10月25日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)
人の話に耳を傾ける
日ごろ部下の言うことをよく聞く人のところでは比較的人が育っている。それに対して、あまり耳を傾けない人の下では人が育ちにくい。そういう傾向があるように思われる。
なぜそうなるかというと、やはり部下の言葉に耳を傾けることによって、部下が自主的にものを考えるようになり、そのことがその人を成長させるのだと思う。けれども、自分の言うことに上司が耳を傾けてくれない、というのではただ惰性で仕事をするということになって成長も止まってしまう。
上司としてどんな場合でも大事なのは“耳を傾ける”という基本的な心構えをいつも持っているということであろう。
筆洗
2013年10月24日筆洗(東京新聞TOKYOWeb)
▼テレビが普及していない時代に、人気歌手や喜劇役者の「偽者」が地方によく出没したという
▼美空ひばりさんの名に似せた「美空びばり」や「青空ひばり」、喜劇王の榎本健一さんの場合は、エノケンならぬ「エノケソ一座」がいたそうだ。ひどい話だが、注意深く見れば本物と区別できる
▼俳優田宮二郎さんの場合は複雑だった。田宮さんが旅先で「田宮二郎一座」を発見した。田宮さんが偽者に「いいかげんにしろよ」と言うと相手は戸籍謄本を出した。「田宮二郎」と記されていた。本名だった。作家の安部譲二さんが書いている
▼気分の悪いウソがある。阪急阪神ホテルズがレストランでメニュー表示とは異なる食材を使用していた。九条ネギは青ネギだった。普通の人は分からない
▼昭和恐慌の時、カネのない会社員の間にライスのみを注文しウスターソースをかけて食べる「ソーライス」が大流行した。店の方は嫌がったが、阪急百貨店大食堂は「ライスのみ」を歓迎した。彼らはやがて結婚して、家族を連れて来てくれる。創業者の考えだった
▼調理人もウソを知っていたという。家族そろってホテルで食事をするささやかなぜいたく。若い二人であれば食事の後、ひょっとして、結婚の約束をするかもしれない。そんな光景を前に、どんな顔をして料理を出していたのか。「いいかげんにしろよ」である。