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【2007年重大ニュース アメリカ支配(4)】 サブプライムローン問題②

2007-12-21 23:44:40 | テレビの共認支配を暴く!
※画像は、サブプライムローン・サブプライム証券を巡るお金の動きの図解です。図解を見ながら、本文を読むと解りやすいと思います。この図解は、NISSEY ASSET MANAGEMENTさんのHPから頂きました。

■ファンドや金融機関が大損失を出したのは何で?
サブプライムローンが焦げ付いたことで、アメリカだけでなく世界の金融市場を巻き込んで信用収縮(企業に資金需要があるのに、金融市場での資金供給が細る現象のこと。要はお金を貸すのに信用できる相手が極めて限定的になり、簡単にお金を借りれなくなる)が起こり、国内外の株価下落とドル安が引き起こります。
なぜサブプライムローンが、世界金融市場に影響を与えるのでしょうか。
その秘密の一つが、「ローンの証券化」にあります。

サブプライムローンは多数のローンをまとめた商品として証券化され、これに金融機関やヘッジファンドなどが高い利回りを求めて投資していました。ローンの貸し手である融資会社は、こうして債権を証券化してファンド等に売ることで、リスク(=不良債権化)を回避でき、買い手のヘッジファンドはリスクを引き受けることで、投資機会(=儲けるチャンス)を得ることが可能になったのです。
この証券は、ヘッジファンドや銀行を通じて海外にも流出しています。

しかし、証券化によってリスクが小分けに分散された為に、どの金融商品(証券)に問題のあるサブプライムローン債権が含まれているかが解らなくなります。
その為、サブプライムローンが焦げ付き、融資専門会社が破綻を始めると、サブプライムローンを証券化した金融商品の価格が全面的に急落。投資していた金融機関やヘッジファンドに大損害が発生します。

2007年6月22日、大手証券ベアスターンズ傘下のヘッジファンドがサブプライムに関連した運用に失敗したことが明らかになると、次々と金融市場全体に問題が拡大していきます。8月にフランスの大手金融グループ、BNPパリバが傘下のヘッジファンド3社のサブプライムローン関連証券の解約を凍結。ゴールドマンサックス傘下のファンドも巨額の損失を計上します。日本においても野村ホールディングス等が巨額の損失を出しています。

焦げ付いたサブプライムローン=爆弾が小分けに分散され、ばら撒かれた結果、金融市場は無数の小さな手榴弾を抱え、いつどこで誰が爆死するかわからない状態に陥ったのです。

このあたりから、サブプライム問題は日本のニュースでも騒がれるようになります。

■株価下落・ドル下落が起こったのは何で?
こうして、サブプライムローン債権を組み込んだ金融商品の価格急落によって、次々と金融市場に信用収縮が広がっていき、結果として株が下落します。

ヘッジファンドは金融機関から融資を受けて、自己資金の何倍もの投資を行っています。ところが、信用収縮が起こると金融機関からの融資が受けられなくなるだけでなく、これまで受けてきた融資も回収されてしまいます。こうなると、ファンドは資金源を失うので、投資先として保有していた株式等を売却するしかなくなります。こうしてファンドの所有していた大量の株が叩き売られた結果、株が下落していくのです。

サブプライム証券に投資していたファンドは、アメリカ・ヨーロッパを中心に世界中に存在したので、サブプライム焦げ付きによって世界の株式市場が大荒れとなりました。

サブプライムの舞台であるアメリカにおいては、債権市場や株式市場の下落、ヘッジファンドの経営破綻、金融機関の不良債権の増加だけでなく、金融界以外の実体経済でも、住宅や自動車、耐久消費財の売れ行きが不振に陥り、ローン破綻者の増加・失業率の上昇なども起きています。

このアメリカの状況を見て、世界中の投資家は、アメリカ金融市場から資金を引き上げ始めました。
また世界各国の中央銀行は、保有する米国債を中心とするドル建て債権を売りはじめ、8月には、世界の中央銀行や政府機関が保有するドル資産の総額が3.8%減少しました。(日本もアメリカ国債をかなり売っています)

このサブプライム問題による信用収縮を補うため、アメリカ政府は、金利を下げ始めるとともに、ドルを増刷し市場に約8兆円に上る資金を投入しています。
信用収縮が起こると、金融機関が貸し渋りするので、市場にお金が出回らなくなります。そこで、ドルを増刷+金利を下げることで、金融機関が中央銀行から融資を受けやすくし、市場におけるお金の流通量を増やすのです。この結果、膨大な額の過剰なドルが流通することになりました。

投資家や各国中央銀行がドル離れを起こしている中での、ドルの過剰供給と金利の利下げはドルの価値を押し下げます。こうして一気にドル安が進み、ドルの対ユーロ相場は市場最安値を更新しました。

