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縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

縄文ヒスイ漫談トーク会のご案内・・・ヒトとヒスイの物語

2023年06月05日 08時25分45秒 | ぬなかわヒスイ工房
縄文ヒスイ漫談をしながら、午前中は「海のヒスイロード検証実験航海」のトーク、昼から出土品の勾玉の複製ワークショップやります。
縄文時代の勾玉の複製ワークショップは珍しい、というか誰もやってないかも。もちろん紐孔は竹であけるし、糸魚川の縄文人が愛用していた「手取層群の砂岩」でつくった治具も使用。
 
途中で古武術ワークショップになったりの脱線も見込まれるw
 
 

 


手強しサヌカイト・・・サヌカイトの縄文テイストの石笛と勾玉をつくってみた

2023年06月03日 06時44分31秒 | ぬなかわヒスイ工房

今月末に淡路島の縄文イベントに呼ばれているので、ご当地で打製石器につかわれていたサヌカイト(古銅輝石安山岩)の作品をつくり溜めている。

珪質化(ガラス化)した石質はデリケートで研磨傷が残りやすく、磨製作品には難しい石材だ。

その反面、ヒスイよりモース硬度は高くても頑丈さ(タフネス)は低いので線刻は楽だし、黒地だから目立ってよろしい。
黒光りした勾玉もシックでいいのだが、高画質の写真撮影だと微細な古銅輝石?のツブツブがホコリのように見えてしまい、写真映えがしない難点もあるから対面販売限定品ですな。
 
メノウもふくめて珪質化した石材は手研磨より二段階くらいにわけてバレル研磨をした方が効率がいいのだが、手研磨で仕上げる流儀だから更なる工夫が必要。
旧石器時代の石に詳しい人に見せたら、サヌカイトも艶ピカにできるんだ!?と驚いていた・・・プロですからぁw
 
 
 
 

縄文人の疑似体験・・・遺物に忠実な勾玉つくりワークショップ

2023年05月24日 06時23分18秒 | ぬなかわヒスイ工房
山梨で縄文イベントのワークショップを頼まれたので、以前からやってみたかった遺物の勾玉の複製をすることにした。
 
博物館などの勾玉つくりワークショップは、半製品を面取りするだけとか、自由なカタチにつくらせるが、ヒスイ職人がやるのだからひと味違う。
 
長者ヶ原遺跡出土の滑石製の牙状勾玉(きばじょうまがたま)の実測図になるべく忠実につくり、紐孔も竹で穿孔してもらうのだ。
だいぶ前に実物と似た色をしたネフライトでつくった牙状勾玉の複製。縄文早期末~早期の遺物だ。滑石ではまだつくったことはない。
 
遺物の複製は書道の臨書と同じで、製作時の工程を推測し、おなじ手の動きをする必要があるのだから、これは往時の職人の疑似体験であり、ワタシなるものからの脱却なのであるw。
滑石のプレートに実測図を写してもらう所からワークショップ開始。加工は紙やすりと竹を使う。
 
「平成の大首飾り」で243点もの遺物を複製した時、その学びの深さに驚き、以降の勾玉つくりに多大な影響をうけたので、臨書ならぬ臨作は大事なのだと実感した。
 
試作してみたら製作時間に1時間半ちかくを要したので、勾玉つくり初心者なら2時間以上はかかるだろう。
左が試作品で右が実物大の写真。惜しむらしくは後半に来客があってゴタゴタしたので、尾部の刻みの位置がずれてしまった。次回の反省点。
来客は香港から観光にきた鉱物学者の家族。
紐孔の穿孔は実物と同じ直径の位置でカットした竹の丸箸をキリに使用したが、掌が滑るのでテープを巻いた。ちゃんと実物とおなじ寸法の円錐台をした紐孔になった。
手作業に慣れていない人には箸が細すぎて力が入らないだろうから、ひとまわり太い竹に箸を差し込む方式も考案。
 
こういった治具を自分で工夫するのも、もちろん学びの内。
 
 
 
 

「赤毛のアン」の家が居酒屋風に・・・ぬなかわヒスイ工房改装工事

2023年05月14日 07時22分01秒 | ぬなかわヒスイ工房
見積依頼から半年もかかってテラス工事が完了したのは、業者が人手不足で一般客が後回しになったようだ。どうなるニッポン!
ともあれやっと玄関らしくなったし、雨の日でも外仕事ができるようになった。
 
これまで工房に看板はなかったのは、腕さえあれば人が訪ねて来るのだと自認していたためと、ちょっと照れくささもあった。
看板の素材は南洋材のウリンで、1mほど残っていた床材の端材。製作時間2時間也。
 
しかしながら工房近くまで来て迷子になり、電話で入口を聞いてくる来客も多く、看板をつくってもっと有名になってくださいと立派な銘木を贈ってくれる人までいたので、増築を機会に看板をあげることにした。
 
