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シン『対人コミュニケーション入門 看護のパワーアップにつながる理論と技術』

2024-03-01 21:41:17 | お奨めの本
お知らせです。

 拙書『対人コミュニケーション入門 看護のパワーアップにつながる理論と技術』が、3月1日に照林社から新たな装丁で出版されました。ご覧のようにこれまでとまったく雰囲気が異なる表紙です。以前のカバーは白で、本体の青地がちらっと見えて上品な感じでそれはそれで、私は大好きでしたが、今回は、ご覧のように、ぐっと明るくポップな感じ、でも副題もパッと目に入って、パズルのピースのような「?」と「・・・・」が効いていて、ページをめくりたい気になります。私の娘のおすすめの表紙です。



 実は、出版元のライフサポート社が昨年(2023年)12月末に活動を終了しました。社長/編集長の佐藤信也氏の体調もあり、引き継ぐ方もいないとのことで終了を決められたのです。佐藤氏は、もとは日本看護協会出版会の編集長をされていて、インターナショナル・ナーシング・レビュー(INR)誌(国際看護師協会(ICN)機関誌 International Nursing Reviewの日本語版で2012年に休刊)にも長く関わってらっしゃいました。2007年にエルゼビア・ジャパン社から訳書『看護のコミュニケーション原著第5版』(看護学名著シリーズ)(ジュリア・バズラー・ライリー著 Communication in Nursing)を出しましたが、その折、プロデューサー/コーディネーターであったのが佐藤氏で、そのあと、日本の看護学生から現場の看護師まで使えるコミュニケーションの本があれば、というお話を受けて誕生したのが本書でした。佐藤氏は、「真の看護」「看護のあるべき姿」を常に追及されていて、良い本を沢山出版されていました。お仕事でご一緒していた日本看護協会の前国際部長と話していたとき、彼女の「佐藤さんのところは良書を出している」という言葉を聞いて、「そうだよね、誰が見てもそう思うよね」といううれしくなった記憶があります。佐藤信也氏には、長い間、大変、お世話になりました。心から感謝!! ありがとうございました。

 本書は、出版以来、そして今も、多くの看護大学や看護学校、看護師や介護職のコミュニケーションの授業や講座でテキストとして使用していただいています。聖路加国際大学名誉教授の井部先生やICN元副会長の金井 Pak 雅子先生を始め、いろんな看護教育関係者から推薦を頂戴しましたし、Amazonでもいくつも高評価をいただけたことを感謝しています。

 ライフサポート社の活動終了が告げられたとき、もう市場になくなるのかと悲しくなりましたが、株式会社照林社の有賀洋文社長が引き受けてくださることになり、新装版での出版になりました。内容は、ライフサポート社刊2022年7月10日初版7刷発行のものと同一です。有賀社長、編集の皆様、新年度に間に合うように出版くださり、本当に、ありがとうございました。

 これで、新学期の教科書の調達に間にあいます。私が勤務している大東文化大学スポーツ・健康科学部 看護学科 1年生の「看護コミュニケーション論」の授業の使用教科書です。今年は、この中から、私は「アサーティブコミュニケーション」の講義をします。

 皆様、新装版『対人コミュニケーション入門 看護のパワーアップにつながる理論と技術』(照林社刊)を引き続き、どうぞ、よろしくお願いします。tomi

照林社 HP https://www.shorinsha.co.jp/book/b10053067.html

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/479658109X?SubscriptionId=AKIAIBX3OSRN6HXD25SQ&tag=shorinsha-22&linkCode=xm2&camp=2025&creative=165953&creativeASIN=479658109X
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IOMレポート『看護の未来:変化をリードし、医療を強化する』

2012-02-05 10:27:10 | お奨めの本
 この何回かのブログは、先日のケアの質の会議の話から、標記のIOMの看護レポートの話になっていた。

 IOMのケアの質に関するレポートは安全で質の高い医療という文脈でこの10数年、いくつかのものが出されている。最初は、クリントン政権で医療の質に関する委員会があってそのあとIOMから、To Err is Humanが出された。そのあと、Crossing The Quality Chasmというレポートが出て、ケアの質には大きな欠損があってそれを早急に埋めなければならないと提言している。この2つのレポートは非常に有名で影響力を持ったものであった。Chasmのあと、関連する内容のレポート、たとえば医療職者のコンピテンシー(能力、到達目標)など、いくつか関連の内容のものが出ている。その中にあるのが標記の『看護の未来:変化をリードし医療を強化する』である。ケアの質に特化したものではないが、アメリカの21世紀の医療の質安全を確保するための大きな役割が看護の未来にあるという主旨である。700ページの大分のレポートなので、中にあった8つの勧告のみ訳しておく。

