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今年のまとめ

2011-12-31 00:00:00 | 日記
  ライフサポート社の編集長の佐藤さんから連絡があり、『対人コミュニケーション入門 看護のパワーアップにつながる理論と技術』が、年明け早々、増刷されるとのこと。3月末に出版されて9ヵ月。ご購入いただいた読者の皆様、ご支援をありがとうございました。

 すでにお知らせしているが、以下、2つのジャーナルの連載分が発行された。

・「保健指導が変わる!実践・対人コミュニケーションスキル」『産業看護』 メディカ出版pp58-63
「第1回 保健指導に必要な対人コミュニケーション・スキルのプレビュー」

・「プロフェッショナル・アドボカシー」『インターナショナル・ナーシング・レビュー』 日本看護協会出版会pp104-105

 メディカ出版編集者の藤野さん、INR誌編集長の村上さん、ありがとうございました。


 アマゾンに注文していた洋書Gamble & Gamble著Communication Worksが届いた。アメリカの大学の学部で使われているコミュニケーション学のテキストとして、Em GriffinのA First Look at Communication Theoryとともによく使われている本である。両方とも、Mc Graw Hillから出版されている。Gamble & Gambleは、いくつも有名なテキストブックを出しているが、Communication Worksは、10版(2010)になっている。


 同じくアマゾンに注文していたLynn McDonald著 Collected Works of Florence Nightingale The Nightingale Schoolが届いた。先日このブログでsomething in the medicineのことを書いたが、それに関する記述が気になり、1冊15,000円ぐらいするのだが、とにかく第12巻だけ入手した。ダイジェスト版のFlorence Nightingale at First Handは、短くまとめてある分、分かりにくく意味がとりにくい部分があるが、その点、Collected Worksは詳しく記載されており、読みやすい。

 私の勤務校である青山学院大学と大東文化大学の図書館には、Collected Works of Florence Nightingale16巻すべて揃えてくれるように依頼をした。両大学とも検討するとの返事であったが、さっきポータルを見たら、青学はすでに第1巻が購入され、残り15巻も発注中だった。東京近辺では東海大学等、入れられつつあるが、全国でもまだ、入っている図書館は少なく、非常に価値は高い。看護や医療全般、病院建築だけでなく、19世紀の英国の社会史、社会改革、女性問題の視点からも有用な資料だ。Public Healthなど、気になるものがあり、図書館で借り出せるのは、とても助かる。

 
 Norman Fairclough(ノーマン・フェアクロー)のLanguage and Power(言語とパワー)を読む。邦訳も出ている。フェアクローは社会言語学、批判的言語研究で有名な学者である。言語は社会の構造や力関係を反映したもので、言語を使うことでそれが容認され強化され、再生産される。何かをするための手段や道具として働きだけでなく、そうした関係や文脈への影響を持つという特徴が言語にはあるという主張をする。言語の政治的な要素、関わりに注目し、言葉や表現の前提(コンテキスト)になっていることを批判的に分析することが必要であるという、とても気になっていた理論である。



 3月11日で状況が一変した2011年が終わる。
 あの金曜日は、日本の某大手製薬会社の仕事で岐阜に出張していた5日目、最後の日だった。GMP(Good Manufacturing Practice)という医薬品の生産管理でアメリカ医薬品局(FDA)の査察の準備のための仕事であった。すべて終わって最後、関係者全員が集まりラップアップ・ミーティングをしていた。私は通訳の最中だったので気がつかなかったのだが、関係者の1人は、窓の外で木がゆっくり揺れているのに気がついたそうだ。そのあと、休憩になって、全員がテレビの前に集まっていて、「大地震だ」と言っている。あの映像がリアルタイムで流れた。いよいよ、会議の最後の段階で、会社側から、「新幹線は動いておらず、東京には戻れないから、もう一日延泊した方がいい」といわれ、通訳エージェントに連絡をしてその旨許可を取り、慌てて、その朝にチェックアウトしたホテルの電話をした。ぎりぎりで部屋を確保できた。ホテルに入って、テレビをつけっぱなしたまま、家、子どもたち、夫に連絡がとろうとした。電話はつながらず、メールも返事はなく、やきもきし、翌朝、早く、正常ダイヤに戻った新幹線に飛び乗った。 
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12月14日に思ったこと

