捻じ曲げた解釈を押し通す「いじめ防止法」無視のダメ教師たち
2018年7月31日 2時14分
まぐまぐニュース
教育の現場で頻発する「いじめ」を見つめ続けてきた無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』。今回の記事では、いじめに関する問題意識が教育現場に根付いてきつつある一方で、未だにいじめの事実すら認めないケースを批判。セクハラもパワハラもいじめも根は同じ、された側がそう捉えたのなら、被害として認めないといけないと説いています
「児童等の尊厳を保持するため」の法律
今年6月で、いじめ防止対策推進法(いじめ防止法)が制定されてから5年になり、学校現場も変わってきました。いじめを見逃してはいけないという意識が、学校現場に根付きつつあります。しかし、中には、「喧嘩だ」「仲たがいだ」などと言って、いじめを認めようとしない教師もまだいるようです。
6月29日、文部科学省で開催された「いじめ対策協議会」を傍聴しました。会議中に、文部科学省が、総務省から、今年3月、「法律のいじめの定義を限定解釈しないように周知徹底すること」「法律等に基づく措置を確実・適切に講ずることを周知徹底すること」など、いじめ防止対策推進法を守るようにとの「勧告」をされていたことが報告されました。
法律で「いじめ」の定義は明確に定められているのですが、文科省が発表する、児童生徒1,000人当たりの「いじめ認知件数」は、都道府県間で約19倍と大きな差があります。
総務省はこのような状況を問題視し、各地の教育委員会等が設置した第三者委員会の調査報告書67通を分析して、教師がいじめ認知の際、継続性、一方的、集団性など法律のいじめの定義とは別の要素を判断基準としていたり、「この程度は悪ふざけやじゃれ合いで問題ない」、「本人が『大丈夫』」と言ったからいじめではない」などと、いじめ防止対策推進法のいじめの定義を限定解釈しているケースが多数あったことから、文科省に前述の勧告がなされたのです。
「いじめ対策協議会」では、総務省からの「勧告」をふまえての文科省の対応が紹介されました。対応としては、生徒指導担当者の会議等で「勧告」内容を周知徹底すること、全国の教育委員会に勧告を踏まえた「通知」を3月26日に発したこと、「通知」の内容は、いじめの認知件数がゼロであった場合には、そのことを児童生徒や保護者に公表し、認知漏れがないか確認すること、いじめの認知件数に学校間で大きな差がある場合には、その原因を分析し、いじめ認知への消極姿勢や認知漏れがないか確認すること、いじめの認知にあたっては、加害行為の「継続性」「集団性」等の要素により、法律のいじめ定義を限定的に解釈しないこと、全ての教職員に資料を配布するなどして、いじめの正確な認知に関し共通理解を図るなど周知徹底すること、本年5月末時点において、全ての学校で取組みがなされたか確認すること等であると紹介されました。
総務省が勧告したことは意外でしたが、今回の文科省からの通知で、今年秋に発表される昨年度のいじめ認知件数に変化があるのか、注目していきたいと思います。
いじめ防止対策推進法では、いじめられた児童生徒が、「いじめだ」と苦痛を感じていれば「いじめ」なのです。(同法第2条)。それを限定的に解釈する原因としては、一つには法律を読んでいない教師がいるという現実があります。
総務省の調査でも平成18年以前のいじめの定義で判断していた例が分かっています。
文科省の「いじめ対策協議会」の委員からも、「生徒指導の教員を集めての研修会で、いじめ禁止は何条に規定されているかと聞いても誰も答えられない。約80人が参加していたが、いじめ防止法を読んでいる先生はほとんどいなかった」との指摘がありました。
また、故意にねじ曲げて、独自の解釈を押し通す教師もかなりいます。総務省の調査でも、数名から下着を下げられてひどく傷ついたという事案で、「単発行為で継続性がないのでいじめと認めなかった」というケースがあったことが報告されています。要するに「いじめと認めると面倒くさい」ということなのでしょう。同省の調査では、「子供のトラブルで、すぐに解消した事案を認知すると相当な数となる」等の理由で、「継続性」「集団性」「一方的」などの要素で限定解釈した事案が24%もありました。
