社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「緩和ケアにおける面接」山田了士『こころの科学』No.149/1-2010

2010-08-02 10:29:28 | 医学
がんの緩和ケアにおいて、援助者が患者/家族と面接を行う上での留意点について、精神科医の立場から紹介している。
昨今クローズアップされているスピリチュアルペインについて、症例を通して説明されていることろが、大変わかりやすかった。

引用
・スピリチュアルペインとそのケアの理解について…小澤竹俊氏、村田久行氏の解釈を引用
「存在とは時間存在(未来があり、それに希望が伴うなど)、関係存在(大事な人とのかかわりなど)、自律存在(自分で意思や行動を選べること、他人の役に立つなど)の三つの柱からなり、このどれかが障害されることによってスピリチュアルペインが生じる」

・がんの進行した患者さんでは次がない可能性がどうしてもある。「わかったつもり」にならないように注意しながら、その日しか聴けないかもしれない話の中で、患者さんにとって何が一番大事なのかを理解する。


『人の理解の立体把握』…これは学生時代の恩師が、ゼミや実習前指導において、徹底的に教えてくれたことである。この考え方と小澤・村田両氏の解釈による「スピリチュアルペインが生じる要因」は、とても近いものであると感じた。
ソーシャルワーカーは特に、家族問題の解決支援等で「関係存在」の修復に機能を発揮できると考える。また『人の理解の立体把握』の考え方に立てば、その理解を専門性のひとつとして教育を受けているソーシャルワーカーは、やはり全人的ケアの実現には不可欠だと、思わずにはいられない。

こころの科学 149号

日本評論社

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