うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

錦織圭がアンディ・マレーに完敗。だけど本当の戦いはこれからだ!!

2012年01月26日 | テニス
テニスの日本男子エースで世界ランキング26位の錦織圭(22)=フリー=は25日、メルボルンで行われた四大大会第1戦の全豪オープンのシングルス準々決勝で第4シードのアンディ・マリー(英国)に3-6、3-6、1-6で敗れ、1968年にプロ選手出場を解禁したオープン化以降の四大大会で日本男子選手として初めての4強入りはならなかった。
 錦織は日本の男子選手で、全豪で32年に4強入りした佐藤次郎以来80年ぶり、オープン化以降の四大大会で95年ウィンブルドン選手権の松岡修造以来2人目の8強入りを23日に果たした。

〔共同通信 2012年1月25日の記事より、写真はAP〕

2012年1月16日発表のATPランキング
2012年のATPツアーの全日程
ATPツアーの仕組み


                           *  *  *  *  *


続けることが本当に重要

四大大会で初めてベスト8に進出したATPランキングで世界26位の錦織圭は、全豪オープンの準々決勝で世界4位のアンディー・マレー(英国)と対戦。しかし、3-6、3-6、1-6のストレートで完敗を喫し、日本男子としては1932年大会の佐藤次郎以来となる全豪での準決勝進出はなりませんでした。

錦織は随所に見せ場を多く作るも、さすがに力量差は否めませんでした。マレーは四大大会の優勝こそ皆無ですが、1位ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、2位ラファエル・ナダル(スペイン)、3位ロジャー・フェデラー(スイス)とともに世界4強を形成しているだけに、やはり実力は伊達ではなかったです。しかも、ミスが非常に少なかったです。マレーは、ブレークポイントを何度も取られたり、ファーストサーブを数多く失敗しても、勝負所はしっかりと冷静に対処していたので、付け入る隙が殆ど無かったです。一方、錦織は各セット最初のサービスゲームをいずれもキープに失敗し、10回あったブレークチャンスは成功が僅かに2回(マレーは18回中7回成功)。第2&第3セットではブレークに成功するも、逆に直後のサービスゲームでは相手にブレークバックを許し、試合の流れを掴み損ねました。サーブの強化が課題ですね。また、サービスゲームをキープしても、デュースに持ち込まれる展開が多く、ポイントを取るのに一苦労でした。やはり、今大会の2回戦以降、長丁場の試合が多かったので、体力の消耗による影響でしょう。月並みな言い方になるけど、経験の差は大きかったですね。

四大大会でベスト4に進出するチャンスは中々巡って来ることはありませんし、昨年10月の上海マスターズに続いてまたもマレーに完敗を喰らったので、悔しさはあります。しかし、今の錦織に本当に必要なのは、単発に派手に活躍することよりも、平均的に成績を残せる地力をつけることです。つまり、年間を通してツアーを戦い抜くことです。なぜなら、現在の錦織は「トップ30」の選手だからです。この「トップ30」とは、前年度の最終のATPランキングで30位以内の選手のことを指します。男子プロテニス協会(ATP)が統括する上から4番目にランクされるカテゴリーの大会である「ATPワールドツアー250」以上の大会は、基本的に32名以上の選手で構成されてます。なので、トップ30の選手には、ツアーのどの大会でも予選を免除されて、自動的に本選から出場する権利(ダイレクトイン)が与えられます。四大大会だとシード選手として扱われて、強敵との早い段階での対戦を回避出来ます。ゴルフで例えるとシード権に相当するものです。

なぜ、このような措置があるのかというと、大会主催者は高額賞金を用意し、更にはTV中継やスポンサーも付いているので、トップ選手が参加して大会を盛り上げる必要があるからです。ただ、権利を与えられて他の選手よりも優遇される以上、トップ30の選手には当然義務を負います。それは18大会の出場義務を課せられることです。出場義務大会の内訳は、グランドスラムの4大会、「ATPワールドツアー・マスターズ1000」の全9大会のうちモンテカルロを除いた8大会、「ATP ワールドツアー500」を4大会、「ATPワールドツアー250」を2大会です。なお、年末のATPランキングの上位8選手には、ツアー最終戦の「ATPワールドツアー・ファイナル」への出場義務も加わります。義務である以上、怪我、病気、特別な理由が無い限り、大会を棄権すればペナルティーの対象となります。もちろん、大会に欠場すればポイントは得られません。なお、過去52週に出場した大会で獲得ポイントが高かった上位18大会の合計を算出したのが、ATPランキングとなります。

