4/30中日春秋
人間の脳は本当によくできている。池谷裕二著『進化しすぎた脳』に教わった面白い実験を一つ紹介したい。
目は正面に向けたまま、真横で誰かに色のついた物を持って、少しずつ前に動かしてもらう。どうだろう。かなり前に来ないと、何色か言い当てられないのではなかろうか。
網膜の周辺部には色を感じる細胞がほとんどないからだそうだ。視野の中心部はカラーでも周辺部は白黒というわけ。ふだんそれを感じないのは、池谷さんによれば<脳が補っている>から。証拠に先に何色か見ておいてあの実験をしてみてほしい。ほら、ずいぶん手前で“見える”でしょ?
ところで最近、3D、立体的に見える三次元映像が身近になってきた。映画では既に大ヒット作もあり、家電メーカーも相次ぎ3Dテレビを発売する。先行メーカーの映像を家電店で体験したが、なかなかの迫力だった。
もっとも、テレビや映画が白黒の時代でも観客は、ヒマワリが映れば黄色を、血しぶきが飛べば赤色を見てとった。今の“2D映像”だってぺらぺらの平面として見ているわけではない。目を想像力が助ける、いわば<脳が補っている>のだろう。
逆に言うなら、白黒からカラー、3Dへという流れは、よりリアルに見えるよう<機械が補う>部分が増えていくことともいえる。脳が楽をし過ぎないよう注意が必要かもしれない。
人間の脳は本当によくできている。池谷裕二著『進化しすぎた脳』に教わった面白い実験を一つ紹介したい。
目は正面に向けたまま、真横で誰かに色のついた物を持って、少しずつ前に動かしてもらう。どうだろう。かなり前に来ないと、何色か言い当てられないのではなかろうか。
網膜の周辺部には色を感じる細胞がほとんどないからだそうだ。視野の中心部はカラーでも周辺部は白黒というわけ。ふだんそれを感じないのは、池谷さんによれば<脳が補っている>から。証拠に先に何色か見ておいてあの実験をしてみてほしい。ほら、ずいぶん手前で“見える”でしょ?
ところで最近、3D、立体的に見える三次元映像が身近になってきた。映画では既に大ヒット作もあり、家電メーカーも相次ぎ3Dテレビを発売する。先行メーカーの映像を家電店で体験したが、なかなかの迫力だった。
もっとも、テレビや映画が白黒の時代でも観客は、ヒマワリが映れば黄色を、血しぶきが飛べば赤色を見てとった。今の“2D映像”だってぺらぺらの平面として見ているわけではない。目を想像力が助ける、いわば<脳が補っている>のだろう。
逆に言うなら、白黒からカラー、3Dへという流れは、よりリアルに見えるよう<機械が補う>部分が増えていくことともいえる。脳が楽をし過ぎないよう注意が必要かもしれない。