ドルは今のところ、一気に暴落するのではなく、徐々に下落していく傾向にありますが、一方で急激な暴落が起こる可能性も否定できません。
FRBは2006年3月以降、世界に流通しているドルの総額を示すレポートの公表を中止しており、今回のサブプライムに関連するドルの増刷がどの程度の割合になるのか、はっきり解っていません。しかしFRBの最後のレポートの数値からみて一年で35%のインフレ率(≒増加率)だと想定できます。ブッシュ政権や連銀はこれをひた隠しに隠していますが、これが明らかになれば、ドルが一気に暴落する恐れもあります。

■これからどうなる?
これまで見てきたように、サブプライムローンの破綻とは「住宅バブルを前提とした高利率の破綻」に他ならず、破綻して当然であったと言えます。
融資会社も、ファンドも、金融機関も、破綻は「わかっていたもの」でしょう。
わかっていながら、みんなが乗っかっていたバブルが弾けて、われ先に飛び降りる人達で市場が大混乱した。
しかも、金融市場・金融商品が発達したおかげで、このバブルが世界中に輸出されてしまった。その為に、世界中が巻き込まれて大混乱。とんでもない話です。
日本における金融機関の損害はあまり大きくありませんが、ヨーロッパ諸国(特にスイス・イギリス)の金融機関は大打撃を受けています。

サブプライムローンとは「まず使って後で払う」と言うアメリカ経済の本質そのものであり、その行き詰まりは、アメリカ経済の行き詰まりそのものを示していると言えます。
07年8月~08年12月までに金利改定されるローンが、まだ約8200億ドルもあると言われており、延滞率の更なる上昇→損失の増大が懸念されています。一説では、2011年まで住宅危機が続くとも言われ、いずれにしてもアメリカ経済の更なる失速とドルの暴落はもはや免れ得ないでしょう。

このようなアメリカ経済崩壊への対策として、12月12日、アメリカ金融当局は三菱UFJフィナンシャル・グループなど日本の3大金融グループに対して、融資などの協力を打診しました。 支援規模は1グループ当たり50億ドル(5500億円)程度!!だそうです。
アメリカの経済混乱に対して、アメリカ国政府が公的資金を投入するのではなく、日本の金融機関に支援要請をしてきている。あまりにも露骨なこの要請。

今のところ、サブプライムによる日本の直接的打撃は小さい(それでも野村ホールディングスの損失や株価の下落など被害は確実に受けている)ですが、今後アメリカ経済が失速・ドルが崩壊していく過程で、今回のような日本への要請は益々増え、巻き込まれて大損害を出す恐れは非常に高いと言えます。

Hiroshiさんが投稿しているように、2007年はアメリカの弱体化が誰の目にも明らかになってきた、その記念すべき年と言えます。サブプライム問題は、その代表的現象と言えるでしょう。そしてその弱体化は、今後益々加速していく。
しかし、これまでのような従米・属米路線のままでは、このアメリカ弱体化・ドル崩壊の流れの中に巻き込まれ共倒れになってしまう。そして、住宅バブル崩壊の影で、着実に利益を狙っている金融資本家達の食い物にされていく。

そういう意味で2008年は、非常に重要な年となるのは間違いありません。
我々は、常に事実追及のスタンスで、アメリカの動き・市場経済の動きを読み、そしてその事実を、社会に対して広げていくことで、日本を護っていかなければなりません!

2008年は、対アメリカ共認闘争の本格化の年と言っても過言ではないでしょう!!


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Written by NISHI

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4 コメント

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Unknown (オオモリ。)
2007-12-22 10:25:32
アメリカ。確かに自滅気味の1年だったね~。

これを操ってる国際金融資本家(金貸し)は何考えてんだろうか?

彼らが歴史的に行ってきた自己中行動からして、今回のサブプライム問題は、当然織り込み済みで、これをテコに如何にして儲けようか?

って考えてるんじゃないかって話をこないだした。

社会が大混乱に陥れば、どうやって平静を取り戻すかって思考に普通なるんだけど、彼ら金貸しは混乱平静なんかどうでもよく、徹頭徹尾自分のことしか考えてないんじゃないかってこと。

★もしそのとおりだとすると、我々も腰をすえてかかる必要があるよね
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Unknown (ムラカミ)
2007-12-22 14:59:29
>ゴールドマンサックス傘下のファンドも巨額の損失を計上します。<

シティやメリルリンチ等、大手金融機関がサブプライム破綻で大損失を計上する中、GSも当然大損失を出すとマスコミは予測していた。

しかし、やはり違っていた。結果は1人勝ち・・

「サブプライム「逆張り」で4480億円の利益を上げていた米ゴールドマン・サックス」
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=167187

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なるほど (さーね)
2007-12-23 12:27:39
明快!

金貸しも、投資先がどこにもなく、信用のない人に貸しちゃったって感じですね。

金貸しの限界も見えてきましたねー
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そいえば (kawaix)
2007-12-24 00:52:52
今度、銀行で保険商品の扱いが可能になるみたいですね。

金貸し商品は、物を変え形を変え、今後も色々と増えてくる事は間違いない。

我々一般庶民は、そもそも投資するだけの元手も無いので、安易に手を出さないというのが得策でしょうけど。
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