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赤瑪瑙の染め実験・・・大首飾りプロジェクト

2018年04月19日 17時06分06秒 | ぬなかわヒスイ工房

大首飾りに含まれる赤瑪瑙製品は、勾玉18点、八角玉1点、丸玉11点、8角柱の管玉1点。

古墳時代の出土品なので使用原石は出雲産か若狭産らしいが、現在は枯渇して入手困難な天然物で発色がくすんだオレンジ色。

赤瑪瑙に染めるには諸々の条件があり、詳細は明かせないが最終的には焼くことで酸化変色させるのである。

 

現在国内に流通している赤瑪瑙は化学処理で染めたブラジル産で、発色がビビットだから面白くない。

困っていたら奇跡的にブラジル産の天然赤瑪瑙の原石が入手できたが、色が茶色っぽく地味過ぎる。

そこで江戸時代に若狭で考案されたという赤瑪瑙を染めて綺麗に発色させる方法を調べてみたが、実際を知っている方に辿り着くまでえらく時間がかかった。

焼成実験のために温度計を用意・・・2時間で表面温度が300℃近くなってくれたが、温度計は安物だから精度に疑問が(笑)

 

それも何十年も前の話しなので記憶も定かではないらしく、何度か質問の角度を変えて聞取り調査して実験してみたら1回目で成功した。

なるべく糸魚川産に拘りたいので糸魚川産の白瑪瑙も染めてみたが、こちらは駄目だった。

糸魚川産瑪瑙は染まる条件に満たないようだ。

右側が染める前のブラジル産赤瑪瑙、左端が染まった状態、手前2点が染めていない状態の8角玉と8角柱の管玉。

 

染まってくれたブラジル産赤瑪瑙にしても、赤味が強すぎるので課題は残っている。

これから発注者の松阪市担当者と監修者の考古学者と私の三者で協議の上、染めるのか染めずに作るかを決めていくが、例え染めない方針であっても必要な実験だと思う。

技術の持ち駒が増えたし、仕事に対して誠意を持ちたいからできるだけの努力は惜しみたくない。

「のようなモノ」ではなく、「平成の大首飾り」を作りたいのだ。