昨年までの錦織は「ATPワールドツアー250」の大会に多く参戦してポイントを稼ぎました。だが、トップ30の立場となった今年は出場する大会のグレードが高くなります。つまり、年間を通してポイントをたくさん稼げる反面、対戦相手のレベルも高くなります。今までランキングが低かった錦織は、過去に世界4強の選手との対戦回数は、ナダルが3回、ジョコビッチとマレーが各2回、フェデラーが1回だけですが、今後は対戦する機会が多くなり、巨大な壁となって立ちはだかるでしょう。ちなみに、ごく一握りのトップ選手を除くと、ツアーでは大体年間で20敗ぐらいは普通にします。選手も人間である以上、調子の波は必ずあります。今の錦織は好調ですが、不調に陥った時に、悪いなりに結果を残せるのかが今後問われます。もちろん、シード選手となる利点を活かして、ポイントをたくさん稼げる大きな大会にピークを合わせることも大切です。

テニスは年間を通して世界各地を転戦するので、心身ともに非常に過酷な競技です。代表選手に選出されると、通常のツアーの他に国別対抗戦のデビス杯も戦わなくてはなりません。デ杯は1回戦から決勝までフル参戦すると、合計で4週間も拘束されます。更に、今年は4年に1度の五輪があるので、通常の年に比べると非常に過密日程です。たしかに、トップ30の選手は優遇されるとはいえ、ランキングを上昇させるどころか、現在の序列を維持することも決して容易ではありません。だからこそ、一昨年まで負傷続きだった錦織は、過酷なツアーを戦い抜くだけの体力面での強化は必須です。四大大会で2週目にまで進んだのは、当時世界4位だったダビド・フェレール(スペイン)を倒して4回戦に進出した4年前の全米以来でした。今後待ち受ける長く険しい戦いを乗り越える為にも、今回の経験を成長の糧にしなくてはなりません。そして、我々ファンも、一過性で騒いだり、必要以上に一喜一憂することなく、長い目で見守って応援する姿勢こそが大切です。

次の目標は、来月2月10~12日に兵庫県三木市のブルボン・ビーンズドームで開催されるデ杯ワールドグループ1回戦の対クロアチア戦です。日本がデ杯のワールドグループを戦うのは、1985年以来27年ぶりです。もちろん錦織も参戦するので、まさに地元での“凱旋試合”となります。しかも、デ杯はワールドグループと入れ替え戦に関しては、デッドラバー(消化試合)でなければ、ATPランキングのポイントが発生します。ポイント自体はそれほど多くはないが、今回の全豪で主催者推薦ながらも1回戦を突破した世界117位の伊藤竜馬のような選手にとっては、喉から手が出るほど欲しいはずです。たしかに、下馬評では日本の不利だが、今の日本男子は錦織に引っ張られる形で全体的にレベルアップしているので、贔屓目に見てもクロアチアは決して勝てない相手ではないです。だからこそ、住まいがお近くの方は、是非とも会場に足を運んで、圧倒的なホームの雰囲気を作って盛り上げてもらいたいです。また、WOWOWでも完全生中継をします(→詳細はこちら)。今回の全豪のように多くの人が視聴して熱く応援してもらいたいです。

〔ATPランキングは2012年1月16日現在〕


・関連記事
錦織圭が日本人男子として80年ぶりに全豪オープンでベスト8進出
2012デビス杯ワールドグループ1回戦 日本の対戦相手はクロアチアに



☆大会10日目のハイライト

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ようやく男子が上昇気流に (こーじ)
2012-01-28 23:49:26
 これを契機に男子も上昇気流に乗せて欲しいですね。

 トップ選手は2週目にピークを合わせると言いますけど、錦織が2試合目から3時間越えの激戦続きでなければ もう少し違ったかもしれないなどと思ってました。

 やはり1週目から全力で戦っていればピークを合わせたトップ選手には勝てませんからね。

 そのためには地道にでもランキングを上げて行くのがベストですし、それを我慢強く見守ってやりたいですね。

 マスゴミは取りこぼしてランクが下がると大騒ぎするだけですから。
返信する
コメントありがとうございます (猫なべ)
2012-01-29 19:00:56
こんばんは、こーじさん

錦織はエンジンの掛かりが遅く、第1セットを落とす傾向が多いのが課題ですね。
試合のリズムを掴む為にも、最初のサービスゲームをキープするのは大切なので、サーブ力をもっと向上させるべきですね。

今の世界の男子は、ジョコビッチ、ナダル、フェデラー、マレーが飛びぬけて強く、「3横綱・1大関」の状況です。
この4人にはそう簡単には勝てないので、彼らと対戦する前に消耗する展開だけは避けたいところです。
優位な位置から参戦する為にも、地道にランキングを上げることが大切だと思います。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。