学校だけではなく、いじめ調査の第三者委員会においても、法律のいじめの定義を限定解釈した事例が相次いでいます。東京都葛飾区では、2014年4月、中3男子が自殺しました。その日、顧問の教師が不在の部活中に、その中3男子生徒は身体が動かなくなってしまいました。他の部員たちは、その動けない生徒に、「霧吹きで水をかける」、「ピンポン球をぶつける」、「ジャージのズボンを下ろそうとする」などし、中3男子は直後に学校を出て自殺しました。
本年3月、第三者委員会は、「これらの一連の行為は、生徒たちの間でふざけている行為として、日常許されているとの共通認識があった」、「法律の定義を用いて形式的に評価すべきではない」として、いじめとは評価できないとしました。
この結論に、区役所には抗議の電話が相次ぎ、文部科学省も、葛飾区に対して、「行政はいじめ防止法の定義で判断すべきだ」と指摘しました。6月、葛飾区長は、第三者委員会の結論をくつがえし、「一連の行為はいじめに該当する」、「生徒たちの一連の行為が自殺への衝動に影響を与えた可能性は否定できない」との区の見解を発表しました。
いじめ防止対策推進法は、第1条に同法の目的として、「いじめが、被害児童等の教育を受ける権利を侵害したり、生命身体にも重大な危険を生じさせること等にかんがみ、児童等の尊厳を保持するため、いじめ防止等のための対策を、総合的、効果的に推進することを目的とする」旨定めています。つまり、いじめ被害児童生徒を救済するのが目的なのです。先生方には、徹底して「被害者を守るという姿勢」から逃げることのないようにお願いしたいものです。
いじめかなと思ったら、ためらわずにご連絡ください。解決に向けて、お役に立てれば幸いです。
いじめから子供を守ろう ネットワーク
2018年7月31日 2時14分
まぐまぐニュース
教育の現場で頻発する「いじめ」を見つめ続けてきた無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』。今回の記事では、いじめに関する問題意識が教育現場に根付いてきつつある一方で、未だにいじめの事実すら認めないケースを批判。セクハラもパワハラもいじめも根は同じ、された側がそう捉えたのなら、被害として認めないといけないと説いています
「児童等の尊厳を保持するため」の法律
今年6月で、いじめ防止対策推進法(いじめ防止法)が制定されてから5年になり、学校現場も変わってきました。いじめを見逃してはいけないという意識が、学校現場に根付きつつあります。しかし、中には、「喧嘩だ」「仲たがいだ」などと言って、いじめを認めようとしない教師もまだいるようです。
6月29日、文部科学省で開催された「いじめ対策協議会」を傍聴しました。会議中に、文部科学省が、総務省から、今年3月、「法律のいじめの定義を限定解釈しないように周知徹底すること」「法律等に基づく措置を確実・適切に講ずることを周知徹底すること」など、いじめ防止対策推進法を守るようにとの「勧告」をされていたことが報告されました。
法律で「いじめ」の定義は明確に定められているのですが、文科省が発表する、児童生徒1,000人当たりの「いじめ認知件数」は、都道府県間で約19倍と大きな差があります。
総務省はこのような状況を問題視し、各地の教育委員会等が設置した第三者委員会の調査報告書67通を分析して、教師がいじめ認知の際、継続性、一方的、集団性など法律のいじめの定義とは別の要素を判断基準としていたり、「この程度は悪ふざけやじゃれ合いで問題ない」、「本人が『大丈夫』」と言ったからいじめではない」などと、いじめ防止対策推進法のいじめの定義を限定解釈しているケースが多数あったことから、文科省に前述の勧告がなされたのです。
