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我 老境に入れり

日々の出来事をエッセイと写真でつづる

松柏100句選より(5)

2022-08-18 14:29:38 | 俳句、短歌、及び文芸

それにしても「松柏」の俳号は

それらしくて見事である、

タカさんが友人の俳句談義に触発されて 

俳句でも作ってみようかと思い立ち

2週間ほどで150句ほどをプリントし

俳号までつけて送ってきてから2か月が経つ、

いや もっと経つのかもしれない、

こちらに送ってきたのはそれなりの理由がある、

私も知る彼(か)の俳談の友人は俳句を始めて数十年、

経験豊富な正統派だから遊びを許さない、

私の方は短歌は少しばかりの経験はあるものの

俳句は歳時記を買って始めたばかり、

短詩系文芸と言う共通点はあるが

俳句に関しては全くの初心者だ、

初心者同士の共感性があるはずだと感じて

こちらに送ってきたのであろう、

だからと言って

責任重大などと構える能力などは無い、

頭の体操の材料を提供してもらったと思って

遊び心半分読み進めている。

 

(67) 老鶯と 声を競うか ホトトギス

老鶯とは春すぎて鳴くウグイスのことだと最近知った、

山間地に行けばウグイスの声など夏でも結構聞く、

そんな山でウグイスとホトトギスが声を

競うかのように鳴いていたという句である、

ホトトギスは夏の季語、

一方老鶯はわが歳時記には載ってない、

季語としての働きがあるとすれば季重と

なるのであろうがそこは問うまい、

何処かの山で春の象徴であるウグイスと

夏の象徴であるホトトギスの鳴き声を

不思議な気分で聞いる作者の映像が浮かんでくる。

 

(68) 早起きし 見る赤富士は 威厳あり

朝日が当たれば赤富士になるのか、

夕日が当たれば赤富士になるのか、

どんな条件が揃えば赤富士と呼べるほど

赤くなるのか詳しいことは知らない、

一説には火山岩は濡れると

赤みが増すと聞いたことが有る、

確かにそんな気がしないでもない、

私は富士山の8合目でご来光を見たことが有る、

濡れた岩肌ではなかったけど

身近で見れば富士の山肌は結構赤い、

ところが遠くから眺める富士山は空気の層に

色を薄められてなかなか赤くは見えない、

雨上がりとか空気の澄んだ条件下の朝なら

赤富士となるのであろう。

 

(70) 赤き鳥居 並べし岬に 春の風

山陰の角島に近い元乃隅神社は無数の赤い鳥居が

岬に向かって並ぶ観光名所である、

それはいい、

だが❝春の風❞ではちょっと芸がない、

遮二無二季語を付け加えた感が否めない、

だが悲しいかな

参考になるような妙案もない。

 

(76) 蟹宿で たらふく食ったり 吹雪の夜

思わず吹き出してしまった(ゴメン)、

幾ら食い放題とは言えあの腹に収まった蟹の量を

想像して宿のおかみが気の毒になった

と言うのが正直な感想、

❝吹雪の夜❞も艶歌を彷彿とさせて私好み。

 

(78) 軒々に 塩鮭吊るす 鮭の街

これは私も同行して眺めた風景である、

地域色に季節感に溢れる風景で同感する、

だが結句が❝鮭の街❞では在り来たりすぎるだろう、

中7に既に鮭の文字があるのだから

ここは何か違う言葉で結びたい、

或いは比喩的に

❝ 軒々に 鮭は簾か 越の国 ❞ 

比喩は句づくりには重要な手法

上手く嵌ると手ごたえを感じられるよ。

 

(写真は富士山8合目付近)

 

今回はこれにてご免。


松柏100句選より(4)

2022-08-09 05:17:57 | 俳句、短歌、及び文芸

 

友よ

許せ

前回から日延べになってしまった、

暑さに負けて頭を使う気分になれなかった、

パソコンは立ち上げてもついついユーチューブで歌を歌っていた、

パソコンと言えど時にはスナックやカラオケボックスに

行かなくても私の場合充分楽しめる、

さて余談になってしまったが本題に入ろう、

 

(27) 夕焼けも 朧で燕 低く飛ぶ

ふ~ん そう言うものであろうか?

