い出。

*神田川 かぐや姫
 自分の学生時代を思い出すような曲。下宿していたのは銀閣寺近くの京都北白川だったが昭和の雰囲気は同じ。学生運動の最盛期で京大の時計塔も占拠され卒業式も無し。構内を歩いていたら火炎瓶が飛んできたり、今では考えられない時代だった。

*贈る言葉 海援隊
 デビューして間もないころ神石高原の牧場でたまたま聴いた。舞台も無くて五十人位が聴いていたが牛達も聴き入っていた?

*シクラメンのかほり 布施明
 歌唱力、声量は誰もが認めるところだろう。中でも最高のヒット曲。

*青い瞳のエリス 安全地帯
 「ワインレッドの心」も良いけど一曲を選ぶとするとこの曲。
 
*五番街のマリー 高橋真梨子
 コンサートを聴きに行ったが、大きな舞台装置やバックバンド、踊りがあるわけではなく声だけで聴かせられる実力。



「(続)音と演奏の良いCD」 ヴァイオリン協奏曲編(7)

2023年08月10日 | CD


ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲

ヒラリー・ハーン オロスコ・エストラーダ(指揮) フランクフルト放送交響楽団
録音:2021年4月 フランクフルト、ヘッセン放送ゼンデザール セッション録音、1CD

 ヒラリー・ハーンは今まで良い録音に巡り会えてない印象がありヴァイオリンの音がきつく聴こえることが多かった。強めのタッチの力強い弾き方や使用している楽器が関係しているのかもしれないが、今回の録音はドイツグラモフォンらしいいぶし銀のおちついた音だ。
(話が逸れるが、「強めのタッチの力強い弾き方」と思われる神尾真由子の録音もきつく聴こえることが多かったが最新録音のバッハ無伴奏ヴァイオリンソナタ、パルティータでは素晴らしい音だ。最新録音技術の勝利だろう。コンサートでチャイコフスキーの協奏曲を聴いた時の音が聴けた。)
 新進のエストラーダ率いるフランクフルト放送交響楽団の響きも好感が持てる音で聴くことができる。

 この曲では、ムターとベルリンフィルの録音もボヘミア風テーマの表現など感動的な演奏だが録音が少し古くなってしまった。


「(続)音と演奏の良いCD」 管弦楽曲(1)

2023年02月23日 | CD

J.S.バッハ ブランデンブルグ協奏曲

ベルリン古楽アカデミー
録音:2021年3月、5月  ベルリン、イエス・キリスト教会 セッション録音、2CD

 今までは、「フライブルク・バロック・オーケストラ」版と「鈴木雅明 BCJ 2008」版を双璧としていた。
最近更に素晴らしい録音、演奏を聴かせてくれるCDが出現した。

 この録音にはヴァイオリンにイザベル・ファウストが参加している。この組合せではJ.S.バッハのヴァイオリン協奏曲集も出していて気心の知れた仲だろう。ファウストが入ったことでの相乗効果は大きなものだ。ファウストはメイン楽器であるストラディバリウス(スリーピング・ビューティ)ではなくヤコブス・シュタイナーを使用している。ベートーベンの協奏曲などは前者で弾いていて使い分けているようだ。

 録音は有名なベルリンのイエス・キリスト教会で行われているが、ここはカラヤン、ベルリンフィルの録音他、数多くの著名なオケ、演奏家が演奏している。教会は一般的に残響時間が長いのでオーケストラ録音では解像度が落ちたりする場合がある。しかしながら、今回の小編成の録音では素晴らしい解像度と聴きやすい音を捉えている。バッハのヴァイオリン協奏曲集はスタジオ録音だがそれを上回る出来栄えになっている。

 第1番と2番は管楽器が活躍するが私は好みの第3番から聴き始める。時折聴かせるファウストのソロの素晴らしさに加えて中低音弦楽器の絶妙な絡みを最新技術で録音している。周波数帯域の広い録音が爽やかな音場を形成して聴く者を引き付けて離さない。

「(続)音と演奏の良いCD」 ヴァイオリン協奏曲編(6)

