夢をかなえる新聞・聖教新聞 -人間革命の指針-

聖教新聞は夢をかなえる新聞です。その中より「新・人間革命」、名字の言、体験から夢をかなえゆくための指針をつづります。

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2011-12-08 21:37:19 | 小説「新・人間革命」
 美藤実は、幹部の言葉に、自分の心を見透かされている思いがした。

 「うまい儲け話は、どこかに落とし穴があり、必ず失敗するものです。ところが、そこに手を出してしくじり、借金を背負い込んでしまうと、なんとかしようと焦って、また、うまい儲け話にのってしまう。それを繰り返して、ますます借金が膨れ上がり、最後は破産してしまうことになる。

 そうならないためには、その安易な一念、“おすがり信心”のような生き方を改めて、仕事も、信心も、新しい決意に立って再出発することです。うまい儲け話を追うような生き方をするのではなく、地道に努力と工夫を重ね、足もとを固めながら、着実に信頼を広げていくんです。

 また、何よりも、“自分の人生は、広宣流布のためにあるのだ!”と、心を定めることです。そして、“必ず、防府の広宣流布を成し遂げていきます。そのために、今の危機を脱して、自由に活動できる経済力をつけさせてください”“仏法の偉大さを証明する力をください”と、真剣に祈ることです。

 ただ、儲けるために信心をするのか。広宣流布していくために事業を成功させたいのか――そこには、天地水火の違いがあります。

 私たちは、地域、社会の人びとに、正しい仏法を教え、一人も漏れなく幸せにしていくという、使命をもって生まれてきたんです。

 その使命に生き抜こうと心を定め、信心に励む時、仏、菩薩の生命が涌現し、無限の力が、智慧が、湧いてくるんです。その力と智慧をもって、懸命に仕事に取り組んでこそ、商売の成功もあるんです」

 美藤は、自分の信心を、そして、生き方を猛反省せざるを得なかった。

 彼は、信心も仕事も、一から始めるつもりで、挑戦を開始した。紆余曲折はあったが、総菜屋を始め、着実に信頼を築いてきた。弘教も百世帯を超した。そして、二十年の来し方を思い返しながら、深い感謝を込め、山本伸一に現況報告したのである。

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