夕焼けはしているものの霞んでいるので燕が低く飛んでいる、

気象歳時記的な話で聞いたことが有るような気もするが事実は知らない、

句の出来うんぬんよりも私は作者の詞書きに興味を持った、

句のできた背景を綴った文章だ、

ーー夕焼けはしているものの低気圧が近づいているためか

  西の空には雲が忙しく流れ、空気は湿気を帯びていた、

  天気は崩れそうである、燕が低く飛んでいる、

  このような天気の夕がたは餌となる虫たちは

  湿気がついて羽が重くなるため高く飛べないためらしい。ーー

百数十の句それぞれにこのような背景文をつけた

作者の根気には驚きと言うよりも敬意しかない、

 

(31) 暑き日を より暑くする 蝉の声

近年関東地方でもクマゼミの鳴き声を耳にするようになった、

これも温暖化の影響であろう、

真夏の九州地方ではクマゼミの鳴き声はすざましい、

将に❝より暑くする❞のである、

 

(33)蜩が 鳴いて感じる 秋近し

同感、どうかん、

私も暑さに弱いから蜩の声を聴くとホッとする、

句としての出来をさておけば季節感あふれる一節(?)に

共感してしまう、

 

(36) お年玉 揃えて孫待つ 年の明け

じいちゃんの心情そのままで微笑ましい、

きっとお年玉の袋それぞれに孫の名前を書き終えて

やれやれと微笑んでいるのであろう、

 

(42) 升席で 見る花火 豪華なり

余りにもそのままで句になっていない、

升席で等見る機会の滅多にない読み手は

それがどのように豪華なのかを知りたいし味わいたいのだ、

それを豪華の言葉で片づけてしまえば味も素っ気もない、

ここに頭を使ってこそ句になる、

 

(48) 廃線の 土手の土筆 今もありや

作者の生い立ちを知る者にしか理解しえない句であろう、

これは読み手の理解より作者の記憶を形に残したい

気持ちが優先した句と解したい、

廃線は言わずと知れた耶馬渓線、

作者はことのほか土筆の卵とじが好きらしい、

 

(52) 遠浅で カブトガニ見しは 昔なり

う~ん

私にとっても懐かしい記憶、

わが家は遠浅の海岸まで歩いて20分ほど、

カブトガニなどまだ絶滅危惧種には指定されてもいなかったので

獲ってきて食べたこともある、

身は皆無であるが出汁は出る、

こんな句にしてみた、

❝遠浅で カブトガニ見し 周防灘❞

❝昔なり❞は無くても❝見し❞でわかる、

どれほど昔なのかは読者の想像に任せよう、

今回はここまで

遅くなったのはお詫びする。

8月9日 べんけい拝


俳句問答(2)

2022-08-05 16:32:44 | 俳句、短歌、及び文芸

❝草むぐら

ツユクサの花に

息継ぎぬ❞

 

ヒデさんのメールへの返信

 

ーー貴重な感想ありがとう、

そうかぁ~

草ムグラが夏でツユクサが秋の季語とはね、

だとすると現実と乖離しているね、

私はあくまで現実を優先させたい、

どうなんだろう、

季語の季節の決め方は案外旧暦を基準にしている時代に

決められたなんてことはないのかなあ?

現実は無視できないものね、

もうひとつ

❝息継ぎぬ❞ は ❝息を継ぐ❞ にした方がいいかなあ?

中七の❝に❞は字余りでも有った方が効果的かどうか

微妙 判断に迷うところです。


俳句問答

2022-08-04 14:12:12 | 俳句、短歌、及び文芸

朝5時から畑に行った、

畑は荒れ放題、

雑草が50センチほどの高さに伸びている、

30坪ほどの畑の半分は2日間かけて

雑草を鎌で刈った、

この時期畑で作業できるのは朝のうちの2時間、

1時間もすれば全身に汗びっしょりだ、

今日も草刈をしていたら雑草の中に紫色の花を見つけた、

よく見るとツユクサだった、

小さな花ながら紫色が結構目立つ、

思わず手を止めて見入ってしまった、

何となく句になりそうな予感を感じた、

こんな句になった、

❝草むぐら ツユクサの花に 息を継ぐ❞

句の友であるヒデさんにラインで送った、

 

ーーむぐら(葎)は夏の季語

ツユクサは秋の季語、

そこをどのように折り合いをつけるか?

それにもう一つ

中7の字余りは避けるべきとされているが

字余りでも❝に❞を入れた方が

いいのかどうかだね、

助詞の「て、に、を、は」は散文的に

なるので避けたいところです、ーー

と返信が来た。

 

(写真はブッポウソウ)


断腸の思い

2022-08-01 17:22:14 | 俳句、短歌、及び文芸

これまで17年間精魂傾けてきたtea cupブログが終わった、

私の投稿は大半が写真を添付したエッセイであったが

その数は誤って消去したものまで含めれば

900いや1000点を超えるのではなかろうか?

そこで急遽引っ越しを試みたが全点には到底及ばず

辛うじて10パーセント程度引っ越すのがやっとであった、

ブログは今や私にとっては苦しみでもあり喜びでもある、

己の存在の証となったブログをやめるに忍びなく

新たにgooブログで続けることにした。