◆サッカー・第36回AFC U-19選手権(2010年10月11日 @中国・山東省淄博/リンジースタジアム)
・準々決勝
韓国 3(3-2)2 日本
得点者:韓国)31分 キム・ギョンジュン、44分 キム・ジンス、45分+2 チョン・スンヨン
日本)13分&30分 指宿洋史
※この試合に勝った韓国は2003年UAE大会以来、5大会連続12度目ののU-20W杯の出場権を獲得。
一方、日本は前回大会に続いて2大会連続でU-20W杯の出場権を逃す。
・準々決勝のその他の試合の結果 (2010年10月11日)
北朝鮮 2(0-0)0 中国
サウジアラビア 2(0-1)1(延) ウズベキスタン
豪州 4(1-1)2 (延) UAE
アジアサッカー連盟の今大会の関連ページ
日本サッカー協会の今大会の関連ページ
今大会のU-19日本代表(日本サッカー協会より)
〔写真は共同通信より〕
* * * * *
またも繰り返された悪夢
ハッキリ言って、今回の大会は暫くの間は思い出したくないです。もちろん、隣国への主権侵害と人権弾圧を国是とする厚顔無恥な独裁国家で開催されたことに対する怒りはあります。日本の対戦相手を一方的に声援を送る組織的かつ統率の取れた応援には辟易とさせられたし、プロの反日活動家をわざと泳がすような緩い警備ではセキュリティなんて無きに等しいですから。ただ、それ以上に今回のU-19代表の体たらくぶりには、体中の血液が逆流するほど凄まじい怒りを覚えましたね。結果はもちろんのこと、内容があまりにも無様でしたから。
日本は1次リーグを3戦全勝で折り返し、得点数も出場16チームでは最多です。ただし、これはあくまでも数字上の話であって、実際の内容はとても誉められたものではありませんでした。初戦の前回優勝国のUAE戦は過緊張からかパスミスを連発するなど調子が悪く、相手の信じられないミスで勝利を拾ったに過ぎませんでした。その後は、格下のベトナムとヨルダンに連勝して首位通過をして、なんとか事なきを得ます。
そして、最大の懸案だった準々決勝の相手は、1次リーグD組を2位で通過した韓国でした。体力を活かした典型的なマンツーマンディフェンスで、攻撃は背の高い前線の選手にロングボールを放り込み、そのこぼれ球を足の速い2列目の選手が飛び込む、非常にシンプルな戦法です。フィジカルで優位に立つアジアでは通用しても、世界では到底太刀打ちできない原始的なスタイルです。しかし、体格とフィジカルで劣る日本はこの手のタイプを伝統的に苦手にしてます。日本としては、2年前の2008年11月にサウジアラビアで開催された前回大会では、今回と同じく準々決勝で韓国と対戦し、0-3とスコア以上の惨敗を喫して世界への道が閉ざされた苦い経緯があります。前回と全く同じ状況だったので、この世代を2年間どのように強化したのか見ものでした。
しかし、今回も2年前と全く同じ光景が繰り広げられました。スコアは2-3ですが、実際の内容は、課題を克服するどころか、進歩の無さにかえって失望させられる惨過ぎるものでした。日本は前半の立ち上がりから韓国の鋭い出足にパスが繋がらずに前進を阻まれ、相手の背の高い2トップを目掛けたロングボール攻撃にタジタジになります。それでもなんとか耐え忍び、前半13分にはCKからのこぼれ球を指宿洋史が豪快に突き刺して、日本が待望の先制点をゲット。更に、前半30分には指宿の突破からPKを獲得し、それを自ら決めてリードを2点に広げます。
ところが、その直後に韓国のロングボール攻撃から失点を喰らいます。ここから一気に日本の守備陣がガタガタになり、前半終了間際にCKからこぼれ球を押し込まれて同点に。更には、その直後にまたもロングボール攻撃に対する拙い守備で相手にFKを与えます。そして、このFKを直接決められ、僅か16分間で3失点を奪われてしまい、あっけなく逆転を許しました。まさかの展開にショックを隠しきれなかった日本は、後半も激しく圧力を加え続ける韓国に対し、パスミスを連発してボールを中々持てない苦しい展開に。後半39分に、交代出場した永井龍が宇佐美貴史からのスルーパスに反転して抜け出し、決定的なシュートを放つがバーに直撃。結局、4分のロスタイムの間に追いつけず、2大会連続で韓国の軍門に降る屈辱を味わいました。