2011-12-14 22:11:04 | 日記
  今年の通訳の仕事が終わった。例年、12月20日過ぎぐらいまで仕事を取るのだが、今年は、そうしなかった。原稿をいくつか仕上げなければならないのと、年内の諸々仕事の整理、そして来年早々に行うコミュニケーションの講演と後に続く出張の準備など、年末年始の家のことをやりくりしながら、やりきらなければならないことが多く、どうしても時間が必要だった。大学の授業は、年内はあと1日、残っている。

 12月末発行のメディカ出版の『産業看護』誌に、対人コミュニケーション・スキルを使った保健面接の連載が始まる。隔月発行で、先日出した2回目の原稿の校正が上がってきた。

 もう1つ、今年、6月に「通訳ブースから見た世界の看護とナース」という題で、日本看護協会出版会のINR誌(ICNの機関誌の日本語版、季刊)で原稿を出したけれど、その続編で、nurse interpreterとして見た世界の看護とナースというテーマのコラムを来年1月から連載する。第1回目の原稿はもう校正も終わっている。これから2回目を書かなければならない。内容は私の仕事を通じて感じた看護の世界的な動向や、看護とナースの本来持っている大きな力と政治経済も含めた社会的なかかわりでの話になると思う。通訳とそれに付随する翻訳、そしてコミュニケーションの視点から感じたことを書くコラムだ。このブログの内容とも連動していて、出版会のINR誌の編集者の村上さんが、紙面の筆者紹介のところで、このブログを紹介してくれている。

 
 話は変わるけれど、今日は、討ち入りの日だ。正確には12月15日の未明。暦は旧暦だから、実際はもう少し先である。

 私も忠臣蔵大好き人間の1人だ。一番最初にこの物語を知ったのは、1969年テレビでやっていた『あゝ忠臣蔵』である。山村総が大石内蔵助だった。渡辺岳夫の音楽もよかった。そのあと、いろいろな忠臣蔵を見たけれど、最初の『あゝ忠臣蔵』の印象が強い。いろいろな場面を覚えているが、その中に、討ち入りの前の日に、大石内蔵助が浅野内匠頭の未亡人瑤泉院に暇乞いにいく雪の南部坂の別れがある。きれいなシーンだった。

 赤垣源蔵の徳利の別れなど、真実かどうかは分からないが、忠臣蔵には定番のシーンがあって、子どもの絵本のようにストーリーは分かっているけど、やっぱり何度も聞きたいし見たい。泉岳寺には、東京に来た最初のころに行った。7月の暑い日だったけど、お線香が絶えていなかったのを覚えている。
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something in the medicine.

2011-12-08 22:51:00 | 看護/医療全般
  表題の英語は、先日のフローレンス・ナイチンゲールの講演会のときに講演者のLynn McDonald氏(世界中からナイチンゲールの手稿原稿も含め可能な限り収集して編纂されたCollected Works of Florence Nightingale16巻の編集責任者)のスライドで、'Nightingale's nursing'という項目の中にあったものだ。

 看護には医師とは独立した管理体系が必要で、マトロン(現在の看護部長)の役割は医師がしてはならないとし、「医師はいずれの場合も管理は上手くできない」とあって、それに続くナイチンゲールのジョークだとしている。
  something in the medicine.
  「医学にはそういう何かがあるのよね」というのが訳である。

 訳付けは文字だけでなく前後の文脈から推論していくのだが、スライド原稿は、講演の要点を短いフレーズで記すのでやりにくいところがあるし、不明な箇所が出てくることは避けられず、講演者との確認がどうしても必要だ。実際、この部分の訳は、直前のMcDonald氏との打ち合わせと、そのあと、当日同行していた大東文化大学大学院通訳論のイギリス人学生からsomethingの慣用表現、特にジョークでよく使われる表現とこの文脈での使われ方について貴重な意見を出してもらい、検討の結果、最終的に出てきたものだ。

