冬の昼顔
2012年11月20日 | 本
ため池の脇道を通っていたら、
金網にゴミのようなものがからみついている。
手に取ると、
パラパラと崩れて黒い実が手のひらに残った。
朝顔の種を小ぶりにしたようなその形は、
風雨に耐えて残った雑草、昼顔のタネに違いない。
「よくぞ、この季節まで」と言いたくなった。
中村生雄著、
「日本人の宗教と動物観」の中に次のような一文がある。
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従来の肉食否定論の論拠は、
大別すると二つあるといって、
若き日の鈴木大拙はその要点をほぼ次のように説明する。
一つは「生物に対する同情」から来るもの、
すなわち、鶏でも羊でも生きものを殺してその肉を割き、
焼いたり煮たりして食うことを残酷だとする考えで、
近来欧米の「菜食論者」もそのことをしきりに強調している。
だが鈴木によればそれは一種の感情論にすぎない。
なぜなら生物たることに
菜蔬類と鶏や羊のあいだに何の差もなく、
ただ動物のほうが人類に近いために、
同情をひきやすいというだけのことだ、とする。
いい換えると、
動物と植物のあいだに生き物としての本質的な差はないというのである。
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あの持ち帰ったタネを鉢植えにしたら、来年また咲くだろうか。
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【鈴木大拙】すずき‐だいせつ[1870~1966]
明治~昭和期の仏教哲学者。
仏教、特に禅の思想の研究・普及に努力。
英文著作も多く、
その名は、国内よりもむしろ国外に広く知られる
文化勲章受章。
著「禅と日本文化」「禅思想史」など。