日本のユース世代の代表監督は「天下りポスト」なのか
あらためて思うのは、パワーやスピードや技術といった個人能力で勝てないのでは、いくら優れた戦術を導入してもただの画餅に過ぎません。つまり、日本は韓国に1対1の局面で完全に負けているのです。これは何十年も前から指摘されている課題なのでそう簡単には修正できませんが、それ以前に日本は韓国に対して戦う前から明らかに萎縮しているのが本当に情けないです。いくら「上手い選手」を育てても、相手のプレッシャーに簡単に当たり負けする球際に弱い選手は、実戦ではクソの役に立ちません。確かに、今回のピッチはデコボコで酷かったけど、アジアでの戦いではこれは当たり前です。反日ブーイングだって、日本の敵性国家で戦えば当然受けます。箱庭でしか戦えない心も体もひ弱な人間が真剣勝負で通用するはずがないです。
そして、私だけでなく、心あるサッカーファンの人なら以前から指摘してましたが、このチームの最大の癌は指導者なのです。たしかに、監督の布啓一郎は市立船橋高校では実績があるように、高校の部活動だとその指導力を発揮します。しかし、他所のクラブから選手を預かって、限られた時間でしか活動できない代表チームだと、本来の力を発揮しにくい傾向があります。6年前の2004年9月に静岡で開催されたAFC U-17選手権(現在の大会名称はAFC U-16選手権)では、開催国であるにも関わらず1次リーグで敗退する大失態を犯した過去があります。また、日本はロングポールやハイボールに対する弱さは、昨秋にナイジェリアで開催されたU-17W杯でも課題に挙げられてました。だが、全員170cm台のDFの選手を選出している時点で、今大会のおおよそ結果は見えてました。ましてや、今大会の組み合わせを見れば、この手のタイプとの対戦は事前に分かってました。つまり、無策だったということです。
更に、布以上に問題な人事なのが、前回大会のU-19代表の監督だった牧内辰也がコーチになっていることです。牧内は、一昨年の大会で不可解な采配と選手選考を行い、7大会連続で出場していたU-20W杯の出場を途絶えさせる重罪を犯したA級戦犯の人物です。なにせ、牧内は広島のユースの監督時代でもまともな実績を挙げたことがありません(→詳細はこちら)。ここ6年で世界大会の出場に失敗した監督は、この2人だけです。協会はこの2人に汚名返上の意味で再び起用したフシもありますが、かえって恥の上塗りとなる結果となりました。1度失敗した前科者を何のお咎めも無しに再び起用したからこそ、同じ過ちをまたも繰り返したのです。この2人の名前は当分の間は聞きたくないですし、協会の仕事には永久に関わらないでほしいです。
そして、失敗した責任を問わないどころか、総括せずにいつまでも放置させた協会の育成部門の責任者は万死に値する罪です。旧日本軍に匹敵するこの無責任体制を徹底的に検証し、膿を全て吐き出す必要があります。近年のユース世代の代表チームの不振は、指導力に不安のある人間を雇ったツケなのは明白です。ユース世代の選手は指導の仕方次第では十分に伸びる要素があるので、育成年代で国際的に実績のある指導者を雇うのが筋です。なので、ユース世代の指導者は実績のある外国人を長期的に雇うのが望ましいです。代表チームを預かる指導者に純血主義を拘る必要なんて一切ありません。現在のように、国際的な実績が無く指導力も不安視されている人間を2年契約で雇って、代表監督を「指導者の育成の場」としているやり方が異常なのです。無能な指導者に率いられた選手たちが馬鹿を見るだけです。
ロンドン五輪出場に限りなく赤に近い黄色信号が点灯
欧州や南米のような先進地域であれば、自国の育成システムで選手をしっかりと強化されてます。ましてや、本当に優れた選手は、この年代から既に欧州のクラブとプロ契約をしており、日頃から高いレベルに接してるので、たとえユース年代の大会で代表チームの成績が不振であっても、それほど悲観はしないと思います。しかし、日本の男子サッカーには「歴史、体格、地理」の3大ハンディがあるので、U-20W杯は貴重な真剣勝負の場であり、先進地域よりも遥かに重要な位置を占めております。選手個人も、この大会で同世代の強豪に揉まれることによって、自らの立ち位置が分かります。なので、2大会連続で世界大会の機会を逃すのは、将来を考慮しても極めて痛恨です。つまり、日本のこの世代は少なくとも6年間も世界の舞台から遠ざかることになります。
