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山内昌之『歴史の想像力』

2007-11-09 00:49:02 | 読書
 全体は5つのパートに分かれていて、前半の大佛次郎や辻邦生らの歴史小説を論じた「歴史・文学論」、歴史上の人物や歴史学の先達を論じた「人物論」と、後半のグローバリゼーションが進行するなかでのイスラム圏情勢を中心に論じた「民族関係論」と現代史の方法論を論じた「現代史論」に挟まれて、著者の歴史叙述に関する基本的なスタンスを述べた「史論」が置かれている。試みにそこから引用する。 もともと、歴史を意味する「ヒストリー」(history)とは、物語を指す「ストーリー」(story)にほかなりませんでした。よく歴史と文学の性格が比較されることもあります。たしかに、歴史と文学には大きな共通点があるかもしれません。この二つは、自然への愛や人間の可能性に対する信頼に加えて、〈叙述〉という表現手法を重視する点でも似ているからです。英語のヒストリー(history)の語源であるギリシア語のヒストリアには、「歴史叙述」の意味もあるといわれます。この意味で、ヒストリー(歴史)は、ストーリー(物語)に通じる、といってもあながち間違いとはいえないでしょう。(「ストーリーとしてのヒストリー」) . . . Read more