2023年01月13日 | CD
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲

以前に挙げたシュタインバッハー版に加えて、バイバ・スクリデの全集を。

バイバ・スクリデ アイヴィン・オードラン(指揮) スウェーデン室内管弦楽団
2019年10月Orebro, Musikhogskolan セッション録音、2CD



 バイバ・スクリデは、ラトヴィア1981年生まれ。2001年のエリザベート王妃国際音楽コンクール優勝という経歴を持つ。楽器は、貸与されたイフラ・ニーマン・ストラディバリウスを使用。

 以前、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲ではフラングのCDを挙げたが残念ながらこちらは1番と5番のみだった。スクリデ版は全集で演奏の素晴らしさはフラング盤に勝るとも劣らないものだ。
モーツァルトはカデンツァを書いてないそうでスクリデは自作のカデンツァを弾いている。これも聴きものだ。
新しい録音らしく爽やかなストラディバリウスの音色が印象的で小編成のスウェーデン室内管弦楽団とのバランスも良い。
Youtubeで紹介映像を見ることができる。
Mozart Violinkonzerte 1-5 - Baiba Skride, Eivind Aadland, Swedish Chamber Orchestra - YouTube


「(続)音と演奏の良いCD」 交響曲編(3)

2022年05月28日 | CD


ブラームス交響曲

ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮) ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
 録音 第1番~第2番 2019年 ライプツィヒ、ゲヴァントハウス  デジタル/ライヴ
 録音 第3番~第4番 2021年 ライプツィヒ、ゲヴァントハウス  デジタル/セッション

 ブロムシュテット版のブラームス第2番を聴いていたら戸棚のガラス戸がビリビリ鳴った。スーパーウーファーの出す低音に共振したのだ。JBL4343のウーファーは38㎝なのだがそれでも60Hz以下は十分ではない。それを補完するためにスーパーウーファーを付けている。そのレベルはガラス戸等が共振しないレベルにセットしてあるがこのCDは珍しい。

 そこで簡易的なスペクトルアナライザで調べてみた。添付の画面がそれで上がこのブロムシュテット版で下がシャイー(ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)版。これらは第2番のトゥッティ部の代表的なパターンで、前者では低音(45~65Hz)辺りが強調されており、これはコントラバスの低域に当たる。後者では低音(65~95Hz)辺りが強調されており、これはチェロの低域に当たる。

 データではたったこれだけの違いだが聴覚的には大きな差になって聴こえるのが不思議だ。前者で試しにスーパーウーファーをOFFにしてみた。そうすると低音が弱くなるだけでなく音楽のスケール感が貧弱になり生き生き感も無くなる。例えればステレオをモノラルに切り替えた時の感覚に似ている。
 後者ではその落差が小さい。これはスーパーウーファーで補完する周波数が弱めにしか入ってないからだ。元々低音再生能力の低いシステムで聴く場合は前者と後者の差は分かりにくいだろうし、スーパーウーファーを追加する場合の効果も限定的かもしれない。(やってみないと分からない)

 もう一つの話題として録音する場所の影響について。両者ともライプツィヒ・ゲヴァントハウスで録音されている。後者は中、高音側にエネルギーがある録音で少しヴァイオリンパート等にキンキンした音の部分もある。前者は低域重視の録音で非常に聴きやすい。同じホールで同じオーケストラの録音だが録音によって全く違うものになるということだ。ライプツィヒ・ゲヴァントハウスは音の良いホールとして有名だがそれはそのホールで直接聴いた時の話で録音は全く別物ということも分かる。

 現在の録音・マスタリング技術からすると現地で聴く以上の解像度でCDを製作できる。ここ数年の最新録音ではこの点を追求する傾向もある様だ。マスタリング段階でソロ楽器やフィーチャーした楽器のレベルを上げるとか、ホールではほとんど聴こえないコントラバスの音を強調したりしてあるものもある。
 技術発達すればするほど家で興味深く聴くことが出来るが実際にコンサートホールで聴く状況を部屋で再現することは不可能だ。例は悪いが、バーチャルツアーで現地に行った気になれるか? TVで野球観戦して球場に行った雰囲気を味わえるのか?というのに似ていると思う。現地と家での視聴の違いは割り切って考えておく必要がありそうだ。

