ブログ、巨人軍。

頑張れ、ジャイアンツ!
頑張れ、日本のプロ野球!

CSを回顧する.1~投打に拠りどころのなかった4試合。

2014-10-26 10:17:49 | 2014年シーズン

あれよあれよという間の4連敗だった。
なんだか切ない幕切れで途方に暮れた。
まったく予期できなかった敗戦ではないけれど、
こんなに足早にシーズンが終わってしまうと、
心の準備がぜんぜん出来ていなかったことを思い知る。
テレビの前で、しばらく呆気にとられたまま座りつくしていた。

いろいろなとこころで敗戦の原因や、
勝敗を分けたポイントなどが検証されている。
1戦目の満塁で片岡に替えた代打セペダは、
決断した側にとっても、観ている側にとっても、
あとに尾を引く大きなポイントになった。
2戦目で澤村が当ててしまった上本への頭部死球も然り。
さらに菅野、大竹、高橋由伸の不在なども一つの要因ではあるだろう。

ただ、4つの負けを思い起こすと、負けた原因を探るまでもなく、
勝てる要因が元々少なかったことを改めて突きつけられるようで、
振り返るのもしんどい。
単に、シーズン通しての個々の成績がそのまましっかりとゲームに反映された、
ただそれだけの、明解なシリーズだったと片づけてしまうのがいちばん手っ取り早いだろうか。

ファイナルステージが始まる前に、原監督は ”慎ましやか打線” と形容したが、
投打にタイトルフォルダーが揃う勇猛なタイガースに対し、
慎ましやかな状態で挑まなければならないジャイアンツに、
果たしてどれだけ勝機があったかと考えると、
打のキーマンがその慎ましやかな象徴の阿部と村田、
投手のキーマンを内海と宣言した時点で、
厳しい戦いを意識した原監督の覚悟が窺い知れる。
”慎ましやか” の ”慎” が、阿部慎之助の ”慎” とかかっているのが、
洒落がきいているのかどうなのか、今となってはそれも空しい。
原監督にとっては、最後まで覚悟のシーズンだったということか。


勝てば儲けものは本来、下から上がってきたチームの思いだろうが、
そもそもジャイアンツのペナント優勝自体にも、
そんな儲けもの的要素がなかったと言えば、勿論、そうとも言い切れない。
今シーズンの個々の成績を見比べると、
ぶっちぎりでタイガースが優勝していてもおかしくない内容なのに、
ジャイアンツがチーム力でそれを凌駕してしまった。

長いペナントレースでの戦いだったから、どうにか乗り切れたのかもしれないが、
短期決戦の上に、さらにいくつかのプラスマイナス要素が乗っかって、
それはもう結果を振り返るまでもなく、
4連勝は明らかにタイガースが強かったという結果の表れだろう。

両チームの、シーズン通しての個々の力の上に、
ジャイアンツは菅野、大竹、高橋由伸とさらにマイナスが加わり、
タイガースは福留と西岡が最後の最後で完全にプラスに転換した。
こう見ると、今シーズンのセントラルリーグは、
開幕カードでのこの福留と西岡の大事故が、
ペナントの行方をある意味左右したと言ってもいいのかもしれない。

その福留と西岡が最後に活躍してCSファイナルの勝利に貢献した。
逆にジャイアンツは4戦目の9回最後の攻撃で、
セペダ、坂本の焼け石のような2連続本塁打のあと、
アンダーソンがヒットで出塁するも、
阿部と村田が凡退してCSファイナルステージに幕を下ろした。
この幕引きも今季を象徴する終わり方だったように思える。

タイガースの強さばかりが目立ったCSファイナルステージだったが、
CS4連敗はジャイアンツの問題であることも疑いようはない。
では一体、この4連敗は何に、何処に端を発していたのだろうか。


レギュラーシーズンを終え、CSファイナルまでの8日間、
ジャイアンツの調整具合を報じるスポーツ紙などの記事からは、
やけに ”非公開練習” という文字が目についた。
短期決戦前にはよくあることなのでさほど気になる記事ではなかったけれど、
見出しは ”報道陣シャットアウト” ”極秘メニュー”
”異例のカーテン” と日増しに緊張感を増し、
最終的には ”厳戒態勢” とまで書かれ出した。
記者がどこまで正確に表現しているかは別にして、
記事を読む限りチーム全体的がピリピリしたムードであったことは間違いなさそうだ。

