limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

life 人生雑記帳 - 65

2019年11月21日 11時35分21秒 | 日記
国分市内の中心から少し離れた雑居ビルの2階。恭子の知り合いが営んでいるバー“胡蝶蘭”はそこにあった。路地1本を入っただけなのに、人通りも少なく静かな空気が流れている。隠れ家としては、申し分無かった。「ママ、お久しぶり!」「まあ、恭子ちゃん!いらっしゃい!今日はどう言う風の吹き回し?」「うん、ちょっと“親睦会兼作戦会議”なの!一番奥、いいかな?」「どうぞ!恭子ちゃんが来たなら、“指定席”だもの!」と言われて店の一番奥まったボックス席へ通される。面子は、恭子とちーちゃんと早紀さんに僕だ。僕の左側に恭子が座り、ちーちゃんと早紀さんが向かいに座った。「Y、タバコは自由にしていいよ。みんな、取り合えず何にする?」恭子が注文を取り出す。「折角だから、ボトルを入れません?その方が密かに話すには、都合が良さそうですし」僕が言い出すと「面白いわね!Y、乗ったわよ!」恭子が直ぐにその気になった。お酒のセレクトは僕が決定権を取り“ロバートブラウン”のボトルを1本入れた。「どんな感じなんです?」早紀さんが言うので「バーボンに近い味わいですよ。水割りでゆっくり飲めば丁度いい感じになるでしょう」と言った。氷にピッチャーの水、お通しが揃ったところで、乾杯をして宴は始まった。「うん、美味しい!焼酎もいいけど、ウイスキーも悪くないわね!」ちーちゃんが目を丸くした。「早紀、やはりこの男、タダ者じゃないでしょ?」恭子が言うと「ええ、切れ味鋭いカミソリの様ですね!」と早紀さんも応じた。僕が、懐からタバコのBOXとジッポーを取り出すと、恭子が手を伸ばしてタバコに火を点じた。「何か、すごく自然な流れに感じますよ」早紀さんが言うと「あたしは、Yの“正室”よ!これくらいの事、Yが眉一つ動かすはずが無いでしょう?」恭子が微笑んで返した。「さて、“重たい話”から片付けようか?早紀、どうだったの?」恭子が訊ねた。早紀さんは「結論から言うと、限り無く“クロ”に近いと言えます!」と切り出した。「調査対象は?」「整列工程の同期の男子です。カマをかけて脅したら、アッサリと落ちました。“品証を敵に回す意思はあるの?”って迫ったら、色々と喋ってくれましたわ!」「じゃあ、やはり岡元が仕組んだのね?」恭子の声が暗くなる。「ええ、その様です!岡元には、幾つもの“誤算”がありました。まず、整列工程への異動は一時的なもので、また直ぐに呼び戻されると言う身勝手な誤解です!たった2週間の引継ぎだけで、Y先輩が返しを回せるはずが無いと踏んだのですが、Y先輩の能力は岡元の想像を遥かに越えた高いポテンシャルを持っておられました。最初の躓きはこれでした。次の誤算は、神崎先輩との関係です!男性を嫌悪する、神崎先輩と“良好な関係を築けるはずが無い!”と侮っていた様ですが、これもY先輩は、いとも容易くクリアしてしまい、岩崎先輩や千春先輩とも良好な“信頼関係”を構築してしまわれた。“後門の狼”が味方に付いたのですから、想定外もいいところでした。そして、“前門の虎”であるパートさん達とも打ち解けて、傘下に治めてしまわれた。岡元が、力でねじ伏せるしか無かった“虎”が“猫”に代わり、懐いてしまった!これは、最大の誤算だったでしょう!1ヶ月弱で全権を掌握され、“安さん”のバックアップも付いた。岡元が、面白いはずがありません!そこで、若輩者の“弱みに付け込む策”に打って出た!しかし、2回共にY先輩とパートさんに看破されてしまい、敢え無く失敗!