8月31日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)
辛抱が感謝になる
われわれが一生懸命に仕事をしても、世間がそれを認めてくれなかったら、非常に悲しい。そんなとき、その悲しさが不平となり出てくるのも、一面ムリのないことだと思う。しかし“認めてくれないのは世間の人が悪い”という解釈もできるが、“まあちょっと辛抱しよう。
今
は認めてくれなくても、いつかは認めてくれるだろう”と、じっと堪え忍び、いい姿を続けていくというのも一つの方法である。そして認めてもらったら、これ
は非常に嬉しい。その嬉しさが感謝になる。“より多くわれわれを認めてくれた社会に対して働かなくてはいけない”という感謝の心になってくる。そういう心
がなければいけないと思う。
筆洗
2013年8月30日筆洗(東京新聞TOKYOWeb)
▼比喩というのは大げさなものだが、「バケツをひっくり返したような雨」というのは、どの程度の降雨量なのか
▼東京大学の木村龍治名誉教授の近著『天気ハカセになろう』(岩波書店)によると、四リットルのバケツの水を十秒かけて地面の一カ所に落としていくと、一秒間で一〇〇〇ミリの降雨量に相当するらしい。そんな豪雨はありえないが、では実際の集中豪雨は、どの程度か
▼昨夏の九州北部豪雨の時、熊本県阿蘇市では十時間の総雨量が五〇〇ミリだった。十キロ四方にそんな雨が降ったとすれば、東京ドーム大なら約四十杯、ナゴヤドーム大なら約三十杯ものバケツが、街の上でひっくり返された計算になるという
▼
そういう強烈な雨が降りそうな時に出されるのが、「特別警報」だ。大雨だけでなく暴風や波浪などで「数十年に一度」のレベルになりそうな場合に気象庁が発
表する。去年から使用している「経験したことのないような大雨」といった表現も使い、すぐに命を守る行動をとるよう呼び掛ける
▼経験は身を助けてくれるものではあるが、ドイツの小説家ジャン・パウルは二百年前<経験はよい薬であるが、病気が治った後でしか手に入らない>との警句を発している
▼特別警報体制が始まるきょう、本州付近には前線が延び、台風15号も近づいている。空に巨大なバケツが用意されたと思った方がよさそうだ。
2013年8月31日天声人語(OCN*朝日新聞デジタル)
天声人語
▼晩夏とは一抹の感傷を引く季節。炎天が似合った百日紅(さるすべり)の花も心なしか物憂い風情だ。照れば熱暑、降れば濁流という乱調の下、亡き人と平和を思った8月の言葉から
▼東日本大震災で亡くなったが身元が分からず、家族のもとへ帰れない人がいる。岩手県の吉祥寺は遺骨を納めた22の木箱を保管する。住職の高橋英悟さん(41)は「身元の分からない骨は、津波で犠牲になった命を忘れないようにと訴えかけているように感じる」と話す
▼20~40
代が中心になって元日本兵の声を記録しているグループがある。時は流れ高齢化が進むが、メンバーの田所智子(さとこ)さん(47)は「私たちの価値観で言
葉を選んだり切り捨てたりしないように心がけている」。すでに1500人から聞き、一部をネットで公開している
▼101歳の医師日野原重明さん。全国の小学校を訪ねる「いのちの授業」が10年を迎えた。「命とは、きみたちが使える時間のことなんだよ」。多くの「使える時間」が、古今の戦争で断ち切られた
▼元高校球児の青年海外協力隊員がアフリカのブルキナファソで野球を教えている。現地の少年サノ・ミル君(17)の感想が新鮮でいい。「全員が平等に打席に立てる。野球はすごくフェアだよ」。この夏は甲子園も熱かった
▼落語家の桂文珍さんがネット社会をチクリ。「上手に使えばいいものを、火を使い始めたばかりのお猿さんと同じで、まだ使い方がようわかってないんですな」。時々「炎上」するのは、そのためであろうか。