社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「在宅療養支援診療所の医療ソーシャルワーカー自身のスピリチュアリティに関する考察」大賀有記・他

2022-06-11 09:24:23 | 社会福祉学

副題:「人が人を支援する意義」『社会福祉研究』第23巻

スピリチュアリティを研究の視点とし、ソーシャルワーク分野におけるスピリチュアリティについて考察を深めている。

その方法として、在宅療養支援診療所の医療ソーシャルワーカー(MSW)を対象にインタビュー調査を実施しているため、在宅医療を活動領域としているMSWの実践活動を知ることもできる。

引用

・スピリチュアリティは人間の革新であり、それは自己・他者・超越的存在との関係において見出されていくものといえるだろう。

・在宅療養支援診療所の在宅MSWは、【多様な最後の受け入れ難さ】が社会的背景としてあるなかで、本人の意思を実現できないことが少なくはなく【意思決定支援の意義の再検討】という課題に直面している。その一方で在宅MSWとしての役割・機能が十分に発揮できないことや患者の死という【喪失体験を収めていく】過程を通して、【生と死の関係性を考える】ことが分かった。

・通常のソーシャルワーク支援の中にはスピリチュアリティの要素が十分入っている(ことが見いだされた)。

・スピリチュアリティの動きを認識することにより、在宅MSWとクライエントとの間でつながりと責任の感覚が共有され、それがより豊かな支援につながる可能性がある。

 

「スピリチュアルケアをしよう」と構えて、形を整えて、あらたまった時間を設けて…という方法でなくても、支援者がその意識を持ち、かかわりの中で重んじていくことで、自然と実践はされている。というようなことは、他の書物等でも述べられている。

しかし現実には、その言葉を知らず、本当は適切なケアができているのに、「自分たちは何もできなかった」と肯定できていない支援者が多くいる。支援者の実践を整理し、肯定し、豊かにしていくためにも、スピリチュアルケアという言葉は活用できると、本論文を通して知ることができた。

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