ヴェニスの地にメリャの名が流れる

12世紀以降急速に力をつけ、後のロシアの中核となった北東ロシア地方。
そこは同時に、フィン系のメリャ人の住処でもありました。例えば、かの地の古都ロストフも、もとを正せばメリャ人の集落のあるところに後からスラブ系住民がやってきて発達したものです。

ヴォルガ川とクリャジマ川の間、コストロマ方面に分布していたと考えられる彼らは、けして追い出されたわけでも絶滅されたわけでもなく、その文化は北東ロシアの基層を為す一要素として今も受け継がれています。

地名、特に水系にかかわるものにメリャ由来のものが多く残されていることからもそれをうかがうことができます。日本では東北地方北部に濃厚にアイヌ語系の地名が残っていますが、これと同様のことが北東ロシアでも見て取れるわけです。

ヴェシやカレル、マリやウドムルトのように現代まで残ったフィン系諸民族と異なり、メリャの場合は13世紀以降ともなるとロシアに溶け込んでしまいます。

でも、ひょっとしたらそれは表面的な見方でしかないかも?と思わせる映画が、実は今年のベネチア映画祭で賞を獲得していたのでした。その名も「SILENT SOULS」。

SILENT SOULS [trailer]. Pacific Meridian Film Festival 2010. Competition.


予告編や紹介サイトを見る限りではおっさん二人のロードムービーのようですが、キーとなるのは「メリャ」のようです。いくつもの街の名前を挙げて「メリャの残した美しい名前だ」と言ってみたり、「ここでは多くの人が自分をメリャだと思っている」と言ってみたりと、たった3分の予告編の中で語られる言葉の半分がメリャ関連。なんでメリャなのか、ってのは紹介サイトを見ればわかりますが、ここでは述べません。

こんなドマイナーな言葉をキーにした言葉が国際映画祭で賞(オゼッラ撮影賞)を取るなんて、これを売り文句に世界各地に興行がかかるようになれば、それだけメリャの名前が普及するということですね。すばらしい!(貂主の国的に)。

DVDも出て買えるようになる可能性も高そうですし、ひょっとしたら日本でも上映されたりなんて可能性も無くはないわけで!
岩波ホールでやってくれないですかねぇ。ちょっと期待する今日この頃なのです。
上映されたらもちろん見に行きますよ。

#なんとか今年のうちに投稿間に合ったな(^^;;
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12月25日(土)のつぶやき

14:49 from ついっぷる for iPhone
サンタさんは事業仕分けでリストラされたらしく、うちには来なかった(´・_・`)
仕方がないので、愛するマカロフ先生の北ロシア考古学本三部作をナウカで大人買い。二年前にマカロフ先生の本が英語で出る!という話だったのに有耶無耶に終わったのの補完というには大部過ぎる(^^;; 大満足?
15:02 from ついっぷる for iPhone (Re: @hashibutogarasu
@hashibutogarasu あまりの安さに光の速さでカートイン&チェックアウト(^^;;>ハンザ本
by north_eurasia on Twitter

◆追記
二年は経ってないですね。エントリーしてから1年と8ヶ月以上。
いや、気持ち的にはもう2年ですよ。年越したら足掛け3年。
Oxbow行ってもあっさり「2011年」とか書かれているし・・・
情報量的にはこの3部作から出るものではない(2007年、2008年、2009年と3年越しで刊行されてきた、大部なもの)でしょうけど、やはり全文が英語というのはありがたいので・・・

待ってます、マカロフ先生。
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