続き。
「PSYCHO-PASS Virtue and Vice 」1 は4年くらい前に配信で見ました。
拡樹くんのファンになったばかりの頃で、円盤とか配信とか見ていく中で、
じゃ次はこれを見てみようかな~、なんかカッコ良さげだしアニメ原作だったっけ?くらいの軽い気持ちで
今考えるとコワイわ
近未来の刑事ものなんだ~、なんかダークでハードな世界観だな~。
笑えるところもあるけど、どんどんシリアスで不穏な展開になっていくな~
テロリスト集団との総力戦に、九泉の過去と葛藤が絡んでいって、
最後の衝撃の結末
しばらくは立ち直れませんでした二人とも死んだと思ったんですよね
舞台「PSYCHO-PASS Virtue and Vice 」シリーズ1~3のネタバレしてます。
このシリーズはどの作品も後を引くなと思います。
観終わってからずっと頭の中から離れなくて、ぐるぐる考え続けてしまいます。
人々の精神が数値化され管理される社会で、職業適性もシビュラシステムによって振り分けられて自由に選べず、
犯罪係数が測定されて一定値を超えると潜在犯として逮捕される社会。
その中で人間らしさとは、自由とは、正義とは、人を殺すということとは、と見る側に投げかけてくる問いかけ。
見ててキツイけれど一度見たら、止められなくなります。中毒性があるというか
今回の3係の執行官には元軍人がいて、イリュージオの歌を聴いて彼もまた精神的不調に陥ります。
軍人時代に敵を殺した時のことを思い出したんですよね。
軍人が戦場で敵を殺すことは職務だから、殺人罪に問われることはありません。むしろ褒められる。
それでも相手が人間で、人を殺したことに変わりはない。
遠隔攻撃で相手が見えなかったら悩まないかもしれませんが、目の前にいる人間を斃したら動揺し葛藤するのが普通でしょう。
そんなに簡単に割り切れない。というか簡単に納得できる状況や人間の方がむしろ怖い。
だから第2次大戦の日本兵にも、ベトナムやアフガンに行った米兵にもPTSDで苦しむ人たちが沢山いたんでしょう。
殺してはいけない人間と、殺していい人間を線引きする。
シビュラシステムが?
でもそれは本当に正しいのか?
1で九泉は度々母親の夢を見て苦しみます。「では晴人、潜在犯は人間じゃないの?」と尋ねてくる母親。
実際には職務として処分したのではなく、九泉の中の正義が暴走して母親を殺しているので、
母親を殺したことを後悔していることの現れでしょうし、人間のあいだに線を引いてはいけないと考えてることの証では。
シビュラによって記憶を変えられていたとしても
そして嘉納を処分したことも同様。
シビュラ的に考えれば、母親を殺したのは誤りで、嘉納を処分したのは間違ってないということになるんですが。
どの時点で全てを思い出したのかはっきりわかりませんが、自分に対して「俺はクズだった」と言い、
最悪の気分だと言いながら、それでも今度こそバグを修正して差し上げますよと言う林崎に対して
「バグじゃない!」絶対嫌だと拒否する九泉。
東京のアフトクで拡樹くんは「九泉はシビュラ馬鹿」と言ったそうで、
それはどういう意味なんだろうって大阪公演を観て以来考えていました。
「俺はシビュラを許さないし、俺を許さない」そう言って最後に取った行動は、
九泉の中の「正義」がそうさせたのだろうと思います。誰かの強制ではない「自分の意思」で選んだ。
それでもシビュラを全否定はしていないみたいで、シビュラシステムを壊す方へは向かっていない。
1でテロリスト集団が「シビュラシステムは不完全だ」「重大な欠陥がある」と言ってましたが、
シビュラシステム自身がその不完全さを理解しているから、最後は人間の手に委ねられる、と九泉も考えてるのかなと思いました。
海堂に対して記憶がどうであろうと、「お前はお前だ」と励ますように言ったのが3のすべてなのかなと思います。
自分が何をしたいか、結局は「自分の意思」を持っているかが大事。
社会システムがどうあろうとその中で生きていく。
海堂が九泉にとって希望なんだなということが、やっと理解できた気がします。
このシリーズは一応完結、ということになってますが、その後の海堂が気になります
それに神宮寺が何故特別自治区に潜入することになったのかも。
九泉はいなくても、また新しいシリーズを始めてくれても全然いいんですけどね
ところで林崎は九泉に撃たれて死んだんですけど、
娘にホントに死んだと思う?って訊いたら「死んでないと思う」と返ってきました