そして、今回の結果に深刻な影響を及ぼす可能性があるのが、ロンドン五輪を目指す現在のU-21代表でしょう。五輪の参加資格が23歳以下になったのは1992年のバルセロナ五輪からです。これまで5大会で延べ16チームがアジアから本大会に出場してます(北京五輪の中国は開催国として予選免除)。各五輪大会に該当する2回のU-20W杯に出場経験が無いチームで五輪予選を突破したことがあるのは、バルセロナ五輪のカタールとクウェート、シドニー五輪のクウェートの3チームだけです。日本は五輪に4大会連続出場を果たしてますが、過去の五輪はいずれもU-20W杯に出場経験がある世代で戦ってます。今回のようにU-20W杯に未経験で五輪予選に挑むのは、アジア最終予選で敗退したバルセロナ五輪以来20年ぶりです。
そして、ロンドン五輪予選の最終予選のシード順位決定方法はまだ未定ですが、もし前回の北京五輪予選の方式を踏襲した場合、前回の五輪大会の成績を参考とします。なので、日本は北京五輪では3戦全敗とアジアの4チーム中最下位だったので、上位3チームが勝ち上がった場合は自動的に第2シードとなります。つまり、第1シードとなる、韓国・豪州・中国のいずれかと必ず戦わなくてはなりません。ハッキリ言って、今の日本のユース世代は韓国に簡単に力負けするほどのレベルです。なので、最終予選で韓国と同組になったら、間違いなく不利です。体格が優れた豪州でも同様でしょう。日本としたら中国と同じ組になるのがベストです。つまり、今回のU-19代表と同様に、抽選の結果で運命が左右される危うい構図なのです。アジアの枠は3.5枠ですが、こんな体たらくだとプレーオフを勝ち抜くことも厳しいです。五輪代表の関塚隆監督は今頃頭を抱えているでしょう。
ユース年代がこれだけ無様だと、ロンドン五輪どころか、数年先のフル代表にまで波及することも十分に考えられます。今回の南アW杯では日韓ともにベスト16に入ったので、次回ブラジル大会のアジア枠の大幅削減は回避されると思います。おそらく、4年後のブラジル大会は本田圭佑や長友佑都など北京五輪代表組が主力となるので、それほど心配はしてません。しかし、ブラジル大会でアジア勢が不振の場合、ロンドン五輪代表が主力となる8年後の2018年大会はアジア予選突破すら危ぶまれると思います。協会の怠慢により「空白の世代」を作った罪は大きいです。ユース世代の抜本的な改革を迫られているのは、蹉跌をきたした今回の結果を見るまでも無く、もはや不可避な状況です。
☆見ているだけで怒りがこみ上げてくるこの試合のダイジェスト
・準々決勝
韓国 3(3-2)2 日本
得点者:韓国)31分 キム・ギョンジュン、44分 キム・ジンス、45分+2 チョン・スンヨン
日本)13分&30分 指宿洋史
※この試合に勝った韓国は2003年UAE大会以来、5大会連続12度目ののU-20W杯の出場権を獲得。
一方、日本は前回大会に続いて2大会連続でU-20W杯の出場権を逃す。
・準々決勝のその他の試合の結果 (2010年10月11日)
北朝鮮 2(0-0)0 中国
サウジアラビア 2(0-1)1(延) ウズベキスタン
豪州 4(1-1)2 (延) UAE
アジアサッカー連盟の今大会の関連ページ
日本サッカー協会の今大会の関連ページ
今大会のU-19日本代表(日本サッカー協会より)
〔写真は共同通信より〕
* * * * *
またも繰り返された悪夢
ハッキリ言って、今回の大会は暫くの間は思い出したくないです。もちろん、隣国への主権侵害と人権弾圧を国是とする厚顔無恥な独裁国家で開催されたことに対する怒りはあります。日本の対戦相手を一方的に声援を送る組織的かつ統率の取れた応援には辟易とさせられたし、プロの反日活動家をわざと泳がすような緩い警備ではセキュリティなんて無きに等しいですから。ただ、それ以上に今回のU-19代表の体たらくぶりには、体中の血液が逆流するほど凄まじい怒りを覚えましたね。結果はもちろんのこと、内容があまりにも無様でしたから。