岡元は、臍を噛むしか無かったのです!しかも、Y先輩と岩崎先輩、千春先輩との“改革路線”は、確実に成果を出しています。橋元さん達、塗布工程からも信頼を得始めているのですから、岡元の焦燥感は深くなる一方でした!」「それで、こんな手の込んだ策を巡らせた!Yを失脚させるために!何て卑劣なのよ!」ちーちゃんが怒りの声を上げた。「最早、手を選んでは居られなかったのです!これまで、“事業部内最悪の組織”と言う“烙印”を押されていた、かつての職場が180度変わり、“点が線”になりつつあるのです。己に出来なかった事を軽々と実現されたら、みなさんどうします?」早紀さんが聞くと「そりゃ、面白くないわね!」「自分の“無能さ”を晒されたと思うでしょうね!実際、何もしなかったし、変えようともしなかったけど」ちーちゃんと恭子が言った。「これまで、塗布・返し・検査・出荷がまとまる要素が無かっただけに、岡元は自由を謳歌して来ました。自分の都合を優先させて、他人を思いやる事すらしなかった。その結果は、みなさんがご存じの通りです。ウチの井端責任者がよく言ってました。“点でバラバラだから、組織力が働かない。だから、悪循環に陥れば収拾すら図れない”と。Y先輩達が赴任されてからも、“再建は困難だろう。前門の虎と後門の狼とどう折り合える?拗れた糸を解すのは容易ならざる仕事だよ!”ってこぼしてました。そして、ここだけの話なんですが、“Y先輩をどこに配属するか?”で井端・“安さん”の2人での協議は、ギリギリまで難航したんです!“岡元の首を挿げ替えるのはいいが、彼にその大役が務まるか?”って井端責任者は反対。でも、“安さん”は“いざとなれば、俺が腹を斬る!一見ひ弱に見えるが、その腹の内に秘めた力を発揮させれば、あるいは変化をもたらすかも知れん!”と言って押し切ったんです!そして、今、点は線に代わり、事業部の中でも非常に“革新的”とされる事が進んでます!成果も着々と上がり、あたし達、品証も胸を撫で下ろしている状況です。“武田信玄が最強の騎馬軍団で、島津を圧倒した様なものだ!あの男はタダ者じゃない!”って井端責任者も腰を抜かした程です。岡元が弄した策も看破して見せましたし、塗布・返し・検査・出荷の4工程を一体化するとは、誰も思わなかった事です。今回の“事件”についても、より一体感を強める結果になりました。下山田も、“信玄を相手に喧嘩を売るつもりは無い”と断言してます。岡元の命運は分かりませんが、末端に追いやられるのは間違いないでしょう!」早紀さんはそう報告を締め括った。「結果はどうであれ、あたし達が引き返す事は無い!積年の課題がやっと解決されるのよ!1度好ましい循環を知った以上、誰も後戻りしたいとは言わないでしょうよ!」ちーちゃんはそう言ってグラスを空にした。「そうよ!Yは、誰の話でもまず聞いてくれるし、何より“変えて行こう”とする強固な意志がある!必要ならば、真っ先駆けて突き進むし、落ちこぼれた者にも手を差し伸べる!だから、みんなが後を追って行くのよ!“アイツに遅れを取るな”ってね。それが分からない岡元に何が出来ると思う?精々、こんな姑息な手を繰り出すだけよ!“安さん”もそれは見抜いてるし、分かってるはず。下山田をこき下ろしはしたけれど、内心は“Yの後を追え!”と言いたかったはずよ!今日の夕方、下山田と回って来た時だって、“Yに出来てお前に出来ない理由は無い”って教えてた。下山田も現実を思い知らされて、うな垂れていたけど、内心は心穏やかでいたはずが無いわ。“俺も続かなくては!”と思ってくれれば、体制は更に強固になるもの。どうやら岡元の椅子は消えた様ね!