【時事(爺)放論】岳道茶房

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4/7余禄

2010年04月07日 | コラム
4/7余禄「中国での日本人死刑」

 日本で万引きによる窃盗や、警官とのいざこざでの公務執行妨害で逮捕や起訴された中国人は差別されたと不満を抱くという。比較法学の王雲海一橋大教授によると、日本人ならそんな「小さなこと」で刑事事件にしないと思うらしい。

 というのも中国では500元以下の盗みは刑法上の窃盗にならないという。発覚しても大半がその場限りの行政処分や被害者との話し合い、叱責(しっせき)ですませる。この日中の法意識の違いが「差別」の誤解を生むのだという(「日本の刑罰は重いか軽いか」集英社新書)。

 だがいったん「大きいこと」とみなされた犯罪の処罰では日中逆転する。中国では死刑にできる罪名は69にもなるが、うち殺人など暴力にからむ罪は10件にすぎない。経済犯、薬物犯、収賄や横領などが死刑の対象となる。

 中国で覚せい剤の日本への密輸出を図ったとして死刑判決を受けた日本人の刑が執行された。72年の日中国交正常化後初のことである。中国政府は日本政府に対し他の日本人死刑囚3人の刑も近く執行すると通告している。

 犯行の詳細が日本に伝わらず、刑事手続きも不透明な事件である。死刑は重すぎるとの国民一般の法意識を背景に日本政府も懸念を表明した。しかし日本にも中国人死刑囚がいる死刑存続国同士の関係だ。昨年自国民の死刑執行を非難した英国とは対応の差が目立つ。

 国際人権団体がいうように年間数千人の死刑を執行する世界随一の死刑国にして、かつその実数すら秘密にする現状は決して中国の名誉といえない。各国との法意識の差も政治の道具にするのではなく、そのミゾを埋める努力に目をむけてほしい。


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