ジャイアンツは今回、CSへ向けての調整をジャイアンツ球場と東京ドームで行った。
リーグ戦終了からCSまで期間が空く場合、
例年ならその時間は宮崎のフェニックスリーグで実戦練習に費やすのが恒例だ。
しかし、今回はそうでなかった。
東京ドームでBCリーグ選抜と練習試合は行っているものの、
どちらかといえばこの8日間は文字通り ”調整” の時間に企てられた。
それを最も象徴しているのが、報道陣をシャットアウトして行ったという、
原監督による阿部の極秘指導ではなかったか。

要するに、阿部はここにきてまで修正に時間を充てなければならない状態にあり、
それは坂本や村田にしても同じような事態にあったことは言うに及ばない。
さらに、長野を筆頭に故障を抱える選手がいたことも影響していただろう。
実戦で試合勘を維持させることよりも、どうにか一旦、チーム状態をリセットさせ、
少しでも個々の状態を引き上げたいという、
今季のチームがずっと抱え続けた苦悩に最後まで引きずられていた。
これが今年のチームの最大の ”弱味” であることは言うまでもない。
普段どおりの戦い方、ここまでやってきた戦い方、
そういった優勝チームならではの余裕や落ち着きなど一切持たぬまま、
今季のチームはそんな状態でCSファイナルに向かっていかなければならなかった。


ペナント優勝が決まってからも、選手の口から出る言葉に強さはなかった。
まさか優勝できるとは、といったコメントが聞かれるほど、
優勝の手ごたえを実感していた選手は少なかったかもしれない。
リーグ優勝を掴んだにも拘らず、阿部は反省ばかりを口にし、
その表情には悲壮感すら漂っていた。
どうちらかといえば、そういった選手のほうが多かったようにも見えた。

そんな中、CSを控えて言葉の内容に強さがあったのが、
くしくも今季から新戦力となったふたり、井端と片岡だった。
井端はリーグ優勝のときも 「はじめから日本一しか頭にない」 と断言。
CSに向けても、精神的に優位に立って戦うべきと説き、
首位チームであることを意識して強気で立ち向かう姿勢を敢えて言葉した。

レギュラーシーズン最後に来てトップバッターを任されるなど、
調子が上向きだった片岡はその勢いのままに、
「サッと3連勝して日本シリーズに備えたい」 と、
CSファイナルに向けた自信を強い言葉で言い表した。

短期決戦で発揮される勝負強さこそ片岡の真骨頂と、
そんな期待の高い片岡だったはずだ。
1戦目のあの場面は、このときのための片岡獲得だったのかと、
そんな唸るような絶妙なタイミングで片岡に打順が廻ってきた。

左の代打の切り札が不在ということもあっただろう。
シリーズを通してセペダを乗せたいベンチの思惑も解らないではない。
ただ、片岡の足なら、仮に内野ゴロを打ってもセペダよりはゲッツーの可能性は低い。
と、そんな話ではない。
あの場面での片岡は、計ったかのような見事なタイミングだった。

2戦目に片岡がスタメンから外れたのは岩田との相性で理解できるうえ、
逆に相性のいい井端が本塁打を放つなど、入れ替えはうまく機能したように見えた。
ただ3戦目、明らかに足の具合が良くない長野1番も、
メッセンジャーに相性がよく、シーズン最後にトップバッターで調子に乗った片岡1番なら、
こちらも比較的メッセンジャーに相性がいい亀井2番との並びで流れ的にどうだったろうか。

長野は1戦目でゴメスのライト前ヒットを捕球しホームへ返球する際、
ややファンブル気味にグラブの中でボールを握りそこねた。
ワンテンポずれた送球動作の遅れをカバーするように、
しっかり握れてないままホームへ返球し、
送球は高く浮いてホームからも大きく逸れた。
いいボールが返っていてもタイミング的には厳しかったろうから、
このプレイ自体に何ら問題はなかったかもしれないが、
このモタツキ加減は明らかに故障の影響に見えたし、その後も何戦目かで、
やはり同じようにファンブル気味の捕球をして送球の乱れるシーンがあった。
4戦目でレフト線の安打を放った際、
足を引きずるように一塁から二塁へ向かっていた長野の走塁を見ると、
この試合、7番に据えたのは最善だったろうし、それすらも痛々しく見えた。