ヤツが戻る席は無い!Yが変えた景色は、簡単に覆るモノではないもの!」恭子も3杯目を飲み干した。「しかし、“改革”は、まだ初期段階です。一貫しての仕事の回転率の向上や品質の向上は、これからの課題。邪魔をされたら、ひとたまりもありませんよ!まだ、安心できる状況ではありません!」僕も2杯目を飲んだ。「そうでも無いですよ。Y先輩が形作った“新体制”は、もう揺らぎません!」早紀さんが笑って言った。「何故、そう言い切れる?」「“安さん”は、完全にY先輩の“思う通り”にやらせる意思を固めてますし、ウチの井端責任者も信頼を寄せてます。“GEのトレーについて、営業の馬鹿どもに一矢報いた功績は、Yの意見があったからだ!”と申しておりました。品質保証部としては、Y先輩がこれから更に“改革”を進める上でも、後押しを惜しみません。技術陣もそうです。下山田が“信玄に攻め込まれぬ様に、完璧な馬防柵を築いてくれ!”と懇願したんですが、技術者は笑いながら“あの騎馬隊を止めるのは不可能だ。蹂躙されたくなければ、籠城しろ!”と言ったんです。真っ向から立ち向かうには、今の下山田の力では無理なんです。ですから、技術陣も徹底してY先輩から文句を言われない様に知恵を絞りました。“あの突撃を止めるのは容易くないが、それだけにやりがいはあった。俺達を困らせてくれる分には、一向に構わない。そうでなくは、我々が仕事をするフィールドが無くなってしまう”と言ってました。2階で仕事をしている部隊は、みんなY先輩に期待してるんです!岡元の様な“蠅”如きヤツが姑息な事をしても、もう誰も見向きもしないんですよ!」「こっちだってそうよ!あたし達は、もう振り返らない!ただ、ひたすらにあなたを追うだけよ!」恭子も言った。「“人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり”か」「何よそれ?」僕の呟きに、ちーちゃんが反応した。「“どれだけ城を強固にしても、人の心が離れてしまえば、世の中を収める事は出来ない。熱い情を持って接すれば、強固な城以上に人は国を護ってくれるし、仇を感じる様な振る舞いをすれば、いざと言う時自分を護るどころか裏切られ窮地に立たされる”信玄の言葉ですよ。岡元さんは、“仇は敵なり”を地で行ってしまった。僕はそんな過ちをしない様にしなきゃならないって事ですよ!」「そうかも知れません。あなたは、人を大切になさる。どんな些細な事にも目を配られる。そうした姿勢をみんなが見ているんです!だから、あなたを追って行く。岡元に無いものを持っていた。いいえ、何も持たずに空手で国分に来られた。それが、あなたの最大の武器だったのでしょう!」早紀さんはそう評した。「Y、もう1度乾杯しようよ!」恭子が言い出した。「“改革”の成功を祈念して、カンパーイ!」4つのグラスが軽く重なった。

適度に酔いが回りだすと、3人の女性陣の口も軽やかになり、次第に話に花が咲いた。だが、露出度も高まり目のやり場に困る事にもなってしまった。恭子もちーちゃんも早紀さんも胸元を“ここぞとばかり”に見せつけるのだ!「Y、高校の時は2期生だったんでしょう?1期生とともに“礎”を築く立場よね?大変だったと思うけど、“校風と伝統”を形作った感想は?」ちーちゃんが言い出す。「後々まで続く訳だから、“悪しきもの”は残せない。僕らが“これはダメだ!”と思った規則や生徒会則は、全て破壊して3期生に託しましたよ。“太祖の世に復せ”が合言葉でしたね」「“太祖の世に復せ”とはなに?」「あー、分かりませんよね。“1期生の時に戻せ”って言った方がいいかな?」