【時事(爺)放論】岳道茶房

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6/20編集手帳

2010年06月20日 | コラム
6/20編集手帳

 新入社員ならトリス、若いうちはレッドかホワイト。中間管理職で角瓶あるいはオールドに。部長でリザーブ、役員クラスでローヤル――。かつては昇進とともに、飲むウイスキーの銘柄も“出世”した。

 サントリー宣伝部出身の作家、野村正樹さんからの受け売りだ。銘柄はサラリーマンの役職をにらんで出来た訳ではないものの、「俺もオールドを飲める身分になったか」などと向上感を味わえる品ぞろえは当たった。

 そんな銘柄と役職の関係も1990年頃には相当弱まったようだ。年功序列や終身雇用が揺らぎ始めた時期と重なる。それまでは豊かさの基準が分かりやすかった。経済成長期、一種の懐かしい逸話である。

 当節、洋酒にこだわりのあるお父さんは少ないと思っていたが、日本ファーザーズ・デイ委員会が成人の娘を持つ男性に聞いた調査で、父の日にもらうとうれしい物はウイスキー、と出た。

 「俺も娘(あるいは息子)から酒を贈られるようになったよ」と琥珀(こはく)色のグラスを傾けるのが、今の父親の大きな夢なのかもしれない。確かにそれは、銘柄にかかわらず極上のウイスキーであろう。


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