-----説明は以下のようになる。

 このsomethingは、「その環境には目に見えない不思議な力があって、あの人たちにあのような影響を与えている」という意味になる。この意味では、'something in the water' という表現がジョークでよく使われているという。たとえば、

  All the children at that school are good at languages. There must be something in the water. 
  (あの学校の生徒は皆、語学が得意だ。あそこにはそういう何かがあるのだろう)

(残念ながら、somethingのこのような使い方については、日本にある辞書では詳しく説明されていない)。

 表題の'somthing in the medicine'に話を戻すと、この文脈では、waterをmedicineに入替えたplay on wordsと解釈できる。

-----

 'somthing in the medicine'とまとめたのはMcDonald氏なのだが、出所であるナイチンゲールの表現は、それよりももう少し踏み込んだジョークになっている。以下は、ナイチンゲールがクリミア戦争後の1859年、友人のシドニー・ハーバート(当時の陸軍大臣)に送った手紙の内容だ。

  As for doctors, civil and military, there must be something in the smell of the medicines which induces absolute administrative incapacity.
(Lynn McDonald (2010):Florence Nightingale at First Hand, Continuum: London, p156)

(民間、軍関係(病院)に関わらず、医師については、医学の雰囲気の中に、完全に管理無能力にする何かがあるようだ):(直訳では「薬のにおい」になるが、これもmedicinesで掛けた表現だろう)

 確かに、ナイチンゲールは一貫して、医師は治療に専念すべきであり、病院管理は医師でないものがすべきであると主張している。

 The great progress made in improving nursing in England was 'due to the fact that in many of our hospitals the management of the hospital is in the hands of civilians'.
(ibid. pp120-121)

(英国で看護が進歩したのは、多くの病院の管理が、civilianの手で行われるようになったことによる) 
 
 ここでいっているcivilianは、非専門家、つまり、医師でない者という意味だろう。医療のシビリアン・コントロール、つまり、医療は社会人文科学系の知識のある人が行うべきものと解釈できる。
 
 件の講演の締めくくりで、McDonald氏は、「ナイチンゲールは全く、古くなく、今の世の中に大きなヒントを与えてくれている」と言っていたが、まさにそのとおりだと思う。

("Florence Nightingale at First Hand"はCollected Works of Florence Nightingaleをおよそ200ページにまとめ別途、2010年に出版された)。
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マカオから帰ってきてから

2011-12-07 21:20:19 | 日記
  外は、冷たい雨になっている。

 マカオの出張からは無事?帰ってきた。クエスチョンマークが付くのは、2日目に街へ出たとき、段差のところで左足首を捻挫してしまったからだ。随行のスタッフがインテバンのクリームと冷却のパップを持っていたので使わせてもらい、足を挙上して寝ていたから、初期の処置としては一応のことはやったけど、そのあと動けるから動かしていたら、やっぱり腫れが引かなかった。内出血もしていたみたいだ。もう、大体よくなった。
 
 マカオは2005年あたりから、ラスベガスのカジノが入ってきて、現在は中国からの観光客が多くなったらしい。昔の街に大きなカジノやホテルを建てて整備したので、いたるところに段差が残っている(そこで足をくじいてしまった)。観光収入により財政状況はよいのか、年間、1人当たり、7~9万円程度の補助金がでていると日本人ガイドさんが話していた。もう、30年以上マカオに住んでいて、永住権を取得しているという。

 街の写真を撮ってきたつもりが、撮れていなかった。残念。
 帰ったら、風邪を引き、せきが止まらず困った。どうも、秋の疲れがどっと出てきたようだ。だから、ここ数日、たくさん寝て、身体を休めた。とにかく、足と風邪はよくなったようなのでホッとしている。
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