夢をかなえる新聞・聖教新聞 -人間革命の指針-

聖教新聞は夢をかなえる新聞です。その中より「新・人間革命」、名字の言、体験から夢をかなえゆくための指針をつづります。

共戦16

2011-11-30 23:52:40 | 小説「新・人間革命」
 山口開拓指導に参加し、懸命に折伏に励みながら、相手を入会させることができずに悩んでいる同志のことを思うと、山本伸一は、胸が痛んでならなかった。彼は力説した。

 「私たちは、必死になって仏法を語ったのに、相手が信心しないと、がっかりして、落ち込んでしまいがちです。しかし、『聞法下種』も『発心下種』も功徳は同じなんです。

 大事なことは、正法を皆に語り抜いていくことなんです。

 皆さんは、不軽菩薩のことを学んだでしょう。私たちの下種活動は、現代において、不軽菩薩の行を実践しているんです。すごいことではないですか!」

 法華経の常不軽菩薩品には、次のように説かれている。

 過去世の威音王仏の滅後、像法に、不軽菩薩が出現する。

 不軽は、会う人ごとに、二十四文字の法華経を説き、礼拝・讃歎して歩いた。

 「我れは深く汝等を敬い、敢て軽慢せず。所以は何ん、汝等は皆な菩薩の道を行じて、当に作仏することを得べし」(法華経五五七ページ)

 <私は深く、あなた方を敬います。決して軽んじたり、慢ったりしません。なぜなら、あなた方は皆、菩薩道の修行をすれば、必ず仏になることができるからです>

 不軽菩薩は、一切衆生に仏性があると確信し、こう訴え、人びとにひざまずき、合掌していったのである。

 しかし、彼の言葉を聞くと、むしろ、人びとは、怒り、憎悪の心を燃え上がらせた。不軽の言うことは虚言であるとして、悪口し、罵り、さらに、杖や棒で打ち、瓦のかけらや石を投げつけたのである。

 それでも不軽菩薩は、「我れは深く汝等を敬い……」と言って、人びとを礼拝することをやめなかった。

 この時、不軽を軽んじ、迫害を加えた者は千劫の間、無間地獄に堕ちる。しかし、最後は、正法を聞いた縁によって救われるのである。

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