 余談ばかりで恐縮だが、「ブロムシュテットとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のブラームス交響曲は素晴らしい演奏を素晴らしい録音が支えた最高のCDだ。」
楽曲の詳しい解説や感想は、michaelさんのブログにお譲りしたいと思います。

「(続)音と演奏の良いCD」 交響曲編(2)

2022年05月06日 | CD

チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」

テオドール・クルレンツィス(指揮) ムジカエテルナ (1CD)
録音 2015年 場所:ベルリン、フンクハウス デジタル/セッション

 チャイコフスキーの交響曲は、第5番が好きで一番よく聴く。コンサートでもヴァイオリン協奏曲とともに何回も聴いたものだ。
 しかし悲愴は家ではあまり聴いていない。それは優れた録音に出会わなかったから。冒頭のファゴットのpp音はコンサートホールでは難なく聴きとれるが、S/Nの劣るLPやテープの時代はスクラッチノイズやヒスノイズに埋もれて良く聴こえない。CDの時代になって格段にS/Nが改善されたがまだ十分と言えない時期が続いていた。このクルレンツィスの録音はまさにコンサート会場以上の解像度でファゴットのテーマを聴かせてくれる。これを聴いて期待をもって最後まで聴こうと思ったわけだ。期待に違わず、悲愴で初めて聴く高S/N比、広いダイナミックレンジの録音に引きこまれてしまった。

 私がクルレンツィスの名前を知ったのはつい最近だが現在最も期待している指揮者だ。彼はギリシャ生まれで、ムジカエテルナを創設し、SWR交響楽団の首席指揮者でもある。

 彼のCDを最初に聴いたのはモーツァルトのフィガロの結婚。序曲を聴くと今まで聴いたことがない自由な表現とダイナミックな演奏に魅了された。
 ウィーン歌劇場で同曲を聴いた時(クルレンツィスの指揮ではない)の演奏には伝統を重んじる正当性を感じたものだが、どちらが良いとか比較することは意味がないだろう。開演直前のオーケストピットで何百回も弾いたであろう曲を一人練習する当時のコンサートマスターのキュッヒルさんの姿は目に焼き付いているが、あの真摯な取り組みがウィーンの伝統を守っているのだろう。
 最近は、クルレンツィスに限らず伝統にとらわれない自由な表現を行う演奏が注目を集めている面がある。単純にこれが良いとは思わないが興味ある事象ではある。


「(続)音と演奏の良いCD」 交響曲編(1)

2022年04月21日 | CD


シベリウス交響曲全集

パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) パリ管弦楽団 (3SACD)
録音 2012年~2016年 場所:フィルハーモニー・ド・パリ他  ステレオ(デジタル/ライヴ)

 ヤルヴィがパリ管弦楽団の音楽監督だった時に録音されており勝手知ったる、という感じの素晴らしい録音だ。ヤルヴィは、2015年からNHK交響楽団の首席指揮者となり日本でもより知られるようになった。パリ管弦楽団はCDへの露出は少ないが、昔、ミュンシュの幻想交響曲で一世を風靡したものだ。
 ヤルヴィは「私はシベリウスの演奏伝統など信じない。パリ管にはそうした伝統がないからこそ、作品をありのままに捉えその深奥に偏見なく迫れる」といったそうだが、演奏を聴くと特段奇異なところがあるわけでもなく生き生きとした鮮明な演奏だ。録音も素晴らしくダイナミックレンジの広い演奏を余すところなく捉えている。
 地元フィンランドの演奏なら、以前紹介した「オッコ・カム(指揮)ラハティ交響楽団」が最適だ。
シベリウスの交響曲といえば第2番が突出して有名で、コンサートで取り上げられる回数も多いが私も8回くらい聴いたと思う。しかしながら他の曲も何回も聴きたくなる名曲が多く1番、5番、7番などを聴くと爽やかな気持ちになる。

「(続)音と演奏の良いCD」 ピアノ協奏曲編(4)

