夢をかなえる新聞・聖教新聞 -人間革命の指針-

聖教新聞は夢をかなえる新聞です。その中より「新・人間革命」、名字の言、体験から夢をかなえゆくための指針をつづります。

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2011-11-30 23:50:52 | 小説「新・人間革命」
山内光元は、妻の照子の話に、口元をほころばせた。

 「ほう、神札は駄目だというのか! 面白いことを言う宗教だな。それは、正しいぞ。愉快だ。実に愉快だ。

 俺は子どものころ、よく神札を作っていたから知っているが、ああいうものでは救われるわけがない。

 神札や、ほかの対象物など、さっさと処分すればよい」

 すると、妻は、安堵の表情を浮かべた。

 「ああ、よかった。あなたが、そう言うと思って、もう燃やしておきました」

 「そうか。一家で信仰がバラバラというのもよくないから、お前が信心をするなら、私もやろう」

 山内夫妻が入会したのは、一九五六年(昭和三十一年)三月のことである。

 妻の照子は、その日から、一生懸命に信心に励んだ。すると、いつも床に就き、生気のなかった彼女が、日ごとに元気になり、活動にも、はつらつと参加できるようになっていったのである。この体験が、仏法への確信となった。

 山内光元は、入会したといっても、真剣に信心に励むつもりはなかった。しかし、妻の姿を見て、少しずつ心は動いていった。

 学会の出版物をむさぼるように読み始めた。宗教には、浅深、高低、正邪があることも理解できた。何を信ずるかによって、人間の幸・不幸が決していくということも納得できた。人間の宿命は三世にわたり、過去世からの自身の行動、発言、意思によってつくられてきたことも学んだ。

 入会から七カ月後の十月、山口開拓指導で山本伸一が下関を訪れ、座談会に出席した。

 「皆、私たちは貧しい庶民かもしれない。しかし、本来の姿は、地涌の菩薩です。末法の人びとを幸福にするという広宣流布の聖業を果たすために、あえて宿業を背負って、この世に出現してきたんです」

 その指導に、山内は息をのんだ。

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