が、せっかく頂いた銘木が立派すぎて工房に似合わず、申し訳ないが床板の端材で自作。無駄にはしないからご安心を。
しまってあった民具を飾りつけたら、「赤毛のアン」の家をイメージした外観が民具居酒屋風に変貌した。オラにはこっちの方が似合ってるし落ち着く(笑)
暗礁にあてて変形したスクリューは、悪鬼を押し流すマジナイのつもり、赤い円筒状のものはハングル文字が書かれた蛸壺らしく、福を呼ぶマジナイのつもりと、それぞれ物語があるのです( ´艸`)
アイヌのウポポイ人形は長野の水害ボランティアの時に不用品をもらってきたもので、馬だか牛の荷鞍は土倉の解体で不用品をもらったもの。
 
 

 


ただの雑草も石ころもクソも・・・ヒトとヒスイの物語

2023年05月02日 07時17分24秒 | ぬなかわヒスイ工房
藤の季節になると不思議系女子のリエ嬢が、拙宅に花をつみにくる。
焼き菓子や料理にしたりハチミツに漬けるのだそうだが、お裾分けしてもらえるので大歓迎。食える野草や花も教えてもらえるしw
木陰にハッカも茂ってきたので私も採集。これは麦茶かわりの夏のお茶にして、清涼感があって美味いから来客に喜ばれている。
知らなきゃただの雑草、知っていれば季節の贈り物。
 
ヒスイもそうで、知らなきゃ重たいだけの石ころとして戦前は屋根の重石や漬物石にしか利用されていなかった。モノの価値は相対的。評価する人があってこそだ。
 
希少鉱物だから、パワーストーンだから尊いとする人もいるが、私は「ヒトとヒスイの物語」こそが尊いとする。
 
「自然界の報道写真家」宮崎学さんと会ったお陰で、長者ヶ原遺跡を歩いていて、動物の糞や樹木の剥けた樹皮を観察するようになり、ただのクソが情報源だから分解するようになった!w
 
生き物たちの痕跡、すなわち「イキモノと縄文遺跡の物語」である。
こういった視点をもつと、世界は豊かになるナ。竹のザルに摘んだ花をきちんと並べないと気が済まない「リエ嬢と花の物語」w
 
 
 
 

商品が並んでいないヒスイ工房のギャラリー・・・ぬなかわヒスイ工房

2023年04月24日 07時19分40秒 | ぬなかわヒスイ工房
工房ギャラリー兼応接間がカタチになりつつある。
趣味のコレクションが所せましと並び、ヒスイ工房のギャラリーというよりはアジア雑貨屋のようだが、日の目をみなかったモノを並べられてウレシイ。
バンコク警察の手錠、遺物、プロレスラーの前田日明からもらったアルマーニの香水、古武術研究家の甲野善紀先生から贈られた手裏剣、漂流物、アジアの民具の数々。
大人の秘密基地、大人の隠れ家、迷宮と人は言うが、秘密でも隠してもおらんが迷宮であることは間違いなく、今後はますます混沌としてくるハズで、すなわち成長するギャラリーなのである(笑)
土器類は壊れやすいので、土間工事が終わってから飾る予定。
どこがヒスイ商品のギャラリーやねん。肝心の売り物は厳重にかくしてある(笑)来客に愉しんでもらえればいい・・・っていうか自分が居心地がいい空間を目指した結果なのです。
 
 

少年の好奇心と大人の知恵・・・「自然界の報道写真家」の宮崎学さん来訪

2023年04月18日 07時03分57秒 | ぬなかわヒスイ工房
「自然界の報道写真家」の宮崎学さんがきた~!世界的に有名な野生動物のプロカメラマンだ。
二年ほど前のNHKドキュメンタリー番組「アニマルアイズ 写真家・宮崎学」を視聴してファンになり、Facebookでつながらせてもらっていたが、新潟県境に近い定点観測地からひょっこり遊びにきてくれたのだ。
 
宮崎さんは野生動物の生態を知り尽くし、身近なものをつかって自作した撮影機材で撮影する方なので、環境問題、社会問題、動物の生態、DIYなど話題が豊富で、どれだけ時間があっても足りないくらい話しが面白い。
アームカバーがなんでも自分でやってしまう「自然界の報道写真家」の必須アイテム!ポケットに塩ビ管を鏡胴に利用した広角レンズにカスタマイズしたコンパクトカメラを入れておられたが、少年の好奇心をもったまま大人の知恵と技術を身につけたお人柄が伺える。気さくで飾らない人柄。
 
願わくば長者ヶ原遺跡で縄文キャンプをご一緒したいものだ。ガイドするわたしが気付かなくても、木陰から猪や熊、ニホンカモシカが観ているんじゃないか?縄文の杜にどれだけの動物が棲んでいるんだろう?
 
