「ロシュフォールの恋人たち」の冒頭から双子の姉妹の歌までの一連の流れはこれからはじまる映画への期待を否応なく高められる見事なオープニングだ。その期待感はいうまでもなくミシェル・ルグランの見事なスコアによってもたらされる。しかし、その期待感の絶頂は、滑らかに移動しつつ群舞を捉えたあと脚立をもって祭りの準備に取り掛かったエティエンヌ(ジョージ・チャキリス)らを追っていくカメラがどこからか聴こえてくるピアノの音を辿るように上昇し、そのまま祭りで踊る少女たちのレッスンをする姉妹の部屋の窓から滑りこんでくところにある。撮影監督は「ロバと王女」でもドゥミとコンビを組んでいるアントワープ出身のギスラン・クロケー。クレーンも用いた数々のダンス・シーンでのカメラ・ワークが印象深い。
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