入居者の病死で“事故物件サイト”に乗せられ大迷惑…アパート大家の嘆き
2018年9月15日 15時55分
日刊SPA!
インターネットが身近となった現代では、自分の住んでいる物件が“事故物件”(過去に居住者が何らかの理由で死去している物件)なのか簡単に調べることができる。
情報の信憑性は定かではないが、数多くのまとめ記事やサイトが存在している。引っ越しの際などに住所を検索し、自殺や事件などが起きた“いわくつきの物件”であるか調べる人も多いだろう。
しかし、アパートやビルを管理する「大家」側からすると事故物件サイトは迷惑千万であるという。都内の中古アパートオーナーである瀬川学さん(52歳・仮名)が、こうした事故物件サイトについて「たまったもんじゃないですよ」と憤る。
◆居住者の病死で“事故物件”扱いに…
「私がアパートを管理するようになったのは、父親から2007年頃にアパートを引き継いでからになりますからもう10年ほど経ちます。管理を始めて2年経った冬頃に、ある部屋の居住者が病気で亡くなられていました。その際には警察を呼んで特殊清掃業者を派遣したり、もうてんてこ舞いでしたよ」
瀬川さんのアパートでは、過去に居住者が病死していた部屋があった。特殊清掃業者を派遣し、今では居住に問題ない状態だという。後処理もスムーズに終わり、新たな居住者も見つかった。だが、その居住者が2年程で退去してからというもの、その部屋に新たな入居希望者が現れることはなかったのだ。
「ウチは中古ながらも立地は駅近で、近くにコンビニや商業施設もあるんです。なので、入居希望者は少なくないんですがその“病死”が発見された屋号だけは入居者が決まらないんです。おかしいなーと思っていたら、アパートの管理会社の人間から電話がかかってきまして、『○○室が事故物件サイトに掲載されています』と連絡が入ったんです」
瀬川さんが聞かされたサイトを確認すると、自殺や事件ではなかったにも関わらず、管理しているアパートに事故物件の目印となるマークが付けられていたのだった……。
◆「家賃を下げないと、入居者が付かないかもしれません」
ネットに所有アパートが事故物件として掲載されているという事実を確認した瀬川さんは途方に暮れた。
「たまったもんじゃないですよ、ウチが事故物件だなんて。だれの情報なのかわかりませんが、あの部屋で起きたのは殺人事件や自殺等ではなく病死です。病死なんて、どこにでもあるでしょう。管理会社の人間からは、他よりも貸し賃を下げないと入居希望者が現れないかもしれないと言われました。こんなことがあっていいんでしょうか……」
瀬川さんは即刻、サイト側に異議申し立てと掲載情報の削除申請を行ったが、いまだに音沙汰はないという。サイトには、「誤った情報以外削除はしない」と明記されていた。
「どうにかサイトの主と連絡をとろうにも、なんのレスポンスもないんです。しかもそのサイトは、事故物件であるという書き込みを誰でも投稿ができるシステムらしいんです。そんなネットの匿名掲示板のようなサイトのせいで、こんなにも被害を受けなきゃならないなんて悔しくてたまりません」
今でも、その部屋に入居者はいない--。
たしかに、部屋で人が死んでしまったことは事実だ。しかし、単独世帯が増えていると言われる昨今、高齢者の孤独死や人知れず自室で病死してしまうケースも増えていくはずだ。そんな中、一度でも“事故物件”という情報が拡散されてしまえば、そのイメージを払拭することは難しいのかもしれない。とはいえ、瀬川さんは今後もサイト側への削除申請を続けていく所存だという。
ネットやテレビ番組でも事故物件が注目を集めるようになって久しいが、その裏には大家側の悩みもあるということだ。
2018年9月15日 15時55分
日刊SPA!
インターネットが身近となった現代では、自分の住んでいる物件が“事故物件”(過去に居住者が何らかの理由で死去している物件)なのか簡単に調べることができる。
情報の信憑性は定かではないが、数多くのまとめ記事やサイトが存在している。引っ越しの際などに住所を検索し、自殺や事件などが起きた“いわくつきの物件”であるか調べる人も多いだろう。
しかし、アパートやビルを管理する「大家」側からすると事故物件サイトは迷惑千万であるという。都内の中古アパートオーナーである瀬川学さん(52歳・仮名)が、こうした事故物件サイトについて「たまったもんじゃないですよ」と憤る。
◆居住者の病死で“事故物件”扱いに…
「私がアパートを管理するようになったのは、父親から2007年頃にアパートを引き継いでからになりますからもう10年ほど経ちます。管理を始めて2年経った冬頃に、ある部屋の居住者が病気で亡くなられていました。その際には警察を呼んで特殊清掃業者を派遣したり、もうてんてこ舞いでしたよ」
瀬川さんのアパートでは、過去に居住者が病死していた部屋があった。特殊清掃業者を派遣し、今では居住に問題ない状態だという。後処理もスムーズに終わり、新たな居住者も見つかった。だが、その居住者が2年程で退去してからというもの、その部屋に新たな入居希望者が現れることはなかったのだ。
「ウチは中古ながらも立地は駅近で、近くにコンビニや商業施設もあるんです。なので、入居希望者は少なくないんですがその“病死”が発見された屋号だけは入居者が決まらないんです。おかしいなーと思っていたら、アパートの管理会社の人間から電話がかかってきまして、『○○室が事故物件サイトに掲載されています』と連絡が入ったんです」
瀬川さんが聞かされたサイトを確認すると、自殺や事件ではなかったにも関わらず、管理しているアパートに事故物件の目印となるマークが付けられていたのだった……。
◆「家賃を下げないと、入居者が付かないかもしれません」
ネットに所有アパートが事故物件として掲載されているという事実を確認した瀬川さんは途方に暮れた。
「たまったもんじゃないですよ、ウチが事故物件だなんて。だれの情報なのかわかりませんが、あの部屋で起きたのは殺人事件や自殺等ではなく病死です。病死なんて、どこにでもあるでしょう。管理会社の人間からは、他よりも貸し賃を下げないと入居希望者が現れないかもしれないと言われました。こんなことがあっていいんでしょうか……」
瀬川さんは即刻、サイト側に異議申し立てと掲載情報の削除申請を行ったが、いまだに音沙汰はないという。サイトには、「誤った情報以外削除はしない」と明記されていた。
「どうにかサイトの主と連絡をとろうにも、なんのレスポンスもないんです。しかもそのサイトは、事故物件であるという書き込みを誰でも投稿ができるシステムらしいんです。そんなネットの匿名掲示板のようなサイトのせいで、こんなにも被害を受けなきゃならないなんて悔しくてたまりません」
今でも、その部屋に入居者はいない--。
たしかに、部屋で人が死んでしまったことは事実だ。しかし、単独世帯が増えていると言われる昨今、高齢者の孤独死や人知れず自室で病死してしまうケースも増えていくはずだ。そんな中、一度でも“事故物件”という情報が拡散されてしまえば、そのイメージを払拭することは難しいのかもしれない。とはいえ、瀬川さんは今後もサイト側への削除申請を続けていく所存だという。
ネットやテレビ番組でも事故物件が注目を集めるようになって久しいが、その裏には大家側の悩みもあるということだ。