社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「子どもと家族の緩和ケア」 上別府圭子・東樹京子 『臨床精神医学』39(7)

2010-08-09 11:46:25 | 医学
子どもの緩和ケアの特徴と、臨床精神医学の接点について述べている。洋書からの引用が多い。
3つの症例が紹介されており、子どもの「悲嘆」の表現方法やそれに対する家族の反応、さらに援助者としての姿勢・課題等、とても分かりやすい。

引用
十分な緩和ケア提供を阻む障壁(洋書からの引用)
⇒「子どもが先に死ぬのは順番が違うという抵抗感」「子どもが死ぬときに味わう医療提供者側の失敗感」をあげ、その結果、この領域への<回避>が生じている。

子どもの緩和ケアと成人のそれとは、根本的に大きな違いはない…とした上で、子どもの緩和ケアの特徴を成人と比較して紹介(洋書からの引用)
⇒「緩和ケアを必要とする状態が多様であり、疾患もばらばらで希少疾患も多く、多くの学問や専門家を必要とする」「発達についても配慮せねばならず、<1人の>子どもであっても時間の経過によって<変化している>…など


子どもは年齢によっては、ケアの提供決定や病気の告知について「2番目の存在」になりやすい。
一方で、治療が長期間に及ぶことで、「理解できにくい年齢」から「おおよそのことは理解できる年齢」に変化していく。
感情や身体の発達は、人間としての喜ばしい成長である一方、援助者にとってはとても難しく、そして一番大切にしなければならない側面であると感じた。

臨床精神医学 2010年 07月号 [雑誌]

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