IOM『看護の未来:変化をリードし、医療を強化する』の8つの勧告
1.実践の範囲にある障害を取り除く
2.多職種協働による改善対策をナースがリードし、それを普及させていく機会を広げる
3.卒後研修プログラムを実行する
4.2020年までに大学卒業のナースの数を全体の80%に増やす
5.2020年までに博士号を持つナースの数を今の2倍にする
6.ナースが生涯学習を進められるようにする
7.ナースが変革をリードし、保健医療を強化できるように教育を行って能力を身に着けさせ、それを実行できるようにする
8.医療で働く多職種専門職者の労働力データを収集して分析できるインフラを整備する


 このレポートでは、特に医師とAPNとのケアの質に差はないという表現が随所に出てくる。アメリカというAPN先進国で、APNの是非の議論はすでに終わり、APNの有効性を前提にその運用をさらにどのように強化するかが議論されている状況で、まだあえてそれを繰り返し出してくるのは、注意を絶えずしておく必要があることなのだと感じる。医師の確固たる業務独占の部分を切り分けるようにAPNが権限を獲得していく過程で生じるバトルはどこの国も同じだ。IOMのレポートでは、APNについては、これまでもそしてこれからも政治的な活動が必要であるだろうと記している。

 
 このIOMの勧告を受けてすでにアメリカの連邦および州政府ではいろいろなことが進められている。


 このIOMの看護の未来に関するレポートは、先のブログでIOMのサイトからフリーダウンロードできるといったが、単行本として購入できる↓

http://www.amazon.co.jp/Future-Nursing-Advancing-Institute-Medicine/dp/0309158230/ref=sr_1_fkmr0_1?ie=UTF8&qid=1328408510&sr=8-1-fkmr0

 ちなみに、私は、To Err is HumanCrossing The Quality ChasmHealth Professions Educationとともに、この看護レポートもアマゾンで購入した。もう一つ、Teaaching IOM Implication of the Institute of Medicine Reports for Nursing Educationというアメリカ看護師協会から出版された本も購入した。パトリシア・ベナーが序文を寄せている。IOMのレポートを看護教育でどう教え、反映させていくかという本である。

 日本とアメリカでは文化が違い、医療制度が異なるなど相違点はある。ただ、なぜ、アメリカを見るかというと、理屈の整理がきわめて明快にされていることだ。そしてその論理は、常に先を見据えた戦略的なものだ。今この現状を次にどうつなげていくのかが明瞭に見える。一つの分野のこととしてでなく、あらゆるものに当てはまり、具体的な考え方としてとても参考になり、興味深い。
 
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Lancet誌 日本特集

2011-09-09 22:34:00 | お奨めの本
 8月30日にThe Lancet Lance Japan: Universal Health Care at 50 Yearsが発行された。1年ぐらい前から日経メディカル(GP向けのジャーナル)などにとり上げられていた。
 発行を知らせるメールがLancet誌から9月7日に来たので、それを貼り付ける。(ウェブ版ユーザーに登録をしているので、お知らせが来る。これは無料)↓

トピックス

- なぜ日本は世界一の長寿国なのか?

- 日本の国民皆保険制度にみる、"課題"と"挑戦"

- 日本の診療報酬制度で十分な医療の質が担保できるのか?

- 日本はどのように高齢化に対応するのか?:世界が注目する日本の対応

- 東日本大震災から6カ月:世界中から支援を受けた日本は、今こそグローバル・ヘルスの分野で中心的な役割を担うときだ

日本特集にアクセスス www.thelancet.com/japan
http://mail.elsevier-alerts.com/go.asp?/bELA001/q1R93U3F/xZ2J3U3F
 


上記サイトから、日本語翻訳は全文が入手できる。英文はsummaryかpreviewのみがフリーで、本文は電子版で購入になる。Lancet誌のプリント版は定期購読のみで今から申し込んでも入手できない。医学部、看護、保健医療関係の学部や大学だと図書館にあるだろう。
 
 Lancet誌は1823年の創刊されたイギリスの総合医学雑誌。一桁台の採録率で非常に厳しい査読で有名だが、それだけに非常に権威の高いジャーナルだ。臨床関係の話のときには、引用文献としてよく名前が出てくる。

(その他のジャーナルで臨床全般でよく出てくるのは、アメリカのNEJM(New England Journal of Medicine)誌、JAMA(Journal of the Amerikan Medical Association)誌(米国医師会が出している)などがある。覚えておいた方がよい)。

 執筆者の中に、いつかこのブログで紹介した『日本の医療』(中公新書)の著者もいる。

 これからひと通り、目を通すつもりだ。
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大学は夏休みに入った(通訳/翻訳)

