漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

ヘンな人のヘンな本

2016年09月20日 | 
「サバイバル登山」と云う本はヘンな本である、
本がヘンと云うより、著者の服部文祥さんがヘン。

本のカバーにこうある。

「食料も燃料もテントも持たず、
ケモノのように一人で奥深い山へ分け入る。」

誰に頼まれもせぬのに、
一人で、日高や黒部と云った、秘境と云っていい山奥へ入り、

自然の猛威の中に身を置き、
時に蛇や蛙を食べ、生命の危険までおかしながら尾根を行く。

その理由が、
ただ、「生命体としてなまなましく生きたいから」、と云うのだから、

こんなヘンな人はない。

本業は山岳雑誌の編集で、勤め人なのだが、
「時々、無性に山歩きがしたくなって」、長期休暇を取り山へ入る、のだそうだ。

私のように、痛いのはイヤ、苦しいのもイヤ、
氷のように冷たい雪の中で震え、ガケのように急峻な山道を登るのはもっとイヤ、

と云うような“普通の人間”から見れば、狂気の仕業。

昔、村には田や畑を耕す、「農耕の民」と、

木こりや、狩人など、
「杣人(そまびと)」と呼ばれる人々の二種類あったそうだが、

きっと、この人の遺伝子には、
そういう杣人の血が濃厚に入っていて、時々騒ぎだすのだろう。

ひょっとしたら、この人は、
月夜の晩には、狼男に変身して、

「ウォーン、帰りたいよう ー」と、
山に向かって吠えているのかもしれない。(笑)

でも、この本、読んでいて楽しかったし、何より、とてもオモシロかった。





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