「Y先輩、たまに難しい言葉を使われますよね?高校の頃、何て呼ばれてました?」早紀さんも突っ込んで来る。「“参謀長”だよ。堅苦しい肩書だけど、それも、後輩の女の子に継がせた」「どうして女子に継がせたのよ?」恭子が不思議そうに言う。「実力の差ですかね。継がせた子には、入学直後に停学を喰らった過去があったけど、更生させてクラスの委員長にまで這い上がらせた。地に堕ちた人は、クサるか?這い上がるか?の2択しか無いけど、上田・遠藤・水野・加藤の4人には、這い上がるだけの根性はあった。這い上がった者は、他人の辛さや悲しみや痛みを誰よりも理解できる。人として確かなモノを手にした彼女達なら、僕等の後を継げると踏んだ。だから託して来た。それだけですよ」「今の原点は、その時にありか!Yは、“任せられる”と決めたら、パートさんでも信じてやらせてるものね。人を見る目の確かさは、そうした環境で養ったのか!」「まあ、ベースは高校時代ですかね」「化粧も“容認派”だし、自らもネックレス付けたりしてるし、柔軟な考え方が出来る素地を作った3年間だったのね」「それもありますが、3年間を通して“常にクラスの危機”と戦った時間でもありますよ。平穏無事だった日々を数えた方が早いくらいですから」「誰がYを戦いの場に送ったのよ?」「菊池美夏。忘れようにも忘れられないモンスターです。クラスの全権を握りたくて、あれこれと画策してくれましてね。無期限の停学を喰らっても、脅かすのを止めなかった。ですから、彼女との戦争に終止符が打たれるまで、つまり3年生の4月まで振り回され続けました。最後は、友好的に別れましたけど」「彼女、Y先輩が好きだったんじゃありませんか?」早紀さんが痛いところを突く。「僕にとっては“圏外”だった。でも、彼女にして見れば“圏内”に留めたかったらしいね。けれど、結局は“一方通行”だったよ」「レアなケースよね?Yが“一方通行”って断言するなんて」ちーちゃんが言う。「僕だって、認めないケースはあります。最も、今はそれが通じませんがね」「そうよ!“大奥の掟”には逆らえないわよ!」恭子が釘を打ちに来る。「そう言えば、あたしにお呼びが来ないのはどうしてです?」早紀さんが言い出した。恭子とちーちゃんは顔を見合わせて「早紀も“大奥”に入るの?」「彼氏はどうするのよ?」と口々に返した。「別に、薄っぺらなヤツですから、袖にすればいいんです!大切にしてくれる人に抱かれたいだけです!」と言い放った。僕等3人は、早紀さんの顔色を窺った。酔ってはいるが、彼女の強い意志は読み取れた。「Y-、どうする?」「“側室”が増えてもいいの?」恭子とちーちゃんが僕の顔を覗き込む。「品質保証部の大物を、敵に回すのは得策とは言えませんね。今回も活躍してもらいましたし・・・」「Y先輩、ボトルが空になりましたよ。追加しますか?」早紀さんは、こっちの心配をよそにお酒の追加を言い出した。「追加してもいいよ。まだ、時間もあるし・・・。恭子、ちーちゃん、断れない雰囲気だよ!」と僕は言った。「やむを得ないわね」「あー、ローテーションに悩む事になりそう」2人は渋々了承した。ボトルの追加を受けて、更に話は続いた。

