【時事(爺)放論】岳道茶房

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4/3 編集手帳

2010年04月03日 | コラム
4/3 編集手帳

 作家の安藤鶴夫は法政大学予科で留年している。谷沢永一氏の『向学心』(五月書房)によれば、講義で8人分の“代返”をしたのが露見したという。

 5歳のころ、寄席の帰りに「婆(ば)ァや、さっきの都々逸は間がのびたね」と語った逸話をもつ安藤のこと、8人8様に凝った代返であったろう。自民党も政権党への進級をあきらめて野党に留年するつもりかどうか、あきれるばかりの代返事件である。

 参院本会議の採決で、隣席の投票ボタンまで押した「代理投票」の責任を取り、自民党の若林正俊・元農相が議員辞職した。

 何がどう悪いかを説く気力もうせる不祥事で、緊張感の欠如ここに極まれり、である。学校を舞台にしたコントを演じているわけではなし、閣内ばらばらで「学級崩壊」と形容される鳩山政権に、野党第1党が「代返」のお付き合いをしてどうする。

 パトリシア・コーンウェルの推理小説『警告』(講談社)で、主人公がニーチェを引用して語った言葉を思い出す。〈敵を選ぶときは気をつけねばならない、なぜならこちらも敵に似てくるから〉。与野党そろっての学校ごっこは救いがない。

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