2011-08-04 10:30:37 | お奨めの本
 今日は通訳と翻訳のことについて。

 今週月曜日に大東文化大大学院の前期授業が終わった。震災後、通常通りの始業だった青学は1ヵ月前に終わっている。夏休みは、普段、読めなかった本も読める。

小説
吉村昭 『海の祭礼』文春文庫 
吉村昭 『ふぉん・しいほるとの娘上・下』新潮文庫

 この2つの小説は、幕末から明治維新にかけての長崎通詞がでてくる。特に、『海の祭礼』は後半、ペリー来航の折、日本側外交団の主席通詞 森山栄之助がでてくる。

 通訳については、たくさん単語や対応する訳を覚えるだけでは、そのうち、学習に行き詰る。通訳に興味があるのであれば、その人たちが出てくる小説は読んでおいた方がよい。大先輩の歴史小説だ。私も恩師の近藤正臣先生に奨められて読んだ。


 大東の大学院の学生には配布したが、下記URLに、日本通訳翻訳学会のジャーナル『通訳翻訳研究』誌に2004年に掲載された私の論文が掲載されている。日本通訳翻訳学会では、ジャーナルに掲載後2年経つと、ネットにオープンになる。

渡部富栄(2004):「事例から見た通訳者の語用論的アプローチ」『通訳研究』第4号 pp.41-62.
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jais/kaishi2004/pdf/03-02-watanabe(final).pdf
(最後に記載されている著者のメールアドレスは今は、使っていない)

 語用論とは、簡単に言えば、人間は言葉を使うには、意図や目的があるから使うという考え方をベースにしたものでそれまでの文法主体の言語学でカバーできなかったところを埋める理論だといわれている。コミュニケーションの問題は、言葉が分からないのではなく、話し手の意図が分からないから起こることが多い。文脈の中から話者の意図を推論して、それをどのように訳に明示していくのかを検討している。通翻訳の実務をしている人に参考になるかもしれない。

 通訳の志望者は、非常に真面目で、膨大な単語や文例を覚え、頭からの訳をくり返し、聴き取りの訓練をしていく。でも、それだけではそのうち、壁にぶつかる。文脈・論理の理解と再現ができないといけない。こういうと、単語を覚えることが苦手な人は、そんなにやらなくてもよいのかと、安心するようだが、語彙の少ない通訳者はいないので、いつも増やすことは心がけないといけない。でも、先に述べたことはとても重要だ。参考までに、今の日本通訳翻訳学会会長の船山先生によるその趣旨の記述が下記のURLにあるので、興味のある方は読んでほしい↓
 
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jais/html/tu_hon_journal/html/03_funayama.html

 推論は、通翻訳に限らず、すべての専門領域での内容の理解に通じることだ。医療関係者にも参考になると思う。
 拙著、渡部富栄著『対人コミュニケーション入門 看護のパワーアップにつながる理論と技術』(ライフサポート社刊)では、「2.3聴く」のセクションで、語用論の考え方を使って患者の発言の意図をどうとらえるのかを説明している。
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『理科系の作文技術』

2011-07-24 21:35:49 | お奨めの本
木下是雄著『理科系の作文技術』中公新書

 1981年初版で、今年で70版を記している。

 たまたま読んだ 井上ひさし著『日本語教室』新潮新書の本文の冒頭に出てきた本だ。「素晴らしい本ですので、ぜひ買って読んでみてください」とあった。

 著者の木下氏は物理学の教授だ。自分の学生に英語で論文を書かせようと指導してもうまく行かなかった。実は日本語を知らないから英語をかけなかったことが分かったそうだ。この本の中では、他人に読んでもらうものを「仕事の文書」と呼び、メモから原著論文や論説に到るまでの書き方について述べている。最後は学会講演の要領についても説明している。「理科系」となっているが、仕事全般に共通の記述の仕方だ。目指しているのは無駄なことを省いて論理の通った構成の文章なので、結果的に英語にもしやすいものになる。

 eメールが使われ、スライドもPCでパワーポイントで簡単に作れる今とは、書かれた時代が異なる。でも、全般の内容は、井上ひさしがいうように「素晴らしい」。すでに、いろんな人が薦めているロングセラーだ。理系、文系に関わらず、今の時代こそ、読んでおくべき本だ。

 
 日本語の記述に関連することで、通訳の視点から少し話をする。通訳の学習では、日本人の日本語の使用の傾向や特徴を勉強する必要がある。話者の口から出てきた日本語はそのままでは訳せないことが多い。実際、通訳研究の中でも、日本語に関連した論文もある。大東文化大学大学院の通訳プログラムの修了生の中に、通訳の観点から、日本人話者の発話の特徴を修士論文のテーマにした者もいた。実務に就いたとき、とても有用であったようだ。
 
 
 

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