夜の11時。すっかり酔っ払った4人が“胡蝶蘭”を出て、表通りに停まっているタクシーへヨロヨロと進みだした。恭子と僕が支払いを済ませる間、ちーちゃんは早紀さんを支えるのに必死だった。「まだ、夜更けじゃないわよ!先輩!2次会・・・、行きます・・・よ!」呂律の回らぬ口調で、早紀さんは暴走しようとする。「早紀!飲みすぎよ!さあ、帰るわよ!」体格で勝るちーちゃんに抑え付けられていなくては、彼女は何処に行くか分からなかった。「ちー、お待たせ。早紀のヤツ完全にイッちゃってるわね」「頭脳明晰のしっかり者でも、酒に飲まれちゃうとは・・・」「Y、肩を貸してよ。早紀のヤツ、そろそろ沈没しかねないわ!」ちーちゃんの危惧は当たった。早紀さんは、完全に落ちてしまったのだ。3人がかりでタクシーへ押し込んでから、彼女のアパートへ向かう。ポーチからアパートの鍵を取り出したのは、ちーちゃんだった。5分程走ると、早紀さんのアパートに着いた。「早紀!早紀!アパートに着いたわよ!」ちーちゃんが頬を叩くと、早紀さんが眠りから覚めた。「Y先輩・・・、おんぶー・・・」早紀さんは、身体を預けて来る。「仕方無いわね。Y、早紀を宜しく!」「部屋は、2階の真ん中よ!鍵はこれ。それと、早紀の荷物がこれ」恭子とちーちゃんがそれぞれに言う。彼女を背負うと「明日の朝、迎えに来るから、頑張りなさい!」恭子が恐ろしい事を言ってから、タクシーを出発させた。「おい、聞いてないぞー!」と言っても手遅れだった。夜の闇の中に、早紀さんと取り残されたのだ。夜明けを待つには、部屋に入るしか無い。仕方なく、早紀さんを背負って部屋の鍵を開けて中へ入った。照明のスイッチを手探りして、明かりを点けると女性の1人暮らしの部屋が浮かび上がった。整然と整理された部屋には1分のスキも無い。ベッドルームに行き、早紀さんを背中からベッドへ移す。デニムのミニスカートに白いブラウス。胸元からは、薄紫のブラが見えた。タオルケットで覆い隠してから、ベッドルームから出てリビングに座り込む。「さて、どうしたものか?」夜明けまでどこに居るべきか?散々考えるが、名案が浮かぶはずも無い。かと言って、鍵をポストに入れて帰るのは如何にも不用心だし、不審者と見咎められる恐れがあった。「恭子とちーちゃんの陰謀だな!何となく、嫌な予感はあったが、本気でハメるとは・・・」喉の渇きを覚えたところで、シンクから水を流し手ですくって水を飲んだ。ハンカチで手を拭くと、リビングの床に座り込む。その時、不意に後ろから素肌で抱き着かれた。「先輩、早く!」振り返ると、薄紫のパンティ1枚だけの早紀さんがいた。「謀ったなー!」「ええ、酩酊するほどじゃありませんよ。2人きりになるための演技です」早紀さんは悪戯っぽく笑っていた。膝に入り込むと、いきなりディープキスをされる。「ねえ、しようよー」と言って舌を絡ませながら、中くらいの乳房に手を持って行く。「嘘はつかないね。だって、坊やが大きくなってるもの。あたしじゃダメなの?」「そう言わせたくないんだろう?早紀さん!」「ヤダ!“早紀”って呼び捨てにして!パンティがびしょ濡れなの。外してもいい?」早紀は、生まれたままになり、下に手を導いた。「かき回して!お願い!」指を2本使って弄んでやると、腕がびしょびしょになった。「ああ・・・、出る!・・・何か出ちゃいそう!・・・イッてもいいですか?・・・いいですか?」言葉が終わらぬ内に、早紀は愛液を大量に滴らせた。「今度は・・・、あたしの番」早紀は、僕の息子を引き出すと舌を使ってエネルギーを送り込み始めた。こうなれば、後は成り行きだった。「早紀に入れて頂戴」僕は、思いっきり腰を使ってやり、早紀は何度も息子をねだって、声を上げた。体液は一滴を余さずに早紀に注いでやった。

