のどかなケイバ

一口馬主やってます

女神「女神の一番長い日」2

2017-07-03 06:51:19 | 小説
 ここは山に囲まれた町。空の青さがさらに増してきました。その上空にストーク号とヘロン号が忽然と出現しました。瞬間移動、テレポーテーションです。これはヴィーブルから技術供与された軍事技術の1つです。
 ストーク号のコックピットです。テレストリアルガードの隊員がモニターを確認てします。
「チェック、オールグリーン。問題ありません!」
「よし!」
 一方こちらはヘロン号のコックピット。隊員の1人が下を見てます。下は新興の住宅地、鉄道の駅も見えます。
「おいおい、ここに墜ちてくるのか?」
 再びストーク号のコックピット。今女性隊員から無線が入りました。
「隊長、墜落地点はさらに西になりました」
「よし、通常飛行で西に行くぞ!」
「はい!」
 ストーク号とヘロン号のジェットエンジンが点火。2機が急発進しました。
 西へ西へと向かうストーク号とヘロン号。その真後ろから太陽が昇ってきました。さらにその太陽の中から巨大な何かが飛び出してきました。
「未確認飛行物体です!」
 ストーク号より数倍はある大きな宇宙船です。それを見て隊長は驚きました。
「おいおい、これはまたずいぶんと大きいんじゃないか?」
 未確認飛行物体はシンプルな長方形な物体ですが、かなり被弾してます。スペースステーションJ1に攻撃された跡のようです。
 飛行物体の先頭には青白い光が見えます。青白い光は先頭部分を包み込んでます。ストーク号の一般隊員がそれに気づき、
「あの青白い光は?」
 それに隊長が応えました。
「さあ・・・ そーいや未確認飛行物体は多少コントロールされてると言ってたな。あの光がコントロールしてるのか?」
 ストーク号とヘロン号が果てしなく続く森林地帯の上を飛んでます。ヘロン号の隊員が再び下を見ました。
「よかった。ここなら人は住んでなさそうだ」
 が、同じヘロン号の別の隊員の意見は逆のようです。
「いや、わからんぞ。登山者がいるかもしれないし」
 未確認飛行物体がストーク号とヘロン号を追い越しました。ストーク号の一般隊員がそれを見て、
「まもなく地上に激突します!」
「爆風に気を付けろ!」
「はい!」
 宇宙船がついに落下。尾根に接触するように墜落して、そのまま山を猛スピードで駆け降り、渓谷に激突。大爆発。とてつもなく巨大な火柱が上り、衝撃波が発生しました。あたりの森林はこの衝撃波ですべて吹き飛んでしまいました。
 再びストーク号のコックピット。
「うわっ、こりゃあ生存者はいないんじゃないか?」
「いや・・・」
 人影が、巨大な人影が炎と煙の中に立ってるのです。その身長は50mはあるみたいです。ヘロン号の隊員がそれを見て、
「な、なんだ、あれは? 人なのか?」
「おいおい、巨人が乗ってたのかよ?」
 巨人は女性のフォルムです。ストレートなダークグリーンの長髪は、腰のあたりまで伸びてます。首からつま先までワンピースのくすんだ銀の服を着てます。何か声が響いてます。巨大な宇宙人がしゃべってることは確かなのですが、それは地球人には理解できない言語です。隊長が隣の隊員に命令です。
「自動翻訳機を」
「はい!」
 ヘロン号が巨人の真後ろから前方に廻り込んで行きます。そしてついに顔が見えました。なんとその顔は、巨大な眼が1つだけ。鼻はなく、口は裂けるってほどではありませんが、かなり大きいようです。
「うわっ」
「気持ち悪いなあ~」
 今度はストーク号の一般隊員の発言。
「隊長、自動翻訳機、用意できました!」
「よし!」
 ストーク号が一つ眼の宇宙人の前で空中停止しました。宇宙人は再び何かを訴えてます。声からして、やはり女性のようです。自動翻訳機が彼女の未知の言語を解読しました。
「なんで、なんで撃った? なんで我々を攻撃した!」
 隊長はその質問に答えました。
「スペースステーションの攻撃か? すまないことをした。謝罪する」
「ふざけんな! この船には5千もの難民が乗ってたんだよ! なんで撃ったんだよ! この星は警告もなしに撃つのかよ!」
 一つ眼の宇宙人は右手を引き上げました。その手は地球人と同じ5本指で、親指と人差し指で拳銃の形を作ってます。隊長はそれを見て、
「バリア!」
「はい!」
 人差し指の先から強烈な光弾が放たれました。その光弾がストーク号に向かって行きますが、的中する寸前、魔法円が現れ、その光弾を弾きました。これもヴィーヴルから供与された武器の一つのようです。ヘロン号の2人の隊員はこの攻撃を見て、怒り心頭となりました。
「隊長!」
「くそーっ、ビーム砲を食らわしてやる!」
 ヘロン号の腹から1つの砲塔が現れました。ビーム砲の砲塔です。
「待て!」
 隊長からストップがかかりました。
「え、ええ~? で、でも・・・」
「隊長、撃たせてください!」
「まあ、もうちょっと待て!」
 隊長は再び一つ眼の宇宙人に話しかけました。
「我々はあなたに敵対する気はない。頼む、おとなしくしてくれないか!」
「ふざけんな!」
 一つ眼の宇宙人は両腕をL字に曲げ、両ひじを腋に付けました。その手には光のエネルギーが集まっていきます。隊長はそれを見て、
「ショートジャンプ、スタンバイ!」
「はい!」
 一つ眼の宇宙人はエネルギーを溜めた両手を真っ直ぐ頭上に伸ばしました。次に思いっきりその両手を振り下ろし、両手が水平になったところでその動作を停止。その瞬間両掌を合わせました。すると眩いビームが発生。それがストーク号に向かって放たれました。が、寸前でストーク号は消滅。直後に一つ眼の宇宙人の真後ろに現れました。
 隊長はいよいよ決断したようです。
「仕方がないか、ビーム砲で攻撃しよう!」
 それを聞いてヘロン号の2人の隊員は、ちょっと笑みを浮かべました。
「了解!」
「ただし、出力は20%だ」
「ええっ?」
「隊長、フルで撃たせてください!」
「だめだ、20%で撃て!」
 しかし、ヘロン号の隊員は納得いかないようです。小さく「ちっ」と言いました。と、一つ眼の宇宙人は、今度はヘロン号に向かって指の光弾を撃ちました。
「おっと」
 ヘロン号はこれを魔法円で防ぎました。
「仕方がないな、とりあえず20%で撃とう!」
 ビーム砲の砲塔が一つ眼の宇宙人の方にくるっと回転し、ビームを発射。ビームは一つ眼の宇宙人に向かっていきます。が、宇宙人に当たる寸前、青白いハニカム構造の光のバリアが発生し、そのビームを弾きました。
「なんだ、バリアを張れるのか?」
「くっそーっ!」
 が、宇宙人の真後ろから同じビームが2条飛んできて、その背中を直撃しました。
「うぐぁっ!」
 一つ眼の宇宙人は、悲鳴を挙げて焼け野原に倒れました。
 2条のビームを撃ったのはストーク号でした。ストーク号の腹にはビーム砲の砲塔が2つ縦に並んでおり、それを撃ったのです。
「ナイス、隊長!」
「ふっ、バリアは一方向だけしか張れないのかよ」