【時事(爺)放論】岳道茶房

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国連安保理 「北」の責任逃れ許すな

2010年06月20日 | 社説
国連安保理 「北」の責任逃れ許すな

 これからが正念場だ。多国籍調査団が「北朝鮮の魚雷攻撃」と結論付けた韓国の哨戒艦沈没事件である。韓国政府の要請を受けて国連安全保障理事会の協議が始まった。魚雷の残骸(ざんがい)など物証があっても「でっち上げだ」と言い張っている北朝鮮が、何の責任も問われず逃げ切る展開を許してはならない。

 この事件を扱う安保理初会合では南北から個別に説明を聞いた。韓国の調査団長は豊富な物証や情報資料を駆使し、北朝鮮の魚雷攻撃と断じた根拠を詳細に説明。調査に参加した米国やスウェーデンなど5カ国の専門家も同席し質問に答えた。

 一方、北朝鮮の説明役を務めた国連大使は、この調査結果を「捏造(ねつぞう)」と非難したが、安保理構成国の多くは韓国側に軍配を上げたようだ。日本や米国はもちろん、フランスなど複数国の大使も、韓国の説明を「説得力十分」などと評価したという。

 しかし、北朝鮮の責任を厳しく問う安保理決議の採択は楽観できない。中国とロシアが、極めて慎重な姿勢を維持しているからだ。

 中国は一貫して「朝鮮半島の平和と安定の重要性」を強調してきた。有り体に言えば「北朝鮮を刺激したり追い詰めて暴発させたくない」という危険回避の発想である。

 中国は哨戒艦沈没の原因について判断を示さず、韓国からの調査団派遣要請にも応じていない。「北の犯行」を認めざるを得なくなるのを嫌っているようにも見える。

 ロシアにも国際情勢をにらんだ独自の政治的判断があるようだ。

 こうした中露の姿勢を見て、韓国は北朝鮮に対する新たな制裁決議の採択をあきらめた。北朝鮮を名指しする非難決議で満足しよう、という判断だ。ところが最近は「北朝鮮の責任を明示するなら議長声明でもよい」との方針が報じられ、それさえ難しいという観測も流れている。

 安保理協議の行方を左右するのは常任理事国だ。韓国を支援する立場の米国は、日本とともに北朝鮮の責任追及に努める必要がある。一方、中露は北朝鮮をかばう結果になることの悪影響を認識すべきである。

 魚雷攻撃という重大な武力挑発にきちんと対処できないようでは、安保理の存在意義が問われる。

 また、北朝鮮は従来、自らの犯罪行為をごく例外的にしか認めてこなかった。それが結局、自損行為になるにしても、責任逃れに成功すれば今後も暴挙を繰り返すだろう。

 中国が望む「朝鮮半島の平和と安定」のために真に必要なのは、目先の危険回避より北朝鮮の行動を改めさせることだ。北朝鮮の命綱を握っている中国にこそ、その機会をとらえてほしい。

2010年6月20日 毎日新聞 社説


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