早紀を抱いて、眠りについた頃、多分午前3時ぐらいだろうか?雨が強くなり始めた。窓に打ち付ける雨音で目を覚ました僕の隣には、早紀がピッタリと寄り添って眠っている。目鼻立ちがクッキリとした美形の顔にかかる髪を避けてやり、寝顔にしばらく見入った。左手は胸のあたりに置かれ、スヤスヤと眠る早紀は綺麗だった。才女の呼び声が高く、仕事も手抜き無し。ヤワな男なら寄せ付けぬオーラを纏っている普段の彼女とは、別の顔が見えた。一輪挿しが美しいのは、花がしっかりしているからだが、余りにも“しっかり”し過ぎていると、男は声をかけ難いものだ。早紀は甘えん坊で、男女の営みが好きだった。彼氏とはどうしているのか?聞くのは野暮だが“薄っぺらい”早紀に言われた男はショックだっただろう。タオルケットを引っ張って、早紀の身体を覆うとフッと目覚めた。「あたし、寝てた?」「ああ、可愛い顔で」「うれしい。そんな事、初めて言われた」「甘えん坊さんなんだね」「そう、誰も気づいてなかったと思うけど、あなたになら甘えても許してもらえると思ったの。あたし、綺麗?」「勿論、特にお尻は形がいい」「どこ見てるのよ!」早紀が胸を叩いて怒る。「普段は、こんな姿見せる事無いのにな」「それはそうよ。秘密だもの」と言って早紀は笑った。安心して笑った顔がとても可愛い。こんな表情を知っているのは、いったい誰なのだろう?早紀は自身の胸元へ手を導くと「どう?少しちっちゃいけど気に入ってもらえるかな?」と問うた。僕はそっと乳首に手を触れて「うん、この可愛い乳首は特に」と言った。「ダメ!また・・・、したくなっちゃうー!」と早紀も息子に刺激を与えだす。互いに、また抱き合う事に異存など無かった。早紀は、馬乗りになると「もう1度、入れるね」と言って息子を中に呼び入れた。早紀の乳房を鷲掴みにすると、僕は下から勢い良く突きを入れてやる。「ああ・・・、ダメ!・・・おかしくなりそう・・・、もっと・・・、突いて下さい!」早紀は、覆いかぶさるようにして、唇に吸い付いた。もう、才女の仮面はかなぐり捨てて、1人の女として快楽に溺れていた。「お願い・・・、中に・・・注いで下さい!」うわごとのように言うと、激しく腰を使って来る。締め付けも強くなって来た。「ああー・・・、イク!あたし・・・、イッちゃうよー!」締め付けが一段と強くなる中、体液を余さずに注いでやると、ピクピクと痙攣をしながら、早紀は覆いかぶさって来た。「気持ち・・・いい!いっぱい・・・出たね」口元からチラッと舌を覗かせた表情が可愛らしい。「早紀は、欲張りさんだ」「うん、特にあなたに対してはそうよ。実里にばかり独占されたくないの。あたしにも子種をもらう権利が欲しかったの!」彼女は本心を語りだした。「実里は、まだ子供よ!あたしは、男を1人捨てて、あなたに乗り換えると決めたの。弄ばれた実里より、あたしの方が強いんだから!」早紀はそう主張した。「捨てられた男に同情はしないが、余程、早紀の事を知らなかったんだろうな。こんなに、可愛くて甘えん坊なのにな」「そうよ。自分の欲望を満たせれば、それで良かっただけ。あなたみたいに、優しく抱いてはもらえなかったの。こうして、肌に触れてくれるだけでいいのよ。暖かくて愛おしい感じを味わわせてくれるだけでいいの」早紀は、左肩の頭を預けると、寄り添ってきた。「腕の中で眠らせてくれない?」「少し休むか?」僕等はベッドの中で、しばらく眠った。雨は徐々に強く降りだして来て、窓に打ち付ける雨音も強くなっていた。でも、早紀の寝息でそれらはかき消されていた。