マタギ顔負けの知識をもつ宮崎さんと一緒なら、長者ヶ原遺跡の新しい魅力を発見できるに違いない。
 
 
 

もっと野太く大胆に!・・・縄文石笛

2023年04月07日 07時48分58秒 | ぬなかわヒスイ工房
ヒスイ原石の石目や「部分的に堅さに極端な差異のあるヒスイ」を欠点とせず、唯一無の個性として活かすには?
 
その対策として線刻をしてきたが、ヒスイは堅牢だから苦労は並大抵ではないし、欠点を補うレベルにとどまっていたと思う。
 
ヒスイより硬い(ハードネス)モース硬度7のメノウの方がもはるかに線刻しやすく、ヒスイは硬いだけでなく堅い(タフネス)石材でもあるから、線刻は厄介なのだ。
この春、ついに硬くて堅いヒスイでも野太く深い線刻ができる技法をみつけた。ショッカーの怪人のようだ(笑)
縄文デザインの石笛ですな。奇をてらった意匠だではなく、プロ演奏家が楽器として認めるオクターブ超えの石笛!吹けばピーと音が鳴るだけで、楽曲演奏もできない粗製石笛とは違うのだよ!
 
そしてデッドストックになっていた「部分的に堅さに極端な差異のあるヒスイ」の活用法に光明がみえて、石笛つくりがたのしくて仕方ない。
 
「部分的に堅さに極端な差異のあるヒスイ」は、おもったカタチに成形しにくく、また研磨しても平滑になってくれないので、作品化しにくい訳ですナ。
ところが、恣意的にヒスイがなりたいカタチに成形・研磨してから、野太く深い線刻を施せば、最後までどうなるか私もわからず、予定調和の領域から外れた縄文チックな石笛になってくれるではないか。これぞヒスイとワタシの共同作業。
 
もっと野太く大胆に!肝に銘じて縄文人が喜んでくれる作品を目指す。
 
 
 

開運出世に勾玉を!・・・出雲大社の宝物、真名井の勾玉

2023年03月18日 08時01分36秒 | ぬなかわヒスイ工房
出雲大社の宝物、真名井の勾玉の詳細を調べていた矢先、原石支給でつくって欲しいという注文があった。こんなことがよくある。
赤い線が石目で、左袈裟の線が割れる可能性のある石目。勾玉つくりは原石のプレートつくりが最初で、わたしの場合は石目読みに自信がつくまで6~7年はかかった難しい仕事。
絶対割れる深い石目の通りにカットしたら、実寸法がギリギリつくれないサイズしかなく、注文主に断ったうえで79%に縮小したサイズにした。
端材で管玉と丸玉もつくって欲しいと頼まれていたので、なんとか偶数をつくりだせた。首飾りにするには奇数だと駄目なのよ。
わたしが共石のセットをつくらないのはメリハリがないからだけど、注文主がどう感じるだろう?
ヒスイ職人が管玉をつくると、作り易さからなのか太巻きみたいな野暮ったい極太管玉が多い。あくまでも主役は勾玉なので、管玉と丸玉は勾玉完成後に具合をみてサイズを決めた。
 
勾玉が完成したと連絡した日に注文主が昇進したらしいく、嬉しいことが重なったようだ。
 
出世したい人、開運したい人、良縁祈願、学業成就、家内安全、商売繫盛したい人、勾玉の注文をくださ~い!( ´艸`)
 
 
 

ヒスイは丁寧に磨いてこそ珠・・・残念な勾玉のリメイク

2023年03月15日 06時39分56秒 | ぬなかわヒスイ工房
高校の同級生から、キーホルダーの勾玉が汚れたのでクリーニングして欲しいと頼まれた。ひと目でミャンマー産とわかるヒスイで、緑の方は樹脂含侵の発色であるらしい。
汚れは切削傷が原因だよと、鉛筆でなぞって傷を浮きださせてみせて、これだとクリーニングしてもすぐに汚れるから、いっそのことリメイクしない?と提案。
薄いグレーの勾玉は古墳時代前期の勾玉風にスマートに。緑の勾玉は分割して二個のペンダントトップに。
使い古しの雑巾みたいだった勾玉は、淡いスミレ色の別嬪さんに生まれ変わった。丁寧に研磨すると鉛筆の芯が滑って汚れが着かなくなるし、乱反射しないから本来の色が内側から浮かびあがってくる。素材の良さを引き出すのは職人の矜持。
緑の方は箸置きみたいに中央が凹んでいたし、中途半端な位置に紐穴があけられていたから二個に分割した理由。奥さんから「うわぁ、かわいい!」と喜ばれたそう。エカッタ。
 
傷だらけの粗製乱造品であっても、ヒスイは神秘の霊石という類いの宣伝文句を並べ、桐箱に納めさえすれば、ありがたがって買ってくれる人もいるから商売が成り立つのが、現代の「ヒトとヒスイの物語」。
 
産地はどこであれ、これではヒスイがかわいそうだ。
 
万葉歌人が不老長寿への切ない想いを詠んだ「ヒトとヒスイの物語」は、そこにはないですねぇ。