2021年10月11日 | CD

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番

*ベアトリーチェ・ラナ(ピアノ) パッパーノ&聖チェチーリア国立音楽院管(1CD)
  録音 2015年7月 ローマ、オーディトリウム・パルコ・デッラ・ムジカ(デジタル/セッション)

 この曲は数多くのCDが発売されていて名演も多い。しかしながら、名録音というのは非常に少ない。ラナはイタリア生まれの若いピアニストでこの録音は22歳の時のもの。溌剌とした演奏は非常に魅力的だ。聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団は、ローマを本拠地とする歴史あるオーケストラで長く音楽監督を務めるパッパーノの指揮の下、生き生きとした雰囲気を醸し出している。
 録音は分離の良い鮮明な音でこの名曲をひき立てている。多分、録音場所のオーディトリウム・パルコ・デッラ・ムジカの音響特性が優れているのも大きいのだろう。ホールの写真を見ただけでそれは想像できる。


「(続)音と演奏の良いCD」 ピアノ協奏曲編(3)

2021年09月28日 | CD


ブラームス ピアノ協奏曲

*ポリーニ(ピアノ) ティーレマン(指揮)&シュターツカペレ・ドレスデン(2CD)
  録音 1番2011年6月、2番2013年1月 ドレスデン、ゼンパーオーパー(デジタル:ライヴ)

 ブラームスのピアノ協奏曲は人気が高く、実演でもよく聴いたことが有る。1番の堂々とした始まりと対照的にピアノの軽やかなメロディで始まる2番、いずれも名曲だ。
 ポリーニは生では聴いたことがないが風貌から想像する演奏とは異なり繊細かつ豪快さを併せ持つ素晴らしい演奏家だと思う。ティーレマンも手兵のオケで充実のサポートを行っている。
 録音はライブ録音だが、大体のティーレマンの好録音のように良い響きを再現してくれる。ブラームスの交響曲、ピアノ協奏曲の録音は、響きが混濁しやすいだけに難しいと思うが数少ない名録音と思われる。


「(続)音と演奏の良いCD」 ピアノ協奏曲編(2)

2021年01月26日 | CD
ショパン ピアノ協奏曲集(第1番、2番)

*オルガ・シェプス(ピアノ) フォレムニー(指揮)&シュトゥットガルト室内管弦楽団 (1CD)
   録音 2013年9月 SWR放送スタジオ (デジタルセッション)

 なんといってもこの曲集の特徴は、伴奏がオーケストラではなく弦楽合奏であること。
ショパンはシューマンのように交響曲を作曲している訳でもなく、オーケストラ曲は得意ではないのだろう。管が入るとどうしても泥臭い響きになってしまう。
 それが弦楽合奏版だとすっきりしてピアノの美しい音色がひき立ってくる。これは好みだが寝起きにでも聴ける曲になる。


*ドニ・パスカル(ピアノ) フランソワ・グザヴィエ・ロト(指揮)&レ・シエクル (1CD)
   録音 2005年 フランス、コンピエーニュ劇場  (デジタルセッション)

 流石に弦楽合奏版では寂しいという場合は、今話題のロト&レ・シエクル盤が最高だ。
従来の多くの演奏とは異なり、クリアで鮮烈な響きを体験できる。
録音は少し古めだが分解能も十分で新たな発見も有りつつショパンの魅力を聴きとることが出来る。


「(続)音と演奏の良いCD」 ピアノ協奏曲編(1)追加

2020年12月08日 | CD

ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集

児玉麻里(ピアノ) ケント・ナガノ(指揮) ベルリン・ドイツ交響楽団 (3SACD)
   第1、2番 2006年6月 ベルリン、テルデックス・スタジオ
   第3番   2006年11月 ベルリン、ジーメンスヴィラ
   第4,5番 2013年3月 ベルリン、イエス・キリスト教会

