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商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

ステータスレポート

2017-04-07 09:17:43 | 日記

特許庁はこのほど「特許庁ステータスレポート2017」を公表した。特許行政年次報告書などに先立ち、最新の統計と日本の政策動向を国内外へ発信するもので、日本語と英語で書かれている。知財の世界での日本の国際的な位置付けを知る情報ツールの一つだ。

2017年版のポイントとして特許庁は、(1)国内特許出願の漸減傾向が16年も続いた半面、特許登録率は増加傾向にあることから、企業の知財戦略が量から質へ転換している、(2)16年中に特許庁で受理したPCT(特許協力条約)国際出願数と世界の特許出願件数が過去最高を記録-などとした上で、(1)「世界最速かつ最高品質の(日本の)知財システム」の実現、(2)海外知財関係機関との連携-などの政策によって、特許庁を利用する効用や特許庁の世界的優位性を主張する。加えて「第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会」に言及し、新たな知財制度や国際標準化について、世界に先駆けて論議を進めているとした。

一方、外国と比較して特許、実用新案、意匠、商標などの国内出願が停滞していることを如実に示した。具体的に各項目を10年前の実績と比べると、国内特許出願は、16年は31万8381件と07年比20%減だったが、世界では15年に288万9000件と06年比61%増加。五大特許庁は合計238万4000件と同77%増えた。これに対し日本は10年に中国に抜かれて世界3位に転落した後も低下が続いている。いよいよ、日本も量より質の時代に入ったか?


直虎と異義

2017-04-06 10:01:40 | 日記

NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の舞台の浜松市が、長野県の企業などが登録していた「直虎」の商標の取り消しを求めた異議申し立てに対し、特許庁が認めない決定をしたことが5日、分かった。決定は3月27日付。ドラマの主人公の井伊直虎以外にも、歴史上に直虎を名乗る人物が複数いることから「特定の人物を示していない」と判断した。

 「直虎」の商標は、長野県のみそ醸造会社など2件が昨年4月に登録を受けた。しかしみそ醸造会社は長野県の須坂藩主「堀直虎」を念頭に置き、出願していた。

 浜松市は「直虎」の文字を土産品などに自由に使えず「特定の会社や地域が独占すべきではない」として、昨年8月、異議を申し立てていた。浜松市は登録後、「直虎」ではなく、直虎関連のキャラクターの活用などを地元企業に促し、商品の販売に対応している。


直虎と連携

2017-04-05 08:49:25 | 日記

放送中のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」をきっかけに、須坂市と浜松市の商工会議所が地域おこしで連携しようとしている。須坂市は幕末に須坂藩主だった堀直虎、浜松市は大河ドラマ主人公の井伊直虎をPRするため、互いの地域での認知度を高める狙いだ。

須坂商議所は、今年に没後百五十年目を迎えた堀直虎に着目。大河ドラマにあやかろうと、二月ごろに浜松商議所に連携を呼び掛けた。

その一環で、浜松商議所の職員たちが三月下旬に須坂市を訪れ、観光名所を巡って堀直虎への理解を深め、五月三~五日には浜松市で開催される「浜松まつり」で、二人の直虎の関連グッズを販売したり、パンフレットを配布したりする予定。

 直虎を巡っては、須坂、浜松市それぞれの企業が「直虎」の商標を登録。浜松市などが昨年八月に「地域活性化の足かせになり、特定の企業にだけ認めるのはおかしい」と特許庁に異議申し立てをする問題も出ている。

須坂商議所の担当者は「対立より連携。同じ直虎つながりで互いに地域活性化につなげたい」と語り、小城鍋島藩最後の藩主だった鍋島直虎ゆかりの佐賀県小城市と連携することも考えている。

江戸後期の1836年生まれ。26歳で須坂藩の13代藩主となり、藩政改革を進めた。大政奉還の翌68年、徳川慶喜に進言した後に自害した。

戦国時代に井伊谷(現在の浜松市北区引佐町)を本拠地とした井伊家の当主を務め、徳川家康の側近として仕えた初代彦根藩主、井伊直政の養母とされる。連携して直虎をもりたてる事例。


面白商標

2017-04-04 09:12:25 | 日記

今回は、商標のお話しです。商標(商品名)の重要性について、少し古いエピソードですが、分かりやすいエピードのため、改めて紹介してみたいと思います。有名なエピソードのため、ご存じの方も多いと思います。

レナウンから発売された紳士用抗菌防臭靴下「通勤快足」(登録商標)です。発売当初のネーミングは「フレッシュライフ」でした。決して悪いネーミングではないため、当初もそこそこの売上がありましたが、その後は、売上が減少しました。そこで、商品名を「通勤快足」に変更しました。基本的な中身は変わりません。


