社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「米国ホスピスのすべて 訪問ケアの新しいアプローチ」黒田輝政・服部洋一(2003)

2011-03-07 11:38:42 | その他
 米国のホスピスについて、現場での研修を通した得た情報をもとに、具体的な取り組みのレポートが中心となっている。米国の医療政策・制度については、わかりやすく説明がされており、少し古い文献ではあるが、実態を知るためには有効な文献である。

引用
・ホスピスを含め、米国のソーシャルワーカーは、専門の大学院でソーシャルワークの修士号を得てから実践に当たるのが普通である。(中略)わが国のホスピスが、医療の枠を越え、全人的な支援を提供するためには、この分野の発展に一層の力を込める必要がある。
・「悲嘆」(grief)を自然な過程と見ることが、ホスピスの遺族ケアの大きな特徴だ。積極的な介入を控え、一種のセーフティー・ネットとして、距離を置いて見守る。

・米国ホスピスは、壇上に立つ教師が行うものではなく、親の役割に近い(一部省略)。主役である病人と家族を支え、「病人と家族だけでできること」の周りに、「専門職が手を貸すことでできること」という、可能性の領域を広げるのだ。



 いまでこそ、日本におけるソーシャルワーク援助は、「自立支援」や「当事者主体」といったように、あくまでも援助者は黒子であり、側面から見守り/支援する、というものになってきた。しかしどうしても、「明確な役割を表現したい」と、多く手を貸し過ぎることがあるように思う。
「見守る」というのは、時間もかかり、手間もかかる。しかし、援助者はいつも、いつまでも、患者や家族に寄り添えている訳ではない。いつか自分たちで、色んな困難を把握し、解決できるようになってもらうために、援助者は存在しているのだと、あらためて感じた。


米国ホスピスのすべて―訪問ケアの新しいアプローチ (シリーズ・生と死を考える (7))
服部 洋一
ミネルヴァ書房
コメント
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