【時事(爺)放論】岳道茶房

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6/22中日春秋

2010年06月22日 | コラム
6/22中日春秋

 迷った末に何かの買い物をしたとする。すると、気に入らない点がみつかっても、むしろ長所を見出(いだ)し「やはりよい物だった」と思い込もうとするところが人間にはある。

 「よいと思って買った」行動と「やはりよくない物だった」との認知は矛盾するので不快。だが、行動は翻らないので、それに合わせ「やはりよい物だった」と思うことで不協和を解消しようとするらしい。米国の心理学者フェスティンガーが提唱した「認知的不協和理論」だ。

 繰り返される海や山など屋外活動での事故にも通じよう。万障繰り合わせた実施のスケジュールは変えたくない。すると悪天候など不都合な条件が出てきても、「大したことはない」と思い込むことで不協和を解消しようとしてしまう。

 不都合な条件の無視や軽視を招く、「せっかくの心理」の怖さともいえる。「せっかく休みを取ったのだから」「せっかく準備してきたのだから」「せっかく来たのだから」…。

 強風下の浜名湖でボートが転覆、愛知県豊橋市の女子中学生が亡くなった事故も自然体験活動というスケジュールの決まった学校行事の最中の悲劇だった。決行を決めた学校や実施施設の側にそんな心理は働いていなかったか。

 自然の懐に遊ぶ時、その怖さを頭に入れておくべきなのは当然だ。だが、人間の心の“癖”の怖さも十分に自覚しておく必要があろう。


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