釋守成の転居物語(旧タイトル・GONTAの東京散歩)

またまた転居を目論んでいます。
5年間で5回の転居。
6回目の転居の経緯を書いていきます。

青山墓地で白い花がほほえむ

2006年06月22日 16時42分12秒 | 四季の花
この季節、可憐な白い花が咲きます。
そんなに目立たないのがいいんだけどね。
青山墓地を歩いてそんな白い花を見つけました。



まずは「ドクダミ」(ドクダミ科)
このジメジメした季節に墓場や家の裏手に咲く陰気な花と思われがちですが、これは薬草なのです。
最近は「ドクダミ茶」なるものが巷にも出回っているので、ご存じの方も多いと思います。
薬草になったときの名前が「ジュウヤク(十薬)」、名前からすると相当薬効が強そうです。しかし生の葉には非常にくさい臭いがあり、それもこの草が嫌われる理由かもしれません。
腫れ物に、新鮮な葉を洗い、新聞紙などに包んで火で焙り柔らかくし、絆創膏で貼っておくと、膿を吸い出してはれ腫れがひきます。
毒を溜めることから「ドクダメ」→「ドクダミ」になったようです。
「ドクダミ茶」は利尿、便通及び高血圧予防に効果があるそうです。

大学時代にゼミで方言調査をしたときの項目に「ドクダミ」がありました。
「ドクダミ」の調査をした理由はこの言葉が特殊な分布をしているのです。
関西地方で使われている「ジュウヤク」という薬草名が江戸に伝わり、東京を中心として広まっていたようです。ですから東京の外側に「ドクダミ」エリアが広がっていたようです。
私たちが調査したころには、東京の中心でも「ドクダミ」に変わりつつあったころでした。
ほかには「ドクダメ」を使っていた人たちもいたようです。
面白いのに「じごくそば」というのがありました。墓場に咲くから地獄の蕎麦なのか地獄の側なのかわかりませんが、非常に記憶に残っています。




次は「クチナシ」(アカネ科)
こちらは「ドクダミ」とうってかわって芳香が漂う花です。
「クチナシ」は実が黄色の色素に使われます。和菓子、とくにサツマイモや栗を黄色くしたり、たくわんの黄色などはこのクチナシの色素がおおいに利用されています。
あまり知られてはいませんが、こちらも漢方薬で「サンシシ(山梔子)」と呼ばれています。漢方では、精神不安や充血、吐血、血尿、下血、黄疸などを伴う疾病に、消炎、止血、解熱、鎮痛薬として配合されるそうです。
闇夜に芳香がする方を見ると「クチナシ」の花が暗闇に浮かんでドキッとしたことがある方も多いと思います。五月闇(梅雨で月が出ない夜)にいちばん似合う花じゃないでしょうか。

バラ科の「サンザシ(山査子)」も薬草です。昔。「サンザシ」と「サンシシ」を混同していて、同じものだと思っていたことがあります。だから「山査子酒」はずっと「山梔子酒(クチナシの酒)」だと思っていました。今、考えると笑い話なんですが。




おしまいは「ナンテン」(メギ科)
「南天」は「難を転ずる」に通じることから縁起物の木として家の回りに良く植えられています。
先日訪れた、生田緑地の「日本民家園」でもいくつかの家の入り口付近に南天が植えられていました。
青山墓地にも意外に多く植わっているのは、やはりそういう意味なのかもしれません。
南天は赤い実や白い実をつけた風情が一般的ですが、この時期にその実の元になる花が咲きます。けっして可憐とか美しい花ではありませんが、楚々として好きな花です。
「ナンテン」も漢方薬で咳止めに使われることは良く知られています。
さらに葉には防腐作用があるといわれ、料理に添えられることがあります。赤飯の折り詰めの包み紙に南天の絵が描いてあるのを見たことがありませんか?難を転ずると薬効の二つに期待しているなんて、面白いですね。
さらに箸の材料としても使われます。毒に当たると色が変わるという言い伝えからだそうです。

梅雨時期の青山墓地にも面白いことがいっぱいでした。


追伸
「白い花がほほえむ」は宝塚歌劇1975年(昭和50年3/27~5/12・月組公演「ラムール・ア・パリ」で歌われた唄です。
コメント (2)
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