日本は1次リーグを3戦全勝で折り返し、得点数も出場16チームでは最多です。ただし、これはあくまでも数字上の話であって、実際の内容はとても誉められたものではありませんでした。初戦の前回優勝国のUAE戦は過緊張からかパスミスを連発するなど調子が悪く、相手の信じられないミスで勝利を拾ったに過ぎませんでした。その後は、格下のベトナムとヨルダンに連勝して首位通過をして、なんとか事なきを得ます。
そして、最大の懸案だった準々決勝の相手は、1次リーグD組を2位で通過した韓国でした。体力を活かした典型的なマンツーマンディフェンスで、攻撃は背の高い前線の選手にロングボールを放り込み、そのこぼれ球を足の速い2列目の選手が飛び込む、非常にシンプルな戦法です。フィジカルで優位に立つアジアでは通用しても、世界では到底太刀打ちできない原始的なスタイルです。しかし、体格とフィジカルで劣る日本はこの手のタイプを伝統的に苦手にしてます。日本としては、2年前の2008年11月にサウジアラビアで開催された前回大会では、今回と同じく準々決勝で韓国と対戦し、0-3とスコア以上の惨敗を喫して世界への道が閉ざされた苦い経緯があります。前回と全く同じ状況だったので、この世代を2年間どのように強化したのか見ものでした。
しかし、今回も2年前と全く同じ光景が繰り広げられました。スコアは2-3ですが、実際の内容は、課題を克服するどころか、進歩の無さにかえって失望させられる惨過ぎるものでした。日本は前半の立ち上がりから韓国の鋭い出足にパスが繋がらずに前進を阻まれ、相手の背の高い2トップを目掛けたロングボール攻撃にタジタジになります。それでもなんとか耐え忍び、前半13分にはCKからのこぼれ球を指宿洋史が豪快に突き刺して、日本が待望の先制点をゲット。更に、前半30分には指宿の突破からPKを獲得し、それを自ら決めてリードを2点に広げます。
ところが、その直後に韓国のロングボール攻撃から失点を喰らいます。ここから一気に日本の守備陣がガタガタになり、前半終了間際にCKからこぼれ球を押し込まれて同点に。更には、その直後にまたもロングボール攻撃に対する拙い守備で相手にFKを与えます。そして、このFKを直接決められ、僅か16分間で3失点を奪われてしまい、あっけなく逆転を許しました。まさかの展開にショックを隠しきれなかった日本は、後半も激しく圧力を加え続ける韓国に対し、パスミスを連発してボールを中々持てない苦しい展開に。後半39分に、交代出場した永井龍が宇佐美貴史からのスルーパスに反転して抜け出し、決定的なシュートを放つがバーに直撃。結局、4分のロスタイムの間に追いつけず、2大会連続で韓国の軍門に降る屈辱を味わいました。
日本のユース世代の代表監督は「天下りポスト」なのか
あらためて思うのは、パワーやスピードや技術といった個人能力で勝てないのでは、いくら優れた戦術を導入してもただの画餅に過ぎません。つまり、日本は韓国に1対1の局面で完全に負けているのです。これは何十年も前から指摘されている課題なのでそう簡単には修正できませんが、それ以前に日本は韓国に対して戦う前から明らかに萎縮しているのが本当に情けないです。いくら「上手い選手」を育てても、相手のプレッシャーに簡単に当たり負けする球際に弱い選手は、実戦ではクソの役に立ちません。確かに、今回のピッチはデコボコで酷かったけど、アジアでの戦いではこれは当たり前です。反日ブーイングだって、日本の敵性国家で戦えば当然受けます。箱庭でしか戦えない心も体もひ弱な人間が真剣勝負で通用するはずがないです。