そうしたところ、その年の年間売上は、13億円に、2年後の売上は、45億円の大ヒット商品に大化けしました。中身はそのままで商品名を「フレッシュライフ」から「通勤快足」に変更しただけです。

このように、商品名(商標)は、「良い名前」はもちろんのこと、どれだけ消費者の感覚を掴むかのインパクトが重要であり、ネーミングの選定には、単に「感じの良い名前」だけではなく、消費者の感覚を考慮した一捻りも二捻りも必要というよい例です。
 

私は、よくお客さんに話すことがあります。女性は赤ちゃんを生み育てることができます。男性は赤ちゃんを生むことはできませんが、商品を生んで育てることができます。子供に名前を付けるときは、色々な角度から真剣に悩むと思います。そうであれば、商品に名前を付けるときも、色々な角度から真剣に悩んで当然であると思います。

「通勤快足」以外でも「缶煎茶」→「お~いお茶」も同様のエピソードを持っています。皆さんも「商品名」=「お金」の観点から自社商品の商品名を見直してみてはいかがでしょうか。
コスト削減の会議よりも商品名の変更が売り上げにつながる場合もあり?


弁理士会長挨拶

2017-04-03 09:56:37 | 日記

IoT、ビッグデータ、人工知能に代表されるデジタル・ネットワーク分野の技術革新の波に押されて第4次産業革命が進行しつつあります。
しかしながら、このような変革の時代に、我が国の知財の活力は低下傾向にあります。出願件数の低下にみられるように、知的創造活動は低迷しており、我が国の知的創造サイクルの流れは先細り傾向にあります。これでは変革の時代に乗り遅れてしまいます。
これからの時代を乗り切るためには、知的創造サイクルを活性化させることが必要です。知的創造サイクルの活性化は、近年悪化している弁理士の業務環境の改善にもつながります。そこで、知的創造サイクルを活性化させ、併せて弁理士の業務環境の改善を図ることを主眼に、以下の施策を実施します。

(1) 知的創造サイクルの活性化と、弁理士の業務環境の改善
(2) 会員のための施策の充実
(3) 中小企業への知財支援と知財普及活動の強化
(4) 施策の実施に適した日本弁理士会の組織の改革

(1) 知的創造サイクルの活性化と、弁理士の業務環境の改善

① 弁理士のコア業務の量的拡大

コア業務の量的拡大は、中小企業、大企業及び外国企業に対し、それぞれ対策が必要です。特に、中小企業については、企業数割合に対して出願数割合が極めて低いのは周知の通りであり、中小企業の潜在的能力を引き出すことができれば、コア業務の量的拡大につながる可能性があります。中小企業の知財マインドの向上は、日本の産業界全体の知財政策をより積極的な方向に導くと考えます。
中小企業に知財の有用性を認識してもらうことに特化した地域セミナーを全国網羅的に行います。
この地域セミナーは、地元の中小企業と地元の弁理士が一緒に参加し、情報交換の場が持てる形態で実施します。地元の中小企業が、地元の弁理士を知ることで、知財へ積極的に取り組む道筋をつけたいと思います。また、新規クライアント(特許事務所への依頼経験がほとんどない中小企業)を発掘し、弁理士知財キャラバンの訪問型コンサルへとつなげることも行います。出願経験があるクライアントに対しては、一歩進んだ支援ができるよう、外国出願業務、輸出入に伴う知財関連業務等の会員への研修を強化します。
弁理士知財キャラバン等の支援による活用事例の上記地域セミナーで紹介や、実用新案、意匠及び商標制度の活用促進も図ります。
大企業については、出願動向(例えば件数変動)と事業上の変化(例えば収益の変化)の関係等について会長室又は必要に応じて外部で調査し、この調査結果を踏まえて、大企業の出願数の減少傾向に歯止めをかける有効な働きかけについて検討します。
外国企業については、本年2 月にアメリカで実施したDiscover IP Japanが好評であったとのことから、その継続や国際会議におけるブース設置等による我が国への出願の促進を検討します。

② 弁理士の周辺業務の量的拡大

技術情報の秘匿化業務、標準化を含めたオープン&クローズ戦略、知財契約、知財価値評価、知財金融、水際対策、知財教育等の分野に、更なる進出が可能となるよう支援します。

③ 弁理士に係わる環境の維持

グローバルドシエ等の国際的課題には、各国弁理士会等との連携を持って対応します。事務所経営改善支援、支部における会員の活躍の場の拡大、非弁行為の取締強化等を積極的に行います。