僕が再び目覚めると、早紀は隣にいなかった。代わりにキッチンで何か調理をする物音がする。時計を見ると午前7時を回っていた。「ヤベェ!完全に朝帰りだよ!」窓に打ち付ける雨音はかなり強くなっていた。「先輩、おはよー。シャワーを浴びてスッキリしたら、朝ご飯にしましょうよ!」早紀が笑顔で言いに来る。「台風の位置は?早く帰らないとヤバイ事になる!」「心配ご無用ですよ。さっき、岩崎先輩から電話がありまして、“今日の予約はキャンセルにして、明日に順延にする”って知らせて来ましたから、遅れても問題ありませんよ!それに、真面目な話もありますし!」早紀はクスっと笑った。とにかく、“釘付け”なのには、変わりなかった。早紀の勧めでシャワーを浴びた。シャンプーやボディソープは、早紀の好みだから選択肢そのものが無いので、それを使わざるを得なかった。「こりゃあ、鎌倉に思いっきり突かれるな!」と呟きながら、ユニットバスから出ると、早紀が朝食を出してくれた。思いの外、美味いのに驚いた。「どうです?社食より上を行ってるでしょう?」「うん、それが何よりも驚いたよ。自炊はもう長いの?」「2年前からですよ。将来に備えて、日々試行錯誤してます!」早紀は得意げに言う。メニューとしては定番の和食だが、味付けはオリジナルだろう。社食にも取り入れて欲しいところだと思った。「Y先輩、どうして“改革路線”を推し進めようと決めたんです?ご存じの様に、サーディプは“小ピン”“中ピン”“大ピン”の3部門に分かれてますが、“小ピン”部門の“仲の悪さ”は有名で、“誰がやっても治世は安定しない”と言われたところなんです。“安さん”や品証としても頭の痛い問題で、“名君を以てしても、難治の地”と言われてました。そこへ、あなたが“火中の栗を拾う”かの様に治世を取り始められた。何故、敢えて危険を承知で踏み込まれたんです?」早紀は真顔で聞いて来た。「受け取った“バトン”をただ繋ぐだけなら誰でも出来るが、どうせなら“より良い形”で渡したいと思ったからさ。今は、安々と渡すつもりは無いけどね。江戸幕府の8代将軍、徳川吉宗を知ってるよね?」「ええ、幕府の“中興の祖”、デレビドラマの“暴れん坊将軍”ですよね?」「その吉宗にしても“まさか、徳川宗家を継ぐとは、思ってなかった”のは分かるかな?」「いえ、どう言う話です?」「紀州徳川家の5代藩主に就くにしても、“想像だにしなかった”事なのさ。彼は四男坊で、紀州藩を継げる立場ですら無かった。精々、分家として小領地を拝領するか、養子に出て1諸侯として終わる定めだと思われていた。だが、突然、吉宗は紀州藩を継ぐ事になってしまう。上の兄達が相次いで病死したからだ。口の悪い人なら“棚ボタ藩主”と言うだろうが、そこから吉宗の運命は大きく変わる。吉宗が藩主に就いた時、紀州藩は“借金地獄”に陥っていた。蔵には備蓄米すら無かった。そこで、吉宗は“倹約令”を出して自らも食事を減らして率先垂範の姿勢を取った。“一汁三菜”の質素な食事に、お酒も量を決めて飲み過ぎない様にした。藩主が質素を心がければ、部下も否応なしに従わざるを得ない。こうした努力が実って、将軍職を継ぐ直前には、借財も全て完済して、備蓄米も蔵に積み上げられるまでになった。こうした藩主としての手腕と家康の“玄孫”と言う血筋の近さから、宗家を継いだのさ。幕府も財政再建が急務だったし、実際“享保の改革”は一定の成果を上げてる。御三家に次ぐ“御三卿”の制度も作って、将軍家の継嗣問題に1つのケリも付けた。僕は、O工場から来た“部外者”に過ぎないが、引継ぐまでの2週間で、嫌と言う程、問題点を見せつけられた。“これでは、継いでも回らない”ってつくづく実感させられた。だから、いっその事、“継ぐなら自分のやり易い方向へ持って行っても、誰も文句は言わないだろう”って思ったよ。実際、“安さん”からも、“思う様にやって見ろ!”って言われたしね。だから、思い切って“大鉈を振るう”覚悟が出来た。ダメで元々で始めた訳だが、やり始めたら検査も出荷も乗り気で付いて来たし、“おばちゃん達”とも話してみたら打ち解ける事が出来た。気づいたら、みんなが“改革”を望み、実践に協力してくれた。