そして、私だけでなく、心あるサッカーファンの人なら以前から指摘してましたが、このチームの最大の癌は指導者なのです。たしかに、監督の布啓一郎は市立船橋高校では実績があるように、高校の部活動だとその指導力を発揮します。しかし、他所のクラブから選手を預かって、限られた時間でしか活動できない代表チームだと、本来の力を発揮しにくい傾向があります。6年前の2004年9月に静岡で開催されたAFC U-17選手権(現在の大会名称はAFC U-16選手権)では、開催国であるにも関わらず1次リーグで敗退する大失態を犯した過去があります。また、日本はロングポールやハイボールに対する弱さは、昨秋にナイジェリアで開催されたU-17W杯でも課題に挙げられてました。だが、全員170cm台のDFの選手を選出している時点で、今大会のおおよそ結果は見えてました。ましてや、今大会の組み合わせを見れば、この手のタイプとの対戦は事前に分かってました。つまり、無策だったということです。
更に、布以上に問題な人事なのが、前回大会のU-19代表の監督だった牧内辰也がコーチになっていることです。牧内は、一昨年の大会で不可解な采配と選手選考を行い、7大会連続で出場していたU-20W杯の出場を途絶えさせる重罪を犯したA級戦犯の人物です。なにせ、牧内は広島のユースの監督時代でもまともな実績を挙げたことがありません(→詳細はこちら)。ここ6年で世界大会の出場に失敗した監督は、この2人だけです。協会はこの2人に汚名返上の意味で再び起用したフシもありますが、かえって恥の上塗りとなる結果となりました。1度失敗した前科者を何のお咎めも無しに再び起用したからこそ、同じ過ちをまたも繰り返したのです。この2人の名前は当分の間は聞きたくないですし、協会の仕事には永久に関わらないでほしいです。
そして、失敗した責任を問わないどころか、総括せずにいつまでも放置させた協会の育成部門の責任者は万死に値する罪です。旧日本軍に匹敵するこの無責任体制を徹底的に検証し、膿を全て吐き出す必要があります。近年のユース世代の代表チームの不振は、指導力に不安のある人間を雇ったツケなのは明白です。ユース世代の選手は指導の仕方次第では十分に伸びる要素があるので、育成年代で国際的に実績のある指導者を雇うのが筋です。なので、ユース世代の指導者は実績のある外国人を長期的に雇うのが望ましいです。代表チームを預かる指導者に純血主義を拘る必要なんて一切ありません。現在のように、国際的な実績が無く指導力も不安視されている人間を2年契約で雇って、代表監督を「指導者の育成の場」としているやり方が異常なのです。無能な指導者に率いられた選手たちが馬鹿を見るだけです。
ロンドン五輪出場に限りなく赤に近い黄色信号が点灯
欧州や南米のような先進地域であれば、自国の育成システムで選手をしっかりと強化されてます。ましてや、本当に優れた選手は、この年代から既に欧州のクラブとプロ契約をしており、日頃から高いレベルに接してるので、たとえユース年代の大会で代表チームの成績が不振であっても、それほど悲観はしないと思います。しかし、日本の男子サッカーには「歴史、体格、地理」の3大ハンディがあるので、U-20W杯は貴重な真剣勝負の場であり、先進地域よりも遥かに重要な位置を占めております。選手個人も、この大会で同世代の強豪に揉まれることによって、自らの立ち位置が分かります。なので、2大会連続で世界大会の機会を逃すのは、将来を考慮しても極めて痛恨です。つまり、日本のこの世代は少なくとも6年間も世界の舞台から遠ざかることになります。
そして、今回の結果に深刻な影響を及ぼす可能性があるのが、ロンドン五輪を目指す現在のU-21代表でしょう。五輪の参加資格が23歳以下になったのは1992年のバルセロナ五輪からです。これまで5大会で延べ16チームがアジアから本大会に出場してます(北京五輪の中国は開催国として予選免除)。各五輪大会に該当する2回のU-20W杯に出場経験が無いチームで五輪予選を突破したことがあるのは、バルセロナ五輪のカタールとクウェート、シドニー五輪のクウェートの3チームだけです。日本は五輪に4大会連続出場を果たしてますが、過去の五輪はいずれもU-20W杯に出場経験がある世代で戦ってます。今回のようにU-20W杯に未経験で五輪予選に挑むのは、アジア最終予選で敗退したバルセロナ五輪以来20年ぶりです。
