ストックホルムから帰ってきて

2011-09-29 22:05:19 | 国際会議の通訳
  ストックホルムでの看護労働の会議の仕事から帰ってきた。前回のブログから随分、時間が経ってしまった。

 これは、ICNのプログラムの中のSocio-Economic-Welfare(社会経済福祉)、つまり労働問題のについて話合う欧米と日本のグループ会議で、もう15年ぐらい続いている。私は2005年から日本の代表者に随行して、現地で、生耳のウィスパリング通訳をしている。例年参加者は25人ぐらいだけど、年ごとに入れ替わり、最初のころからいるのは5人ぐらい。私はその次に古い。

 会議では、看護職の賃金、需給を含めた雇用状況、職員配置など労働問題を話し合う。2005年ごろから職員配置についての議論は活発だった。

 アメリカ、ペンシルベニア大学の看護学者のLinda H. Aiken率いる研究グループが、1人のナースの受け持つ患者数が4人を越えると、患者1人付き死亡率が7%上昇するという、センセーショナルな研究結果をJAMA(アメリカ医学会雑誌)出したのが2002年。この配置は「4対1」といわれ、カリフォルニア州で法律になり、それ以降、各国および国際レベルで職員配置率の議論が盛んだったのだ。それぞれの国が努力をして大体、この議論は先進国では、落ち着きつつある。
 
 ナースの労働問題といっても、アジェンダは年ごとに変化する。処方権を含め高度実践看護というナースの役割拡大の方向性は、世界的には共通認識で、それをどのように賃金に反映させるかが課題として上がる。ナースの職場は公共サービスが多く、労働市場としてはどうしても買い手市場なので、難しい。団体交渉で賃金が決まっていた国では、こうした個人の高度な専門知識と技術が評価されるようになると、個別の賃金交渉への傾斜が不可避になる。

 役割を拡大すると、従来の役割を委譲する方法も課題になる。こうした流れを受けて、これらの問題をよくとり上げてきたのは、日本語では、インターナショナル・ナーシング・レビュー誌である。

 今年の会議の結果は、年末あたりにまた、文書がICNのwebに更新されるだろう。昨年までのものは掲載されている↓。看護・医療労働について研究している人にとっては、貴重な資料だ。
http://www.icn.ch/pillarsprograms/icn-international-workforce-forum/ 

 開催国主催の催しで、バーサミュージアムにいった。当時の国王の命を受け、贅の限りを尽くして造船されたバーサ号。1638年、処女航海20分で風で横転沈没し、300年後に引き上げられて展示されている。下の写真は、そばにあったレプリカ。本物は、周りが暗く写りが悪すぎて載せられない。


 下の2つはストックホルムの町並み。
  

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