「いじめ対策協議会」では、総務省からの「勧告」をふまえての文科省の対応が紹介されました。対応としては、生徒指導担当者の会議等で「勧告」内容を周知徹底すること、全国の教育委員会に勧告を踏まえた「通知」を3月26日に発したこと、「通知」の内容は、いじめの認知件数がゼロであった場合には、そのことを児童生徒や保護者に公表し、認知漏れがないか確認すること、いじめの認知件数に学校間で大きな差がある場合には、その原因を分析し、いじめ認知への消極姿勢や認知漏れがないか確認すること、いじめの認知にあたっては、加害行為の「継続性」「集団性」等の要素により、法律のいじめ定義を限定的に解釈しないこと、全ての教職員に資料を配布するなどして、いじめの正確な認知に関し共通理解を図るなど周知徹底すること、本年5月末時点において、全ての学校で取組みがなされたか確認すること等であると紹介されました。
総務省が勧告したことは意外でしたが、今回の文科省からの通知で、今年秋に発表される昨年度のいじめ認知件数に変化があるのか、注目していきたいと思います。
いじめ防止対策推進法では、いじめられた児童生徒が、「いじめだ」と苦痛を感じていれば「いじめ」なのです。(同法第2条)。それを限定的に解釈する原因としては、一つには法律を読んでいない教師がいるという現実があります。
総務省の調査でも平成18年以前のいじめの定義で判断していた例が分かっています。
文科省の「いじめ対策協議会」の委員からも、「生徒指導の教員を集めての研修会で、いじめ禁止は何条に規定されているかと聞いても誰も答えられない。約80人が参加していたが、いじめ防止法を読んでいる先生はほとんどいなかった」との指摘がありました。
また、故意にねじ曲げて、独自の解釈を押し通す教師もかなりいます。総務省の調査でも、数名から下着を下げられてひどく傷ついたという事案で、「単発行為で継続性がないのでいじめと認めなかった」というケースがあったことが報告されています。要するに「いじめと認めると面倒くさい」ということなのでしょう。同省の調査では、「子供のトラブルで、すぐに解消した事案を認知すると相当な数となる」等の理由で、「継続性」「集団性」「一方的」などの要素で限定解釈した事案が24%もありました。
学校だけではなく、いじめ調査の第三者委員会においても、法律のいじめの定義を限定解釈した事例が相次いでいます。東京都葛飾区では、2014年4月、中3男子が自殺しました。その日、顧問の教師が不在の部活中に、その中3男子生徒は身体が動かなくなってしまいました。他の部員たちは、その動けない生徒に、「霧吹きで水をかける」、「ピンポン球をぶつける」、「ジャージのズボンを下ろそうとする」などし、中3男子は直後に学校を出て自殺しました。
本年3月、第三者委員会は、「これらの一連の行為は、生徒たちの間でふざけている行為として、日常許されているとの共通認識があった」、「法律の定義を用いて形式的に評価すべきではない」として、いじめとは評価できないとしました。
この結論に、区役所には抗議の電話が相次ぎ、文部科学省も、葛飾区に対して、「行政はいじめ防止法の定義で判断すべきだ」と指摘しました。6月、葛飾区長は、第三者委員会の結論をくつがえし、「一連の行為はいじめに該当する」、「生徒たちの一連の行為が自殺への衝動に影響を与えた可能性は否定できない」との区の見解を発表しました。
いじめ防止対策推進法は、第1条に同法の目的として、「いじめが、被害児童等の教育を受ける権利を侵害したり、生命身体にも重大な危険を生じさせること等にかんがみ、児童等の尊厳を保持するため、いじめ防止等のための対策を、総合的、効果的に推進することを目的とする」旨定めています。つまり、いじめ被害児童生徒を救済するのが目的なのです。先生方には、徹底して「被害者を守るという姿勢」から逃げることのないようにお願いしたいものです。
いじめかなと思ったら、ためらわずにご連絡ください。解決に向けて、お役に立てれば幸いです。
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