そして、ロンドン五輪予選の最終予選のシード順位決定方法はまだ未定ですが、もし前回の北京五輪予選の方式を踏襲した場合、前回の五輪大会の成績を参考とします。なので、日本は北京五輪では3戦全敗とアジアの4チーム中最下位だったので、上位3チームが勝ち上がった場合は自動的に第2シードとなります。つまり、第1シードとなる、韓国・豪州・中国のいずれかと必ず戦わなくてはなりません。ハッキリ言って、今の日本のユース世代は韓国に簡単に力負けするほどのレベルです。なので、最終予選で韓国と同組になったら、間違いなく不利です。体格が優れた豪州でも同様でしょう。日本としたら中国と同じ組になるのがベストです。つまり、今回のU-19代表と同様に、抽選の結果で運命が左右される危うい構図なのです。アジアの枠は3.5枠ですが、こんな体たらくだとプレーオフを勝ち抜くことも厳しいです。五輪代表の関塚隆監督は今頃頭を抱えているでしょう。
ユース年代がこれだけ無様だと、ロンドン五輪どころか、数年先のフル代表にまで波及することも十分に考えられます。今回の南アW杯では日韓ともにベスト16に入ったので、次回ブラジル大会のアジア枠の大幅削減は回避されると思います。おそらく、4年後のブラジル大会は本田圭佑や長友佑都など北京五輪代表組が主力となるので、それほど心配はしてません。しかし、ブラジル大会でアジア勢が不振の場合、ロンドン五輪代表が主力となる8年後の2018年大会はアジア予選突破すら危ぶまれると思います。協会の怠慢により「空白の世代」を作った罪は大きいです。ユース世代の抜本的な改革を迫られているのは、蹉跌をきたした今回の結果を見るまでも無く、もはや不可避な状況です。
☆見ているだけで怒りがこみ上げてくるこの試合のダイジェスト
アジア予選の時の監督は清雲栄純氏でしたけど、選手をコントロールできずに1試合に必ず2失点していたのを覚えてます。
ところがトルシエが監督になって指導すると
初戦のカメルーンには逆転負けしたものの、アメリカやイングランドに勝つなど徐々にレベルアップしていきました。
これを見て監督でここまで違うのかと思いましたが、今回のチームの最大のウィークポイントが監督だったわけですね。
確かに布氏は市船橋の黄金時代を築きましたが、しっかり守って森崎や北島などの優秀なストライカーで点を取って勝つというイタリアみたいなスタイルだと思ってたので、代表で通用できるのかとは思ってました。
‘プラチナ世代’などとマスゴミは煽り立ててくれますが、正直言ってJリーグの日程優先など
でベストメンバーが組めなければ必ずベストメンバーで高いモチベーションで来る韓国などには勝てないでしょう。
そういえば一時期‘パスをつながず体力勝負で勝ちに拘る国見はけしからん’という国見
バッシングがありましたが勝利への執念は彼らが一番あったかもしれません。
やはり巧いだけの選手ではダメなのはジーコ
ジャパンで証明されているのですけどね。
この失敗が生かされればいいのですが、強化の致命的な遅れにならない事を祈りたいですね。
貼り付けた動画をご覧になると分かりますが、布氏は試合後のインタビューでこんな発言をしてます。
「日本はもっとテクニックを付けて、プレッシャーの中でも正確にやれるようにすること」
この発言を聞いた時は心底呆れましたね。
チームの問題点が分かっているなら、それを克服する為の選手選考や
戦術を採用するのが指導者の本分のはずです。
自分の無策を棚に上げて選手のせいにする、無責任極まりないコメントを発する布氏にとても失望しました。
まるで、ジーコが4年前にドイツの惨敗の要因を聞かれた時のインタビューで
「日本人には身長もフィジカルも足りない」といった発言を彷彿とさせられました。
布氏は、所詮は高校の部活動が限界の、井の中の蛙の指導者なのかもしれませんね。
失敗した人が二度と復帰できない社会はよくないですが、一度失敗した指導者が元の地位に戻るには、
クラブにおいてそれなりに説得力のある実績を残す必要があるはずです。
しかし、布氏は所詮は協会に雇われた職員にすぎず、いわばアマチュアの指導者です。
ましてや、全く実績が無い牧内氏に至っては、小野剛氏の縁故採用だと言われてます。
今回の無様な結果は、長年放置していた無責任体制が招いたツケだと思います。
協会は2022年のW杯招致にご執心ですが、ユース年代の育成がこんな有様だと、
仮に招致に成功したとしても、本番では大恥をかくと思いますね。