7番に据わった4戦目こそ2本ヒットが出た長野だったが(4打数2安打)、
トップバッターに座った初戦から3戦目の成績は、
1戦目が4打数1安打(3三振)、
2試合目が4打数無安打、
3試合目も4打数無安打1四球(3三振)。
3戦目の左中間の大飛球ファインプレイも、
プレイへの喝采以上に故障箇所を悪化させていないかとヒヤヒヤした。

故障を抱えていたり、不調の中にいても、
主力選手を信頼する原監督の選手起用も理解は出来るが、
それが裏目に出たりすると、何のために抱えている控え選手なのかと、
ついそこに目がいってしまう。

無駄な ”たら・れば” ではあるけれど、
短期決戦で最も有用なはずの片岡をまったく活かしきれなかったことが、
結果的にこのシリーズを虚しいままで終わらせてしまった象徴ように思えて仕方がない。
4戦目ではその片岡を起用するタイミングすら計れない展開にしてしまった。


ロー・スコアの接戦に持ち込み、ワンチャンスで勝利する勝ち方が、
今季ジャイアンツの象徴のように言われたが、
裏を返せばそれだけ貧打に喘いだシーズンだったということである。
そう、今季は貧打だった。
さほど万全でもなかった投手力もどうにか総体的な力で踏ん張れてはいたが、
勝ち頭が二枚欠けたうえ、勝利の方程式も結局、
簡単には修復出来ない状態にまで壊れていた。
今季、選手とベンチを支えていた ”チーム力” も、
CSでは片鱗すら示せずに終わった。

そもそも、そのチーム力にしても、
チームの中のどこかしら(誰かしら)が拠りどころにならないと力には繫がらない。
長いレギュラーシーズンでは要所で持ち回りも利いたろうが、
短い短期決戦ではそうもいかない。
現状でそんな拠りどころがいなければ探し出すか作り出す以外にない。
探すまでもなく、片岡はそんなときに最も期待できるピースだったはずだが、
原監督は新たな拠りどころを作り出すことを選択し、
セペダを指名した。
投打に拠りどころがないジャイアンツの中にあって片岡は、
小粒ながらも拠りどころになりうる可能性は高かったはずである。
だが原監督は自軍の現状を見極めて、
大きな拠りどころを作るほうに賭けたのだ。

試合を観に行っていた方々のブログなどを見ていると、
現場にいた人たちでしか知りえないような球場のリアルな雰囲気を知ることが出来る。
さすがに4戦目辺りになると、
ジャイアンツファンからもかなり厳しい野次が選手らに浴びせられていたらしい。



クライマックスシリーズがある以上、
それもプロ野球のひとつの楽しみとして捉えたい気持ちはある。
2位、3位のチームが1位のチームを破って日本シリーズに勝ち上がるという番狂わせも、
このシステムの中ではそれが大きな醍醐味であることも理解はできる。
しかし、今季のパリーグがそうであったように、
3位のチームが2位のチームを打ち砕くまではいいが、
やはり1位のチームは負けてはダメだ。
どんなにもつれても勝たなければいけない。
メジャーリーグのように30チームが2リーグの中でさらにひしめくような、
そんな中でのポストシーズンならまだしも、
日本のプロ野球は12チームが2リーグに分かれての戦いである。
クライマックスがある以上、この戦いは仕方がないし、
そうであれば下位チームが1位のチームを喰うのも面白味なのかもしれないけれど、
それでもやはりペナント優勝チームが負けてはダメだ。

何歩か引いて言うならば、
下位チームが勝ち抜けて讃えられることに勿論、異論はない。
勝負である以上、1位のチームが敗れることもあるだろう。
だからと言って、ペナントを1位で優勝したチームが、
あんなにあっさり負けてしまってはダメである。
敗退するなら、せめてもつれたうえで苦汁をなめて欲しい。

何よりつらいのは選手らであることなど承知の上だが、
あんなにあっさり負けてしまっては、
身も蓋もない。

と、これくらい言わないことには、要は気が収まらないのである。






コメントを投稿