 これは圧倒的な魅力を持つアルバムで私のベストセレクションになりそうなCDだ。
昔はクラシックの日本人演奏家のLPは敬遠する傾向があったが、現在は全くそんなことは無い。
日本の固有芸術ではないのに世界に通用する演奏家が多く出てきたのは嬉しいことだ。
 児玉麻里というピアニストは聞いたことがなく大きな期待はなかったが聴いてみると素晴らしかった。
タッチが強く、鮮烈な音でベートーベンを再現していて男性ピアニストかと思うくらい。
ケント・ナガノの指揮は今まで聴いたことがない部分でコントラバスの音などが聴こえてきたりして非常に新鮮だった。
 録音も優秀で低音まで十分にとらえたどっしりとした音像を再現できる。
再生時に低音を上げればコントラバスの音などが聴こえるというものではなくて、録音時にとらえていることが必須だ。
録音は3か所で行われているので会場で音がどう変わるのか聴いてみるのも興味深い。


「(続)音と演奏の良いCD」 ピアノ協奏曲編(1)

2020年11月20日 | CD
ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集


フランソワ=フレデリック・ギィ(ピアノ&指揮) シンフォニア・ヴァルソヴィア
   2019年3月 デジタル/セッション録音 (3CD)
   モナコ、ヤコフ・クライツベルク・ホール

ギィはフランスのピアニストでドイツ音楽、特にベートーベンを得意としている。
シンフォニア・ヴァルソヴィアはポーランド・ワルシャワに本拠地があるオーケストラで、1984年にユーディ・メニューインによって設立された。
 演奏は、快活で非常に生き生きとした感じを持たせてくれる。オケも初めて聞く名前だが素晴らしいハーモニーを聴かせてくれる。
 録音はピアノ、オーケストラとも音がクリアで新しい録音機器、技術の素晴らしさを感じさせる。逆にこの素晴らしい録音を再現しようとするとそれなりの再生装置が要求されるだろう。そうでないとうるさく感じるかもしれない。

もう一つの素晴らしいCDを発見した。

ジャン・ランソワ・エッセール(ピアノ&指揮) 新アキテーヌ室内管弦楽団
   2014年11月、2015年3月 デジタル録音 (3CD)

 エッセールは1950年フランス生まれ。新アキテーヌ室内管弦楽団は1981年設立でエッセールが芸術監督を務めている。
 演奏は奇をてらうことのない正統的なもので好感が持てる。弾き振りの場合、多少おとなしめの演奏になる事があるかもしれないが何回でも聴きたくなるCDだ。
 録音は、マイルドかつクリアな音で、若干低音が強調され非常に聴きやすい。オーケストラの広がりの中にピアノがしっかりとは配置されている。


「(続)音と演奏の良いCD」 弦楽四重奏曲編(4)

2020年08月16日 | CD
ベートーベン  弦楽四重奏曲全集 (追加)
  (1)のクレモナ弦楽四重奏団の記事の後発掘したもの。



エベーヌ四重奏団 7CD 
 『ベートーヴェン・アラウンド・ザ・ワールド~弦楽四重奏曲全集』と題した全集で、2019年から2020年にかけて、北米、オーストラリア、アフリカ、アジア、ヨーロッパ等のツアーをライヴ録音した。
 このCDの演奏と録音の素晴らしさはとんでもないものだ。演奏は現代の演奏らしく快活で新鮮そのものだが落ち着きも同時にあり完成度が非常に高い演奏になっている。ライブ録音での盛り上がりも演奏の盛り上がりに寄与しているように感じられる。
 録音も特筆すべきもので、ライブ録音とは思えない臨場感で目の前で演奏しているような各楽器の細かいニュアンスが聴き取れる。ヴァイオリンの高音が金属的になることも無く爽やかでチェロの音も弦と弓の擦れる様子が見えるようだ。会場ノイズや拍手等は削除されていて気持ちよく繰り返して聴くことが出来る。



カザルス弦楽四重奏団  2019年 ベルリン、テルデックス・スタジオ デジタル/セッション録音
 カザルス弦楽四重奏団は、1997年にマドリッドで結成。2000年ロンドン国際弦楽四重奏コンクール、2002年ブラームス国際弦楽四重奏コンクール等、数々の国際コンクールで優勝している注目のカルテット。


上記以外にも優秀な演奏、録音があったがレーベル写真のみを載せておきましょう。
ベートーベンの弦楽四重奏曲はここ数年間実に豊作だ。


ミロ四重奏団


ベルチャ四重奏団