この3連戦、カープ中継ぎ陣の踏ん張りに目を見張るものがあった。
このジャイアンツとの連戦に限らず、それ以前からもちろん活躍はしていたのだろうが、
今季、中継ぎ投手にやや不安を抱えたままのジャイアンツと見比べると、
その勢いに多少なりとも差を感じてしまう。
第3戦のカープ先発は福井ということで楽しみにしていたが、
観戦し始めたときにはもうすでにマウンドから降りていた。
録画していたVTRを見た感じでは、それほど悪いボールを投げていたようには見えなかった。
ただ2回の集中打の場面では、ストレートを多投したことで完全にそれを狙い打たれた。
井端、村田と打ち取った二死までは、それほど偏った配球ではなかったが、
8番・實松に対してはストレートで押す。
投じた6球中5球がストレート。
3ボール2ストライクからの6球目のストレートをセンター前へ弾き返された。
続くピッチャーの江柄子にも3球ストレートを続け、3球目をやはりセンター前へ持っていかれる。
8番、9番ということもあったかもしれないが、このあともストレートに偏る。
長野には初球のストレートを狙い打たれセンター前。
橋本には5球のうち2球はスライダー、フォークと変化球を混ぜるが、
5球目のストレートをセンター前へ打たれる。
坂本も狙い澄ましたかのように初球のストレートをレフト前へ弾き返す。
ここでようやくピッチングコーチがマウンドへゆき、
次の阿部にはスライダー、フォークと変化球で攻め、一塁のファールフライに仕留めた。
ストレートの球速は、140キロ台中盤から後半の表示で走りも悪くなかったから、
2回の投球は少しもったいなかった。
1軍に上がってきてからはいい投球をしていたようなのでもう少し長いイニングを期待していたので残念。
野村監督も2回での交代は多少迷ったと試合後のコメントで言っていたが、
流れを呼び戻すための決断と下した早めの継投策が、結果的には功を奏した。
福井がジャイアンツからのドラフト指名を断った2005年。
あれから9年が経つ。
当時、そのことをこのブログでも取り上げた(※)。
1年浪人してからの早大入り。
そんなイキサツもあってか、今でも気になる存在のひとりだ。
野村監督の早い決断に応えたのが、若手を中心にした中継ぎ陣たち。
3回以降、戸田隆矢、中田廉、横山竜士が無失点リレー。
一番後ろには磐石のミコライオがいる。
3回からマウンドに上がった戸田。
先発も中継ぎも左が手薄な印象のあるカープに、こんな活きのいい中継ぎ左腕がいたのか。
高卒3年目で1年目、2年目と数試合は登板経験があるようだが、
実質的には今季からが実働のようなものだろう。
スライダーのキレがよく、ストレートのスピードもまだまだ伸びそうな雰囲気がある。
今季の中田廉の活躍は言うまでもないが、
一岡の抹消で登板過多がちょっと心配になってきたところで、
中崎の存在感がグンと増してきているのではないか。
昨夜の登板でも2回を完璧に抑えた。
ストレートも何球か150キロを計測している。
体格がいいので球も重そうに見える。彼も22歳と若いのでこれからさらに楽しみな投手だろう。
前半、大活躍だった一岡の穴を、この中崎あたりが完璧に埋めてくれそうな感じがする。
ただカープもここにきて先発投手の不安は尽きない。
一昨日の前田健太。大瀬良は昨夜、久しぶりに勝ち星がついたが、まだまだ不安はぬぐえない。
九里も苦しんでいるようだが、現在はどういう状態なのか。
先発では野村祐輔に、この日先発の福井も不安要素は多い。
カープではいちばん気にかかるのは今村猛。
本来なら前述の中継ぎ陣以上に活躍していなければいけないはずだが、
なかなかいいところで名前が上がってこないところをみると、やはりまだ暗中模索なのだろうか。
万全な状態でないままどうにか首位をひた歩くジャイアンツ。
投打にリーグ1の決め手を誇るタイガースもなかなかジャイアンツを抜け切れない。
上位2チームがそんな状態であっても、結局、カープも追い越せないでいる。
やはり、前述した投手陣の不安材料の多さが祟っていることは間違いないだろう。
ただ先発陣が不調な反面、中継ぎの布陣がまた揃いつつある。
さらに打線もロサリオが加わったことで繋がりが良くなった。
エルドレッドの離脱は痛いが、打線の繫がりを考えれば ”渡りに船” といえなくもない。
ジャイアンツに勝ち越して、いい流れに乗った。
山口鉄也も心配するほどの状態ではないように見えた。
打たれたのも悪い球ばかりではなかった。
とくに最後の堂林に打たれた球は、内角低めのいいコースに投げたストレートだった。
あんな難しい球をあんなに上手く打つ堂林を見たことがないと野村監督が言うくらい見事なバッティングだった。
たしかに、あんな打ち方出来るのかと驚いた。あれは打った堂林だろう。
ただ今シーズンの山口鉄也は変化球にこれまでのようなキレを感じない。
やはり、投げすぎてきたツケが、多少、出ているだろうか。
一昨年、シーズン終了からそのままWBCの流れに入り、
そこから昨シーズンも日本シリーズまで目一杯投げた。
見方によっては、山口鉄也がジャイアンツ投手陣の大黒柱といっていい。
今後のことや、肉体的な負担を考えると、本来なら、抑えがいいと思うのだが、
何年か前に一度失敗しているからか、完全移行は試みない。
ケースによってはマシソンとの順番の入れ替えはあるにしても、
それも余計に負担がかかるように思える。
徐々にでも移行していったほうが、長く一線で活躍できるような気がする。
潰れるようなことだけにはなってほしくない。
クローザーよりセットアッパーのほうがいいと、以前、本人は発言していたようだが、
そこは首脳陣、担当コーチが上手いこと様子を見て、徐々に慣れさせるというテクニックを駆使できないものか。
来季を、山口鉄也のストッパー元年に。
今からでも、岩瀬に近づけると思うのだ。
まっ、少しでも長く活躍してくれればそれでいいのだが。
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