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反骨心が口をついた原監督、渾身の言葉。

2014-10-01 23:17:53 | 2014年シーズン

今季、原ジャイアンツの戦い方については、いろいろな見方がある。
様々な人が、様々な立場でものを言うから、あたりまえと言えばあたりまえだが、
シーズン中から矢面に立たされた原監督の心中はどうだったろうか。


今年、球団創設80周年を迎えた読売巨人軍。
東京ドームの開幕戦で催された厳粛なセレモニーには、
往年のファンを唸らす豪華な顔ぶれが勢ぞろいし、オープニングゲームに華を添えた。
このような記念すべき年に、優勝を逃すわけにいかないプレッシャーは、
原監督以下、首脳陣、選手らにとっても、かなりの重圧だったろうと想像する。


そんな重圧と共に幕を開けた2014年のペナントレース。
投打に調子の上がらない選手たちを見極め、
攻撃に関しては打順を百数通りも替えるという苦肉の策でシーズンを乗り切った原監督。
とくに、シーズン後半近くまで4番を固定できなかったことに関しては、プロ野球解説者をはじめ、
球団OBや球界のOBなどからも、原采配に対し批判的な意見が向けられた。

「得点力に関しては、80年の歴史の中でもあまり褒められたチームではない」。
そう口にした原監督だったが、この言葉には、巨人軍の歴史を築いた先人達への敬意と、
多少の釈明も含まれているように思う。
シーズン中の原監督の耳にも、先に述べたような批判的な声は届いていただろうし、
縦の世界を強くイメージする野球界だから、
あるいは原監督が直接言及されていた可能性だって充分考えられる。
原監督もシーズン中から、打線をいじることが本意でないと口にしていたから、
自身に対する戒めも少なからずあったかもしれない。

そんな状況を想定した上で、先の原監督のコメントの続きを読み返すとさらに意味深い。
「団結力、あるいはここぞというときの守備力。これは80年の歴史の中で一番強いチームだと思う」 。
ここに、原監督の、今季、自身に向けられていた批判に対する反骨心を垣間見た気がするのだ。

百数通り凝らした打順。8人に及んだ4番打者。
一向に調子の上がらない打線に腹を括った。
一瞬繫がった線を逃さずモノにし、それを守りきる野球に徹した。
強い王道野球が築けなくても、チーム力、団結力で優勝した。
勝たなければならないシーズン。
勝たせなければいけない立場。
勝つための采配に徹しきった原監督には、やり切ったという自負があったに違いない。

8月に入り阿部を4番に固定した。
その後、復調したかに見えた阿部だったが、それも一時的なものだった。
ただ、阿部が動くことなく4番に据わり続けたことで、前後が少しずつ落ち着きはじめた。
そんな流れは先発投手陣にも波及した感じがある。
さらに故障していた亀井が戻ったり、長野が復調し始めたり、
9月の快進撃は、くしくも4番打者が固定された8月のこのときから始まってると言っていい。


どなたかが言うように、打てなくてもはじめから阿部を4番で使い続けていれば、
そこまで打順をいじらずに済んだのではないかという意見もある。
あるいは試行錯誤した上で辿り着いた打線だからこそ、後半にきて実ったという見方も出来る。
それも細かく見れば一概にどちらと言い切れるものではない。

もしかしたら、このチームの経験と団結力、信頼関係があれば、
どんな打順でどんな戦い方をしようと結果的に勝てたシーズンだったのではないかと、
ちょっと乱暴なことを言ってみるのだが、これはまた後日、考えたい。


よく、選手を評して ”ひと回り大きくなった” という言い方をするが、
これは何も選手だけに限ったことではなく、
指揮を執る立場の人間にも当てはまることではないか。
そう考えると、この苦しかったシーズンが及ぼした影響は選手だけに留まらないだろう。
成長という表現はおこがましいにしても、今季、原監督が得た自信というのは計り知れない。
たくましさを得た選手らを称えながら、原監督自らも、
きっと大きな自信を手に入れたたシーズンだったのではないだろうか。






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