ある意味“棚ボタ改革”なんだけど、運が良かった事、時が満ちていた事、時期も良かった事も重なって、引くに引けない状況に進んでいった。それなら、とことんまでやるしかないだろう?僕は、吉宗の様な力は無いけど、策を巡らせて周囲を乗せる事は出来る。とことん話を聞いて、“より良い方法は何か?”を探る事も出来る。そうした“基本”に立ち返る事で、みんながもっと楽に仕事をする事が出来る様に仕向けるのが、僕なりの“改革”なんだろうな。他所から来たからこそ“見える”ものがあった。それだけだよ」「やはり、あなたはタダ者ではありませんね!確かに、外部からの視点なら“見えるもの”は多々あったでしょう。しかし、それを敢えて“打ち壊して、立て直す”と言う発想に繋がる事は稀です!そもそも、“話を聞く”と言う姿勢そのものが、今まで無かった事。しかも、男女や年齢の枠を越えて、誰とでも忌憚なく意見を言い合うなんて、あり得ませんでした。しかも、どんな些細な事でも、答えを出す事が斬新なのです!“あの人なら”と思わせる。しかも、実行して成果を出す。あなたは、吉宗公か信玄公の生まれ変わりなのかも知れませんね!」「早紀も“輪廻転生”を信じているとは思わなかったよ。だが、僕は・・・」「いいえ、今、あなたが中心になって進めている事は、革新的な事なんです!これまでは、“点”でしか無かった組織を“線”で繋ごうと言う計画は、誰も手を出さなかった、いえ、出せなかった事なんです!構想は随分前からあるにはありましたが、“指揮官”が居なかったのです。“旗振り役”が不在と言った方が的確かも知れません!そこへ、あなたは彗星の如く現れた!最初は、皆、疑問視していました。あたしも含めて。でも、これまでのところ、成果は着実に積み上がり、人も変わりつつあります。“風林火山”の計、“目安箱”の計、あなたは、知らず知らずにこの2つを進められ、“誰も出来ない”と思われた事を成し遂げようとされている!出任せでも、偶然でもありません。事実です!この先に何が待っていても、皆はもう引き下がりはしません!あなたが“真っ先駆けて突き進んだ”背を追うでしょう!あたし達、品証も期待しています。品質は向上し、クレームも減っています。実際の数字をお見せ出来ないのが残念ですが、あなたが来られてから数字はガラリと変わっています!直行率は反転して上向いてます!新しい時代を、世界を見せて下さい!あなたなら出来る。きっと、誰も見た事の無い世界・景色を見せてくれる!あたし達も支援は惜しみません。続けて下さい。あたしも、あなたを追って行きます!」早紀の言葉に僕は、ただ頷くしか無かった。彼女の目は、期待に輝いていた。「“難治の地”か。確かにそうだが、裏を返せば“宝の山”でもある。まだ、秘宝は眠ったまま。僕は、それを掘り起こして磨く事だな。品質・直行率・効率はまだまだ改善の余地がある。早紀の、いや、みんなの期待に背かぬ様に、ただ前を向いて歩む。答えは、後から付いて来るだろう。僕は“他力本願”を嫌うクセがある。“指揮官先頭”しか出来ないんだよ。手綱さばきは、早紀たち“品質保証部”に委ねるさ。これからも、宜しく頼む」と頭を下げると「“暴れ馬”であり続けて下さいよ!乗り手としては、その方が愉しみが大きいですから!」と微笑んだ。その後もコーヒーを飲みながら、早紀とこの先の“戦略”について語り合い、豪雨が通り過ぎるのを待った。この日の語らいで話し合った事は、後に“改革”を大きく・確かに前進させる原動力となった。

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