(2) 会員のための施策の充実

① 業務に即した研修の一層の充実

広範な相談対象への対応を可能にするため知財コンサル研修を一層充実させるほか、これまでの知財コンサル研修修了者の更なるレベルアップを図ります。
ある程度実務経験を積んだ弁理士を対象として、育成塾で行われているような演習型の実務研修を実施し、権利化業務に限らず、周辺業務を含め,更なる実務能力のレベルアップを図ります。

② グローバル知財人材の育成

外国の知財関係組織との交流等、現在日本弁理士会が行っている国際的活動への一般会員の係わりを促します。また、海外会員を活用すること等による情報収集力の強化を図ると共に、英語によるプレゼンテーション能力の向上のための研修を含む国際的な研修の充実を図ります。

③ 会員に必要な情報の提供

電子フォーラムに掲載のデータへのアクセス性の改善を図ります。具体的には、検索エンジンのさらなる改善や文書へのタグ付けによる整理等を前年度に引き続き行うことで、会員にとって必要な情報がタイムリーかつ容易に入手できる環境を整備します。

④ 事業承継システムの充実

事業承継のよりスムーズなマッチングを実現するために、会員マッチングセミナーを継続して開催します。マッチングシステムについては、利用状況、費用対効果等を検証し、抜本的見直しを図ります。

⑤ 日本弁理士会の財務環境の検証

日本弁理士会の財務環境を多面的に検証し、長期的な視野に立った予算のあり方を検討します。

⑥ 企業内弁理士の研修プログラムの充実

企業弁理士知財委員会等の活動を通じて、企業弁理士特有の知識を習得できる研修プログラムの充実を図り、e-ラーニングコンテンツの多様化にも繋げます。

(3) 中小企業への知財支援と知財普及活動の強化

① 中小企業への知財支援

地域セミナーと知財キャラバンを通じて、中小企業への知財支援を実施します。

② 知財の普及活動の強化及び弁理士の知名度向上

広報のプロを招聘し、大胆な資金の投入を伴う広報戦略について検討します。
各支部の協力を仰ぎながら、中小企業、地方自治体、教育機関への普及活動、研修、学校教育用コンテンツの充実等を通して、弁理士の知名度の向上を図ります。農林水産関連事業への働きかけも継続します。

(4) 施策の実施に適した日本弁理士会の組織の改革

以上の施策を効率よく実現していくために日本弁理士会組織の改革を実施します。

① 委員会の適正化 

主として会長室で行う過去の諮問と答申の解析結果に基づき、委員数、委員会数及び諮問の適正化を図ります。委員会等の委員の選任にあたっては、過去5年間の委員として選任されたことがない会員を対象に会務参加を促す方策(会長推薦制度)を試験的に運用します。また、参加しやすい委員会のあり方(例えば、午前中や18 時以降の開催等)や、支部の会議室から本会の委員会への参加を可能にするテレビ会議システム等、会員にとって使い勝手の良いインターネット会議システムの拡充を検討します。

② 中長期的な課題の検討組織の設置と活用

複数年に亘って継続検討すべき中長期的課題に関する諮問の管理とその結果の活用を図る組織の設置に向けて、まずはWGを立ち上げます。
この組織を活用することで、将来を見据えた中長期に亘る調査研究に基づき、日本弁理士会が中長期に亘って取組むべき諸課題と会内各組織に向けて発する諮問等との長期的整合性を確保すると共に、有益な情報の発信を図ります。

③ 本会と支部との間及び各支部間の情報の共有化の促進

本会(役員会)と支部間の情報格差の是正を図ります。テレビ会議による役員会の開催が例規上問題がないことを確認した上で、本会の役員室と支部室を結んだテレビ会議を用いた役員会の開催を実施します。また、支部での臨時総会の開催等を検討します。

④ 支部の役割の充実

支部の役割を、実行可能な支部から段階的に充実させます。

(5) その他

① 弁理士法改正

過去の弁理士法改正時の議論を踏まえながら、現在の知財を巡る社会情勢の変化を考慮し、次の弁理士法改正に向けた検討を始めます。
また、弁理士法第1 条(弁理士の使命)と同法第56 条第2 項(日本弁理士会の目的)との整合性を確保するための改正も検討します。

② INPITの近畿統括拠点への協力

設立されるINPITの近畿統括拠点に対し、日本弁理士会として、近畿支部を通じて、可能な協力を提供します。

③ 東京オリンピック及びパラリンピックへの対応

東京オリンピック及びパラリンピックの開催に関連し、日本弁理士会が貢献できることを検討します。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会による広報・教育活動に、関東支部と連携して協力していきます。

④ 弁理士制度120周年記念事業の開催準備

2019年に弁理士制度120周年記念事業を行うための準備組織を立ち上げます。